日銀によると、
来年度の早い時期にデジタル円の実証実験を始める
との事。本日は、デジタル円の導入はいつ頃になりそうかについて、最新の事情を分かりやすく解説します。
目次
そもそもデジタル円とは?
発行主体が政府
既に電子マネーや仮想通貨など、デジタル化されている通貨のようなモノは沢山あります。
こうしたモノとの違いは、「発行主体」です。
あくまで国の責任で発行するデータである事が大きな違いです。
共同通信によると、
中央銀行デジタル通貨(CBDC)を実際に発行する際は、搭載する機器の種類を一つに絞り込むことを検討していることが24日、分かった。機械の操作に不慣れな高齢者や子どもに配慮しつつ、スマートフォンやICカードなどの候補から最適な方法を選ぶ。
との事です。
既存の通貨との違い
- 現金と同じ価値を持つが、やり取りが電子上で残る
- 現金自体は物理的に存在しない
なぜ今、デジタル円?
1.社会のデジタル化が急速に進んでいる
コロナ化で様々なやり取りが電子化されています。
感染リスクの低減という意味でも、非接触型の通貨に関心が高まっています。
2.世界の各国の研究が進んでいる
一番の理由は中国のデジタル人民元の動きです。深圳では5万人で実証実験が開始されます。
世界の通貨覇権を握ろうとしているのでは?
との警戒があり、政府にも研究を促す動きがあるそうです。
アメリカ中国に先行され主導権を握らせたくないとの思惑があり、危機感を強めているそうです。
こうした中、日本は今年の初めからカナダやアメリカと共同研究を重ねてきました。
デジタル円のメリット
コロナ下で進んでいるデジタル化の流れと同様に、デジタル円には様々なメリットが考えられます。
- 国民の支払いや送金が簡単になる
- 政府が脱税行為の摘発がしやすくなる
- 日銀の通貨発行(紙媒体)のコストが減らせる
デジタル円の課題
サイバー攻撃
これが一番大きな課題です。もしもハッキングされてお金が盗まれたら、通貨の信頼性が地に落ちます。
とはいえ、セキュリティに完璧はありませんので、どこまで防御できるかがポイントです。
仮想通貨でも多くの盗難事件が発生しているので、このハードルを越えるのは容易ではありません。
個人情報の保護
中国のように、
「国民への監視が強化されるのでは?」
と心配される方も少なくないでしょう。
マイナンバーの時も同様ですが、個人情報が政府に筒抜けの状態となります。
それ自体を嫌う人もいるでしょうし、通貨履歴の把握にも明確なルールが求められます。
デジタル円の考え方
1.デジタル通貨と現金の共存
日本政府は、スグに現金を廃止するのではなく、共存して使う方針です。
最初は上限額を設けて段階的に使う事も想定しているそうです。
徐々に浸透させていくやり方の方が、周囲からの反対も少なくリスクも低く抑えられそうです。
2.誰でもどこでも安心して使える
スマホや操作に不慣れな人がいつでもどこでも安心して使える事が大事です。
ICカードの配布もアイデアの一つだとされています。
マイナンバーとの連動性も大きな課題です。
3.民業を圧迫しない
交通系のICカード、電子マネーが普及しているので、民間企業の努力を無駄にしない事が大切です。
もしも現金が全てデジタル円に置き換われば、
銀行の現金の引き上げ→銀行の収益悪化
に繋がります。こうしたことから政府では、一旦銀行を通す方法を検討中との事です。
デジタル円を使う日は近づいている?
最大の課題は技術とルールを確立する事です。
セキュリティとデータの扱いをどうするかは国民的議論が必要であり、ハードルは高いとされています。
現段階では、デジタル円を発行できるかは分からず、ヨーロッパは来年半ばにも導入するかどうかを決めるそうです。
まとめ
中国のデジタル人民元、コロナ化でのデジタル化を背景に、デジタル円の導入に向けた実証実験の構想が進められています。
日本では乗り越えるべきハードルが山積しているため、今後もどうなるかは分かりません。
現在政府が進めようとしている「デジタル化」の中で、通貨の位置づけが大切になって来るでしょう。