新型コロナの影響で、航空業界・観光飲食業を始め、多くの産業が打撃を受けています。
これに連動し、全国の自治体では大幅な減収減が見込まれます。
【浦安市42億円の市税減】
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63466230U0A900C2L71000
こうした事もあり、総務省は12月15日、減収補填債の対象税目の拡大を発表しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3037a78262e61423d4778b85bd0970113cd7bfd2
減収補填債とは?
地方税の収入実績が見込みより下振れした場合、自治体が不足する財源を穴埋めするために発行する地方債です。
要するに借金ですが、これは国が75%交付税を措置してくれるので、自治体の手出しは25%となります。
従来はこの対象品目が法人事業税など法人関係4税目に限られていましたが、不動産取得税や道府県たばこ税・市町村たばこ税など今回は対象を拡大しました。
この背景には、多くの地方団体から減収補填債の対象税目の拡大の要望がありました。
補填債項目の拡大の経緯
総務省の地方財政審議会(7月28日)で質問によると、
新型コロナウイルス感染症の影響により地方税収が大幅に減収となる恐れがあるが、地方消費税等を減収補填債の対象税目に追加することについてはどう考えているか。
という質問に対して
いまだ、どの程度の影響が生ずるか予測することは困難であるが、今後とも、地方団体の状況の把握に努め、その財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいりたい。
との回答でした。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chizai/02zaisei02_04001397_00064.html
この段階では、まだそれほど圧力は大きくなかったようです。
そして 11 月 18 日、11道県の首長が代表を務める「地方創生実現財政基盤強化知事連盟」は、総務省へ以下の要望活動を行いました。
- 新型コロナウイルスに対する財源措置の継続
- 減収補填債対象税目の追加 など
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/241908.pdf
更に12月10日の地方財政審議会では、
新型コロナウイルス感染症の影響により、通常の増減収を超えた大幅な減収が生じている税目を減収補塡債の対象に追加すべき
となっています。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000722561.pdf
こうした全国からの声を受けて、減収補填債の対象税目の拡大を発表しました。
まとめ
多くの自治体は、コロナの影響により減収が見込まれるため、地方自治体の首長同士でタッグを組み、国への要望を行っています。
とはいえ、今回追加となった税項目についても、自治体間での税収格差が生じそうです。
【追加項目】
- 不動産取得税
- 道府県たばこ税・市町村たばこ税
- ゴルフ場利用税
- 地方揮発油譲与税
- 航空機燃料譲与税
ある自治体では、今回の項目拡大により減収ダメージが幾分緩和されますが、上記外の減収が大きい自治体では、苦しい税収となりそうです。
自治体としては、これらの税収で補填される税額と、補填されない部分を精査し、来年度の予算編成を切り詰めていく必要がありそうです。