中西の目~台湾リスと人間中心社会~

  • 2019年6月1日
  • 2019年6月1日
  • 雑談

市長コラム

月に1度、広報誌が出るたびに、「市長の目」というコラムが掲載されます。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s014/020/020/010/010/2019/060/20190526134448.html

6月の市長コラムは、「ゴミのポイ捨てはやめしょう」でした。私もそれに倣って、月一でコラムを書いてみます。

第一回目は、タイワンリスのお話です。

有害鳥獣として

タイワンリスは、五島市が指定する「有害鳥獣」です。

広報ごとう6月号によると

このリスは在来種ではなく外来種で、30年前から鬼岳周辺に生息が確認されているそうです。

五島市はこのリスの駆除に力を注いでおり、年間で2000匹も捕獲して殺処分をしているそうです。駆除の理由としては

  1. 農林業への被害
  2. 生態系への被害
  3. 人の生活への被害

などが挙げられています。しかし疑問なのですが、「生態系への被害」を真面目に考えた場合、一番被害を与えているのは人間です。

  • 山や海の乱開発
  • 大気汚染とゴミの大量廃棄

など、人間の活動が生態系に与える影響は甚大です。もしも今後、「全世界・いきもの会議」が開催された場合、

人類、ふざけんな!!

という声が、各動物界、植物界、更には昆虫界からも噴出してくるでしょう。私の疑問はそういう部分でして、

一番生態系に悪い影響を与えている人間が、タイワンリスを凶弾するのは、筋が通らないのでは?

という点です。広報ごとうにも書いてある通り、タイワンリスに罪はありません。

人間中心の発想

その他の駆除理由「農林業への被害」、「人の生活への被害」についても、結局は「人間中心」の考え方が基本になっています。

昔は五島でも大量の魚が採れていましたが、今はめっきり漁獲量が減ってしまったと聞きます。

これには複合的な要因があると考えられますが、その一つとして、「護岸工事による山と海の分断」が挙げられます。

便利で効率的な生活と産業を支えるために、大量のコンクリートが山と海を隔ててしまったため、山の豊富なミネラルが海に運ばれなくなり、結果的に海が貧弱になった、という感じです。

これも長い目で見れば、「人間が自然を乱開発したから生態系が乱れ、結果的に魚が採れなくなった」という事で、自業自得に過ぎないと思います。

古い時代の産業

昔は五島でも、生活のためにクジラを採る、という事をしていました。

ただ、そんな暮らしの片隅にはクジラのための供養の碑が立てられていて、自然の中から幸を得られた食料に対する感謝の念がありました。

現代では、捕鯨を巡って世界的には禁止の機運が高まり、それは哺乳類全般にも波及しています。日本でも犬猫を巡って、法整備が進んでいます。

5月31日の読売新聞によると、

衆院環境委員会は31日、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(会長=尾辻秀久・参院議員)が取りまとめた動物愛護法改正案を委員長提案とすることを全会一致で可決した。6月6日に衆院本会議で可決され、参院に送られる見込み。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190531-OYT1T50318/

だそうです。犬や猫とリスとの違いは、論理的にはありません。ただ、人間の生活にどれだけ悪影響を与えるか?

という点だけです。

人間中心の発想から

持続可能な社会の実現に向けては、ゴミの排出やエネルギーの使い方も含め、

人間中心の発想

の転換が求められています。

そうした中で、全ての動植物の生態系バランスを、人間がコントロールしようとする発想も、転換が求められています。

しかし現実的な問題として、イノシシやシカが生活に与える影響も、深刻な問題となっています。

そうした中で、私は従来のように、

駆除するだけが解決策ではない

とも思います。市長風にまとめると、

 

五島を訪れるであろう人が自然の景観を楽しめるように、

そして私たちを含む生態系全体を持続的に維持するためにも、

人間中心の発想はやめましょう。

私たちのモラルが問われています。

 

っていう感じだと思います。