国内最大の観光地・八重山
定番の観光地・八重山諸島は、東京から2,000km、沖縄本島から400km。北緯24度に位置する日本最南西端の島々です。
詳細はこちら。
http://www.ishigaki-airport.co.jp/yaeyama.html#ishigaki
本日は、そんな八重山諸島の観光客数のご紹介です。
観光客数推移
H1~H30までの推移は以下の通りです。(令和元年6月6日発表のデータを基に、筆者作成)
情報元:https://www.pref.okinawa.jp/site/somu/yaeyama/shinko/documents/documents/kankoutantou.html
全体的に増加傾向ですが、特に直近10年間の伸びが大きいので、更に細分化してみてみます。
H21年とH30年を比較すると、観光客数は1.88倍にもなっています。この要因としては、平成 25 年3 月の南ぬ島石垣空港開港以降、
- 格安航空会社の参入
- 大手航空会社の中型機導入など航空運賃の低廉化
- クルーズ船の寄港による外国人観光客の急増
などがあります。国土交通省の調査( クルーズ等の観光による八重山地域活性化のための基盤整備検討調査)によると、
石垣港は、全国有数のクルーズ船寄港地であり、近年特に大型クルーズ船の入港回数が増加している。
これを踏まえ、石垣市は平成 22 年にクルーズ観光を含む観光振興を行う方針を決定し、官民一体となってクルーズ船誘致・外国人を含む八重山地域への入域観光客の受入体制づくりを開始した。
とあります。
https://www.mlit.go.jp/common/001040095.pdf
今後は八重山だけでなく、宮古島でもクルーズ船の誘致が加速する予定となっています。
クルーズ船専用岸壁 2020年4月運用開始へ
http://www.miyakomainichi.com/2018/01/104791/
住民感情は?
こうした観光客の増加に対する地元の反応はどうなのでしょうか?
2018年6月の琉球新報によると、
市内への観光客数について「やや減らすべきだ」「減らすべきだ」との回答が合わせて47・4%と、「現状維持」の35・1%を上回った。
8日に市健康福祉センターで開かれた市観光プラットフォーム会議(市主催)で報告された。「やや増やすべきだ」「増やすべきだ」は合わせて17・6%だった。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-739976.html
とあります。増えすぎる観光客数を心配する声も大きいことが伺えます。
計画上は増える観光客
ところが、行政の計画上(H29.9月の石垣市第4次総合計画)では、今後数年間は、更なる観光客数の増加を見込んだものとなっています。
出典:http://www.city.ishigaki.okinawa.jp/home/kikakubu/kikaku/kihonkousou/kihonkeikaku4_kouki.pdf
観光客が今後も増えると仮定した場合、当然ながら
- 住環境と自然景観の悪化
- 観光客のマナーに対する不満
等が課題になると考えられます。行政の立場としては、受け皿を増やすために施設を作ったりすることは簡単ですが、
数を抑制し、環境保護や生活を守るという発想には中々至らないので、心配な面もあります。
一応、上述の計画書上は
自然エネルギーの推進、エコアイランドの構築に向け、環境共生型住宅の推進を図ります。
と記載され、
・エコツーリズムの推進
・自然環境及び地域独自の文化の普及活動
・サンゴ礁保全の取組み
等が記載されています。
八重山諸島は五島列島の目指すべき形?
私が住んでいる五島列島では、年間の観光客数26万に向けて、
- 空の便を含む交通網の整備
- インバウンド向けの対応や誘致
が推進されています。
その路線を突き詰めると、今の沖縄・八重山の姿と重なっていきます。
私はよく五島に来る観光の方から、
(悪い意味で)沖縄みたいになってほしくない
という話を聴きます。沖縄では、急激な観光客の増加に伴い、乱開発気味になっていると聞きます。
昨年は五島でも、教会群が世界遺産に登録されましたが、観光客はぶわーっと教会に来て、お金も落とさずに帰っていく事が多いため、経済効果は疑問です。
参考記事:
五島列島は、沖縄の島々と数多くの共通点を抱えています。
- 物理的に閉鎖されている
- 国境離島の島であり、国防的な側面が大きい
- 高校までしか学びの場がない(島が多い)
こうした中で、五島市は市政方針として
観光客やファンが増える→経済効果が生まれる→雇用が生まれる→人口減少対策に繋がる
を図っています。
八重山諸島は、いわばこの「五島市政の論理の延長線上」に位置していると感じます。いわば「島の先輩」と言えるのかもしれません。
実際、星空ナイトツアーなんかも、石垣島での取り組みをかなり参考にさせてもらっています。
今後も観光施策と環境・住民保全の在り方を巡り、状況を見守っていきたいと思います。