全国的に、新型コロナ予算を財源とする「プレミアム商品券」が多く実施されています。
五島市でも6月議会の補正予算では、一番大きな金額として、「プレミアム商品券」が計上されました。
6月17日に「配布方法について」質疑があったのですが、私はプレミアム商品券事業の手続きに違和感を覚えました。
3,000円分のプレミアムにしては、手続きが面倒ではないか??
本記事では、五島市が行おうとしている配布方法を紹介し、最適な配布方法の在り方を検証します。
五島市の配布スキーム
議場での質疑と、電話による聞き取り調査では、以下の通りです。
- 事業の告知(プレミアム商品券の受付を開始した事を役所が市民にお知らせ)
- 申請(市民がネット又ははがき(自己負担)で引き換え場所を記入して申請)
- 一斉当選通知(申請が2万件を超えた場合は抽選)
- はがき持参(1万円と商品券13000円を交換)
- 商品券消費(市内の店舗で商品を購入)
という流れでして、「申請&抽選方式」です。パット見ただけでも、市民の手間と事務作業が多いと感じます。
発生する事務負担
上記の流れの中では、
- 市民が商品券を申請する手続き
- 市役所が抽選を行い、ハガキで発送する手続き
- 市民がハガキを持参し、市役所・支所へ足を運ぶ手続き
が発生します。
より良い方法
事業の目的が
市内経済の活性化と消費喚起、市民の生活支援
であるならば、「申請&抽選方式」は手続きが煩雑であり、わずか3000円分のプレミアム商品券を配布するには事務費用がもったいと感じます。
もっとシンプルな方法としては、全世帯を対象に、1人2,000円分の商品券を一斉発送する方法があります。
全市民に配布する場合、6,3511,200円の予算(35,284×2,000円)が必要となり、プレミアム分は五島市案より300万円ほど多くなります。
(五島市の想定では、前回の実績に基づき、18歳以上の人口の約6割で計算し、利用者を2万人×3000円と想定しています)
しかし事務負担は圧倒的に少なくなり、発送した全ての商品券が使われるとは想定できない(8~9割程度?)ため、
実質的な支出は提案金額とほぼ同じ(或いはそれ以下)になると考えられます。
全世帯配布のメリット
市が提案する「申請&抽選方式」と比べると、「全世帯配布方式」では
- 市民と行政の事務負担の軽減
- 抽選による不平等性の解消
- 子育て世帯にとっては可処分プレミアムが大きくなる(世帯人数×2000円)
というメリットがありますし、もし全ての商品券が使われなかったとしても、行政的な支出は少なくて済みます。
「2」に関しては、市の想定では1万8千人程度しか申請者を見込んでいないため、そもそも抽選を想定していないように思えます。であれば、わざわざ抽選と言う言葉は使わず、申請者に全て配ると言ってしまえば良いと思います。
ただし「全世帯配布方式」のデメリットとして、お金と商品券の交換が発生しないため、市内の店舗に落ちるお金の総額が減ってしまう事が懸念されます。
その点は、使う側のルールで解決可能ではないかと考えられます。例えば、
1000円分の商品券は5000円以上の買い物でしか使えない
というルールを設定しておけば、必ず店舗に一定のお金が落ちる事が期待できます。
全国でも、全世帯を対象とした配布をしたり、デジタル方式で配布する自治体もあります。
https://www.town.kagoshima-osaki.lg.jp/kc_shoukoukankou/syohinken2.html
こうした事例も踏まえながら、多角的に事業の推進方法を検討してくべきと感じます。