本日は五島市の医療体制についてです。市議会の答弁を基に、五島市の医療を見ていきます。まずは現状から。
診療体制は十分?
(H27,3月橋本議員より抜粋)
例えば、定期的に五島中央病院で健診をいたけれども、突然、手遅れと診断されました。
そしてまた、ことし1月には五島中央病院では手術をしてもらえず、大村の国立病院で手術をしてもらった。
そのため交通費や宿泊費など、大きな負担になってしまったという声です。
医療面において安心して暮らせる五島市の実現のために、市長はもっと尽力すべきではないでしょうか。
こうした声は、多く聞きます。では実際、病院の運営形態はどのようになっているのでしょうか。
運営形態と市長の要望
(H27,3月野口市長より抜粋)
五島中央病院は、極端に言うと市民病院ではございません。病院企業団という別途の形態があって、その中でマネジメントされながら運営をされております。(中略)
運営会議というものがございまして、昨年もあって参加をしてきたんですが、その中では五島中央病院の医療体制の充実、
そして橋本議員からはPTの増員、こういったこともありましたので、そういったことも含めて要望をしてまいりました。
病院企業団のHPによると、
病院を経営する特別地方公共団体(一部事務組合)として平成21年4月1日に発足しました。現在、構成団体は長崎県と6市1町で、8病院と3つの附属診療所を経営しています。
病院の所在地は離島及び本土周辺部であり、人口減少に加え、医師・看護師の不足や地域偏在など、厳しい経営環境におかれていますが、継続性ある医療の確保と医療レベルの維持という大きな責務を果たしています。
と紹介されています。複数の施設を1つの事業者が経営することで、スケールメリットを生かした医薬品などを共同購入しコストの縮減が可能となります。
それでは次に、「企業団と市との関係」についてです。
運営負担金と国の補助
企業団の運営負担金として、五島市が病院への予算を計上しています。(以下、H27,3月橋本議員より抜粋)
この4年間の予算額を見た場合、8億7,000万から9億1,000万、毎年ほとんど変わらない、または上がってきているというのが今の五島中央病院の運営費負担金です。
ほかの事業においては医療・福祉・教育、五島市においてはいろんな部分で負担削減がされてきています。負担削減というか、予算が削減されるという面があります。
金額だけ見ると大きいですが、ここには国からの補助金が3分の2程度を占めています。
経費の国補助
(H27,3月野口市長より抜粋)
市からの負担金につきましては、病院の赤字を補填するものではなく、負担の要綱に基づきまして病院経営の安定及び市民の健康な生活を確保することを目的に、それぞれの構成団体が負担するものとなっております。
具体的な内訳としては、離島医療を確保し安定的に提供するための経費として、地方交付税で措置をされている約6億1,000万円でありまして、残りは医師確保対策経費や看護師等の養成経費、結核医療等の不採算医療の提供に要する経費となっております。
こうした中で、五島市が出来ることは何でしょうか?
市の出来る事
(H27,3月野口市長より抜粋)
ただ、それ以外(国からの補助金6億以外)の経費については、医師給与の増嵩手当とか、あるいは児童手当に要する経費とかいうことで、ほぼ県と市の間でルールができておりまして、唯一我々がやって減らせるというのは、建設改良費に対する助成です。
ただ、どういったものを整備してきたかというと、CTだったりMRIだったり、あるいは血管造影装置だったりということで、これを削るのは五島中央病院の医療の充実ということを考えると、なかなかこれもお願いできる話ではございません。
したがいまして、せっかくこうやって入れた機械でございますんで、もっと病床利用率を上げて多くの市民の方に役立つと言いますか、そういった利用の仕方をしていただくということで、むしろ病院のほうにはこれからも病床利用率が最近下がってきておりますので、こういったものをしっかりとよその病院並みに確保して、こういった努力をお願いをしていこうというふうに思っております。
つまり、五島市がお金の面で調整出来るのは、「機材の購入費用」だけだという感じです。
まとめ
今までの話をまとめると、
- 五島市の最大の病院である五島中央病院は、長崎県病院企業団が運営している
- 五島市から病院企業団への負担金は、年間で9億円前後
- 負担金のうち6億は国の補助金であり、五島市が減らせるのは機材のお金(建設改良費への助成)のみ
という状況です。財政的に、お金の面での支援が厳しい五島市としては、
医者にとって魅力的な住環境の整備やPRを行う事
が、医療の質を向上させる方法ではないでしょうか。