【令和4年3月/五島市議会】施政方針4.安全・安心で住みやすさ日本一の“しま”をつくる

五島市では、議事録が公表されるまでに数か月かかりますので、

3月2日に市長から公表された「施政方針」をご紹介します。

3安全・安心で住みやすさ日本一の“しま”をつくる

【消防体制の整備等】

昨年12月に三尾野で発生した住宅火災で1名の方が、今年1月に福江町で発生した住宅火災では、2名の方がお亡くなりになりました。

亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。

消防体制の整備については、地域防災機能の強化を目的として、引き続き消防ポンプ積載車、小型動力ポンプ等を計画的に更新してまいります。

消防団については、五島市の規模に応じた組織及び団員数となるよう必要な見直しを行います。

また、国は、消防団員の処遇改善を目的に「非常勤消防団員の報酬等の基準」を制定し、年額報酬と出動報酬の基準を定め、令和4年4月1日から適用することとしております。市議会でのご議論も踏まえ、五島市においても年額報酬及び出動報酬を増額したいと考えております。

【新たな災害情報伝達手段】

災害情報については、現在、防災行政無線やテレビのテロップ放送のほか、防災アプリやSNSを活用して配信しておりますが、放送が聞こえにくい方やスマートフォンを所持していない方への新たな情報伝達手段として、FMラジオやカーラジオから災害情報が聞けるよう準備を進めます。

また、県が福江川水系の鷹ノ巣川と牟田川に係る洪水浸水想定区域を公表したことを受け、新たにハザードマップを作成したいと考えております。

【地域コミュニティの維持・活性化】

まちづくり協議会は、地域の方々が主体となり、買い物支援をはじめ高齢者の見守りや居場所づくり、備災防災の取組等を展開しています。しかし、人口減少や担い手不足、当事者意識の醸成など、取り組むべき課題も抱えております。

令和4年度は、持続的な活動を進めるため、新たに「市民協働会議」を設置し、地域と行政の役割について協議するとともに、国の地域プロジェクトマネージャー制度を活用し、まちづくり協議会や地域団体の育成と体制の強化を図ってまいります。

【健康長寿のしまづくり】

健康で長生きできるしまづくりのため、特定健診、重症化予防及びがん検診に取り組んでまいります。

特定健診については、密を避けるための予約制の継続や感染対策の徹底により、安心して受診していただけるよう環境整備に努めるとともに、国保連合会や各医療機関及びマーケティング専門の民間事業所との連携を強化し、受診率の向上に努めてまいります。

重症化予防については、特定健診受診者のうち医療機関への受診が必要な方に対する受診勧奨や保健指導を実施し、糖尿病性腎臓病で通院している方に対しては、人工透析への移行を防止するため、医療機関と連携して保健指導を実施します。これらの取組により、市民の皆様の健康増進と医療費の抑制を図ります。

がん検診については、コロナの感染拡大の影響により受診率が低迷しており、進行がんで発見される方が多くなることが懸念されます。五島中央病院や各医療機関とさらなる検討を重ね、胃内視鏡検診の実施など受診しやすい環境整備に努めるとともに、市民の皆様に継続して受診していただくようがん検診の正しい知識の普及を図ってまいります。

 

また、適正な服薬指導の推進及び調剤情報の活用による健康増進を図るため、調剤情報システムへの加入者数の拡大に取り組むとともに、健康教室、健康相談、訪問指導等を通して、市民の皆様の健康づくりに対する意識の向上を図ってまいります。

 

カネミ油症について、九州大学全国油症治療研究班が油症患者の子や孫への影響を調査する「カネミ油症次世代調査」を実施しております。事件発生から半世紀以上が経過し、患者の高齢化が進み、多くの方が子や孫たちの将来に不安を抱えています。この調査が次世代を含むカネミ油症被害者の救済につながるよう、市としても調査に全面的に協力するとともに、引き続き「カネミ油症被害者に対する支援行動計画」に基づき、被害者の健康状態の把握や相談支援体制の強化、国・県への要望などに取り組んでまいります。

 

富江病院などの公的病院は、コロナの感染対策、感染症患者の受入れ体制の確保や感染症患者以外の医療提供体制の確保などに全力で対応していただいております。

引き続き国に対し、公的病院の再編や統合については、地域の実情や感染症への対応を十分に踏まえ、地域住民の不安や医療現場の混乱を招かぬよう慎重かつ丁寧に議論するよう求めてまいります。

 

地域医療の核となる診療所については、医療人材を確保し、医療機器の更新を行うなど、健康で安心して暮らせる医療提供体制の確保に努めてまいります。

玉之浦診療所においては、昨年4月から代診医師による診療を行っておりますが、来月からは専任の医師を配置します。

また、三井楽診療所及び嵯峨島出張診療所については、4月1日から公設民営に移行し、診療業務を委託します。診療時間や初期救急医療機能に変更はなく、これまでどおりの医療サービスを提供してまいります。

地域福祉については、令和4年度から8年度までを計画期間とする「第3期地域福祉計画」に基づき、誰もが安心して幸せに暮らせる地域共生社会の実現に向けて、家庭・地域・行政が連携し協働しながら、地域における支え合いの福祉を推進してまいります。

 

障がい者福祉については、「障がい者福祉計画」に基づき、障がいのある人もない人も、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 

令和3年4月1日から高齢、障害、児童福祉、生活困窮など様々な悩みについてワンストップで相談を受ける「福祉の相談窓口」を設置し、相談支援を行っております。今年2月末までの相談件数は155件で、そのうち複合的な課題を抱えた相談は115件でした。

今後も周知活動を行い、相談支援の充実を図ってまいります。

地域包括ケアシステムの構築については、地域における支え合いの体制づくりをはじめ、多職種連携による高齢者支援の体制づくりに取り組んでまいります。そのため、在宅医療と介護の連携をはじめ、認知症対策、地域ケア会議の開催、生活支援体制整備事業を推進してまいります。

買物支援については、まちづくり協議会や地域の有志の方々が中心となり実施されている地域もあります。高齢化により地域を支える人材が不足し、住民同士のつながりが希薄になりつつあるため、高齢者が住み慣れた地域で生活し続けられるよう、生活支援コーディネーターを中心に高齢者の生活支援サービスの提供体制の構築に向け、関係団体と連携しながら支援活動を行ってまいります。

 

介護人材の確保対策として、資格取得に関する補助事業を実施しております。介護初任者研修では、令和2年度の受講は10名でしたが、令和3年度は15名で、そのうち5名の方が新規で介護職に就業しております。また、ケアマネジャーの資格更新研修については、令和3年度は31名の方に補助金を支給し、離職防止を図っております。

また、令和3年度に市内介護事業所の代表者や雇用担当者との介護人材確保に関する意見交換会を行いました。この中で活発な意見等が交わされ、経営者等と課題認識の共有を図ることができましたので、これからはより一層、行政と民間が知恵を出し合いながら、介護人材確保のための取組を進めてまいります。

 

地域ミニデイサービスについては、約250人の元気な高齢者ボランティアの皆様に支えられ、現在43か所で約800人の方が利用されております。介護予防に大きく貢献するこの事業を継続するためにも、ボランティアの育成及び確保に努めてまいります。

 

生涯スポーツの推進について、令和3年4月から「五島市健幸アプリぎばっと!」の運用を開始しておりますが、今年2月末現在の登録者は1,398人で、市民の皆様の間でも徐々に利用が進んでおります。令和4年度は、アプリを活用したイベントの開催などに取り組み、登録者数をさらに増やし、運動習慣の定着化を推進してまいります。

また、「スポレクフェスタごとう」など気軽に参加できるスポーツイベントやニュースポーツの出前講座の開催、各スポーツ関連団体への助成、施設の充実など、スポーツに親しむ機会の増大と環境づくりに努めてまいります。

【インフラの整備】

市内の光情報通信網については、光ファイバーが敷設されていない奥浦、崎山、本山、大浜地区等について、五島テレビが国の補助金を活用し、今月末までに整備が完了する予定となっております。

また、平成31年4月に市が譲渡した設備については、同社が4年間で更新することとしており、最終年度となる令和4年度は主に玉之浦地区、久賀地区及び椛島地区の設備が更新される予定です。これにより、市内のほぼ全域(黒島、前島を除く。)で光回線でのインターネットサービスの利用が可能となります。

公共交通については、持続可能な公共交通体系を構築するため平成28年度に策定した五島市地域公共交通網形成計画の期間が今月までとなっていることから、現在、新年度からの次期計画の策定に向け作業を進めております。

 

陸上交通については、路線バスの廃止により交通空白地帯となった地域を中心に、乗合タクシーの導入等を行ってまいりました。

今後は、福江地区、富江地区及び岐宿地区で運行している電話予約制乗合タクシー「チョイソコごとう」と路線バス等との連携など、効率的な公共交通ネットワークの構築に取り組んでまいります。

 

本土と五島を結ぶ航路・航空路は、島民の往来や島外からの観光・ビジネス客の受入れによる経済活動の推進など、地域の維持・活性化に必要不可欠な公共交通機関として、極めて重要な役割を担っております。

引き続き航路・航空路事業者等と連携して、コロナの水際対策の実施など、安全で安定した運航に向けて取り組むとともに、持続可能な地域公共交通の維持のため、必要な支援を実施してまいります。

有人国境離島法による航路・航空路の運賃低廉化について、新年度から準住民の対象者に「介護等により反復継続的に来島する者」が追加されます。市としては観光客等にも制度が適用されるよう引き続き国や県に要望してまいります。

福江島と二次離島を結ぶ航路については、福江―赤島・黄島間で運航する「おうしま」が新たに建造され、4月に就航する予定となっております。また、久賀島航路の「シーガル」についても、新船建造に向けて関係者と協議を行っております。安全性はもとより、バリアフリー化など、船内環境の改善を図り、生活航路として安定した運航となるよう支援してまいります。

航空路については、ORC(オリエンタルエアブリッジ)が、現在長崎航路で使用しているボンバルディアQ200型機39人乗りをATR42-600型機47人乗りに更新する予定となっております。

市としては、県や関係市と共同で、パイロットの訓練費用などを支援してまいりたいと考えております。

また、五島つばき空港のさらなる利活用や機能強化による地域経済の活性化を図るため、同空港での給油機能の導入に向けた取組を関係機関等と調整しながら進めてまいります。

市役所本庁舎の整備については、平成30年度の本館棟の建替え工事など4年間にわたり実施してまいりましたが、今月末の外構工事の竣工をもって予定していた全ての工事が完了します。

この間、市民の皆様にはご不便をおかけしましたが、庁舎整備事業へのご理解とご協力をいただいたことに対しまして感謝を申し上げます。

昨年11月に奈留支所新庁舎の供用を開始しましたが、その他の支所についても支所庁舎整備基本計画に基づき整備を進めてまいります。

令和4年度は、富江支所庁舎の建替え工事及び三井楽支所増築棟の改修工事を予定しております。富江支所については、現在、旧議会棟及び富江町公民館の解体工事を行っており、令和5年度までに公民館との合築による新たな庁舎を整備します。

また、玉之浦町公民館の老朽化に伴い、玉之浦支所に公民館機能を持たせるための改修工事を実施します。

 

各支所庁舎の整備に当たっては、工事期間中、市民サービスの低下を招くことがないよう取り組んでまいります。

 

水道事業については、施設の更新に係る支出や料金収入の減少などにより経営環境が厳しくなることが予想されることから、五島市水道事業経営戦略とそのアクションプランに基づき、中長期的な視点に立った計画的な経営基盤の強化を図ります。

今後も引き続き、市民の皆様へ安全で良質な水の安定供給に努めてまいります。