6月の議会が終了してから、五島市内の各地(主に二次離島を始めとするへき地)を回っています。
その中で感じるのは、著しい活力の低下であり、人口規模から考えると二次離島は風前の灯だという事です。
五島市の島の人口推移
昭和30年代と人口規模を比較すると、その激しさが分かります。
●福江島
S30→73,891人
R3→33,189人
●奈留島
S30→8,492人
R3→2,052人
●久賀島
S30→3,807人
R3→294人
●椛島
S30→3,152人
R3→101人
●嵯峨島
S30→591人
R3→99人
●黄島
S30→651人
R3→35人
●前島
S30→223人
R3→26人
●島山島
S30→182人
R3→15人
●蕨小島
S30→78人
R3→13人
●赤島
S30→368人
R3→10人
●黒島
S30→190人
R3→1人
●葛島
S30→367人
R3→0人
●姫島
S30→81人
R3→0人
こうした小さな島々では、
- スーパーや買い物をする場所がなく
- 島から船に乗って病院に行くのにも大変であり
- 同じ介護保険料を支払っているのに同等のサービスを受けられない
というような地域間格差が生じています。
特に二次離島は人口減少と高齢化が著しいだけでなく、海上輸送に伴う難しさ(安定性・物価・少ない便数)があるため、民間企業が算入できない現実があります。
こうした現実に対して、民間が参入しない以上、行政が関与しないと、もうあと何年かで人が住めなくなるのは自明です。
地域間の格差を埋めるために
とはいえ、地方自治体も財政的な余裕がありません。
最小の経費で最大の効果を求められる中で、どうしても二次離島やへき地の問題は後回しにされがちです。
しかし私は、住みずらい二次離島やへき地にこそ、島の未来があると確信しています。
そこで、どんな手段が可能か?
私は
「時代の変化に合わせて資源を活用し、課題解決のプレイヤーを呼び込む事」
が大事だと考えています。
五島市の場合は
- 時代の変化=DX・場所に捕らわれない働き方の普及
- 資源=庁舎を始めとする遊休資産
- プレイヤー=民間企業やNPO
だと感じています。何しろ、二次離島は課題の宝庫です。
これを実現する方法として、
本所や支所を民間企業やNPOも利用できるサテライトオフィスとして機能転換する
案が良いのではないかと考えています。
庁舎のサテライトオフィス化
平成の大合併以降、いわゆる支所や出張所の機能は削減され続け、本所への集約が進められました。
大合併以降の支所機能
この一極集中が進んだ結果として、支所や二次離島は益々衰退していきました。
こうした流れを変えるきっかけとなるのがいわゆるDXであり、
従来のように対面での手続きをするために、わざわざ役所に足を運ぶ必要性はなくなります。
DX後は支所と庁舎をサテライトオフィスに
DXでオンライン手続きの利用が広がれば、物理的な場所への必要性は薄れます。
これを契機に、従来の一極集中の流れを逆転させます。
具体的には、本庁に集約されていた職員を、民間も利用できるサテライトオフィス(旧支所)に配置転換します。
これを行うメリットとして
- 職員の配置移動を通じた「地域間格差の是正」
- 民間企業・NPO・市民の協働による「課題対応力の向上」
- サテライトオフィスの賃料収入確保による「行政の予算配分力の向上」
が見込めます。
サテライトオフィスへのニーズ
ザイマックス不動産総合研究所が2021年6月に公表した調査データによると、
首都圏の企業1648社の中で、今後取り組みたいテレワークする場所に関する施策を聞くと、「サテライトオフィス」が 29.1%と、現在の導入率(18.9%)を 10.2 ポイント上回った。
とあります。さらに、今後のオフィス需要の見通しとして
コロナ危機収束後、サテライトオフィスを設置する物件に重視する要件を聞くと「セキュリティ性能が高い」(59.7%)が最も高かった。
とあります。
https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2021/06/2106-office_demand_survey_2021s-3.pdf
こうした変化は今後も加速すると見られるため、
本庁舎や支所をサテライトオフィスとして活用する事で、民間の活力を導入できる余地は大きいと感じます。
民間活力の有効活用は、佐賀県の武雄市や宮崎県の日南市での事例が参考になりそうです。
実際は地道な営業活動を通じて、案件を獲得するのが一番ですが、
まずはこうした方向性(一極集中の解消)を示す事が必要ではないでしょうか。