委員会視察
五島市議会では、年に数回委員会による管外視察があります。
五島市議会では、コロナの関係でしばらく管外視察は在りませんでしたが、初めて委員会で行ってきました。
五島市広報委員会とは?
「議会だよりごとう」の編集に関する事が主なお仕事の委員会です。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/li/shisei/040/010/040/index.html
毎月、定例議会が終了するたびに、一般質問や議案の審査結果を掲載し、町内会経由で各世帯に配布をしています。
近年では、「広報公聴委員会」という名目で、広報だけでなく広聴の機能を名称に入れる議会も多いですが、五島市では広聴の部分は入っていません。
今回の視察の目的としては、「議会だより」の中身をどう充実させるか、という事でした。
訪問概要
訪問先
徳島県勝浦町、徳島県小松島市
訪問議員
中西議員、山田議員、荒尾議員、網本議員、江川議員
訪問日
2023年10月4日~10月6日
徳島県勝浦町
勝浦町での編集方針は、「町民の関心を持ってもらえるように、読みやすく、わかりやすく、手にとってもらえる議会だよりを目指している」との事であった。翻って、島市議会での編集方針はいかなるものだっただろうか、と自問させられた。掲載内容は、議会の活動報告だけでなく、特集記事として町民との対話集会や、モニター会議、町民の活動紹介など、議会の内容のみを主眼に掲載している五島市議会とは異なる紙面の内容であった。議会以外の内容を掲載するのはどうなのかという質問もされたが、勝浦町としては、過去の継続でもあり小規模自治体であることから、特に違和感はないとの事であった。
http://www.town.katsuura.lg.jp/gikai/dayori/
編集は10人の議員の半分が広報常任委員会として参画し、1回の発行に平均5回程度開催しているとの事であった。さらに特徴的だったのは、編集アドバイザーを導入している点であり、議員だけでは補いきれないデザイン性の強化に繋がっているとの事であった。実際、地域おこし協力隊を卒業したサポーターが紙面の構成をアドバイスし、結果的にコンクールの受賞にも繋がっているとの事であった。
https://www.nactva.gr.jp/html/commendation/pdf/H27_20.pdf
広報誌の配布は新聞折込と直接郵送の2種類があり、町内会に配布を委託している五島市の方法とは異なっていた。一般質問の掲載に関しては、議員が原稿を作成するという点では同じだったが、音声データを各議員に配布して、編集作業に役立てる方法は、参考になりそうと感じた。また、編集工程での議員の関与が高いことも特徴的であった。議会だよりの編集をGoogleドライブで共有する方法は効率的だと感じたが、果たして五島市議会で導入可能だろうか、と感じた。
総じて、広報誌の作成に対する委員会のメンバーの関与が高い広報誌であるように感じられた。候補紙の質を高める手段として広報モニターを募集するなど、発信力の強化に務めた結果として、全国長村議会議長会広報コンクールにおいて、4年連続の入賞を果たすという実績もあげている。
小松島市
次に、小松島に伺い、同じく議会広報の編集から発刊に至るまでの話を伺った。小松島市議会ではH21年から議会改革のための推進組織を立ち上げ、議会コンサートの実施やモニター制度の導入、クイズに対する商品券の発送など、あの手この手の工夫で議会に対する関心を高める取り組みを行っている。
https://www.city.komatsushima.lg.jp/gikai/gikaikoho/
議会としての取り組みで印象的だったのは、議会と市民との対話の機会を作ることにより、市民の有権者意識が芽生え、結果として今年の選挙では政治に興味を持った妊娠中の若手女性が当選するという現象も生まれているとの事だった。
議会だよりの編集で特徴的だったのは、8名の編集担当者をそれぞれページごとに割り振り、担当者名をページの下に記すという方法であった。議員一人一人の紙面づくりへの関与を高める方法としては、良い仕組みではないかと感じた。
議員が編集担当になることで、紙面の品質にばらつきが出てしまうデメリットも懸念されたが、小松島市では議会だより編集のガイドラインが整備されており、誰が編集担当になっても一定の品質を担保できる仕組みとなっているように感じた。例えば、五島市議会広報委員会でも議題となった「討論掲載」の方法に関しては、「討論がある場合は、賛成意見と反対意見を掲載し、それぞれ顔写真を掲載する」という明記があり、分かりやすい仕組みになっていたので参考にしたいと感じた。
学生議会に関しては、議会側と生徒の関与が大きいという点において、五島市が主催する学生議会とは大きく在り方が異なると感じた。議会側から、事務局に対して関与を高める提言ができないだろうか、と感じた。質疑応答の中では、議会を広く市民に知って貰うために気をつけていることの質問が交わされたが、小松島市としても紙媒体による宣伝だけでは限界を感じている部分もあり、およそ市民の8%しか読まないと推計されるとの事であった。広報誌だけでなく、どれだけ多くの市民に内容を伝えるか、ネットを通じた発信力の強化にも取り組んでいきたいという話であった。
質疑応答の終了後、議場に昨年から設置された大型のスクリーンを見学した。縦3メートル、横3.5メートルという大型であり、傍聴者に対する配慮もされた設計となっていた。五島市議会においても、視覚情報を用いた一般質問の導入など、参考にできる部分が多いのではないだろうかと感じた。
総括
今回の研修を通じて、広報誌の紙面作りに関しては、どちらの自治体でも「議員の関与の高さ」が五島市よりも高いと感じた。広報委員会として、政治との接点を身近に感じられない市民が手に取って見たくなるための創意工夫を感じた。
五島市では、議会だよりの編集方針を作成し、必要に応じてガイドラインを作成して担当割りをするなど、議員の関与を高めていく必要があるように感じた。
紙面の内容に関しては、子供の写真を掲載した表紙や、広報誌の記事に市民の活動を伝えるなど、作り手の一部として市民を巻き込むことも選択肢に入れ、手に取ってもらうための工夫をする余地があると感じた。
ただし、デザインや構成に関しては、議員の編集スキルだけでは限界もあるため、そうした足らざる部分は視察先で導入されている編集アドバイザーやモニター委員の導入など、外部の視点を活用する必要性もあるのではないかと感じた。
市民参加という視点からは、議会と市民との接点を増やすためのオーバートークや意見交換会を実施し、直接的に市民と対話の機会を作っていく活動が必要であると感じた。これは広報委員会だけで決められる話ではないので、議会全体で基本条例を作るなり、改革の必要性があると再認識させられた。
議会のなり手不足や多様性の充実が課題であると言われる中、議会側から市民への歩み寄り、情報発信力の強化が必要であると感じたため、委員会の中での議論を深めていきたい。
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