五島市観光の弱点と対策

本日は久しぶりに、大瀬崎灯台のトレッキングガイドに行ってきました。

冬場とはいえ、灯台まで下りて登ると、流石にちょっと汗ばむくらいの気温でした。

本日は、ガイドを通じて改めて感じた五島の観光の弱点と対策について考えてみます。

五島市の観光の弱点:冬場が閑散

五島の観光は、夏がピークで冬が閑散期となります。

観光統計の数字からも、それは明らかです。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s054/030/020/010/010/R4toukeisho.pdf

バスも団体ツアーも、新年からの稼働率は低い状態で、ホテルや宿も同様と思われます。

2023年は朝ドラや「ばらかもん」のPR効果もあり、観光もコロナ後から大きく回復しました。

が、それも終了となった2024年の出足は雲行きが怪しい状態です。

それに加え、コロナ後の様々な観光促進キャンペーンも終了となり、需要の減少が顕著になっています。

特に五島市では、長崎県のキャンペーンに加えて、市独自で1億円もの補助をしていました。

五島市の大盤振る舞いな1億円の使い道

ところが、そうした一過性のばら撒きは長続きしないという弊害があります。

せめて観光キャンペーンを実施するなら、「今だ!五島へ行こう!」は冬場の閑散期に行うべきだったと感じます。

現在ではJFの運賃も高い水準で留まっているため、旅行客には敷居の高い観光地になっているようです。

私が五島に来た7年前からそうですが、夏が忙しく、冬が閑散としている状態は2024年も変わりありません。

対策:観光需要の平準化

逆に夏は宿やレンタカーも足りない状態ですので、若干オーバーツーリズムな状態でもあります。

民間事業者もこうした落差が激しく大変な状況ですので、五島市政としては観光需要を平準化する施策が求められていると感じます。

本日ご案内したお客さんは、滋賀からお越しでした。

以前は京都在住だったという事ですが、住環境の悪化もあり、引っ越したという事でした。

私も昨年京都を訪れましたが、明らかに外国人観光客のオーバーツーリズムな状況でした。

日本の主要な観光地は、どこも同じような状況でしょう。

不動産価格や飲食店の値段が高騰し、交通渋滞も発生し、住民の暮らしは悪影響を受けます。

こうした事態は、一度発生してしまうと対策を講じるのが難しく、地元民の流出にも繋がるため、地方自治体としては避けるべきと考えられます。

ただ、五島市の市長は「オーバーツーリズムになるくらい観光客を増やしたい」とも述べているため、あまり深刻に考えていないのかもしれません。

五島市の場合は、確かに夏場は賑わうものの、主要な観光地と比較すれば観光客数の数はまだまだです。

逆に冬場は閑散とし、民間の商売も成り立たない為、やはり年間を通じて丁度良いくらいの需要は欲しい所です。

その辺りの数値的な目標を設定し、冬場に来てもらうような対策が必要ではないでしょうか。

五島市の滞在型観光促進の事業

五島市は滞在型観光促進(もう一泊してもらうための対策)の事業として、R5では以下のような事業を実施しています。

  1. OTAを活用した情報発信及びマーケティング事業
  2. メディアを活用したPRプロモーション事業
  3. 外国人向け情報発信事業
  4. 五島の地域資源を活用した着地型旅行商品の造成支援事業
  5. 教育旅行体験プログラム造成と誘客促進事業
  6. 旅行事業者等招聘事業
  7. 旅行商品造成支援事業
  8. 【五島市・新上五島町・小値賀町負担金】おもてなしのしま五島プロジェクト事業
  9. ワーケーション型滞在観光プラットフォーム構築事業

これらの事業の総額は1億7百万円にものぼり、国境離島新法の中で国・県・市で分担して支払っています。(五島市分は約4,329万円)

事業はプロポーザルで行われていますが、実施者の半分以上は島外の企業や団体となっているため、地元事業者が受託できる枠組みが必要と感じます。

コロナ後からの観光の回復を狙う五島市ですが、メディア露出による追い風は2023年で一段落したように感じます。

今後は観光客の数を増やすよりも、季節による観光客数のばらつきを解消する方向性に予算を使うべきと感じます。