データ産業
30年前、誰もスマートフォンなんか持って海外の友人とメッセージのやり取りが出来るなんて思っていませんでした。
情報技術の進展により、世界との距離は格段に近くなりました。
そしてこれからの30年は、ますます多くの人が情報産業の中に生活基盤を移していくことになります。
そんな将来を見据え、「自治体として」データ産業をどのように興し、発展させていくかについて、ご紹介します。
なぜデータ産業?
そもそも、自治体として「データ産業」に取り組む目的の一つは、地方の税収増加です。
特に五島市は、自主財源比率の8割を外部に依存している状況です。
基礎自治体として、住民に良いサービスを提供するには、お金が必要です。
現在はそれが不十分であるため、企業誘致によって自主財源となる税収を増やすという作戦です。そこで、なぜ「1次産業」や「2次産業」ではなく、「データ産業」に的を絞るのか、という点についてご紹介します。
一言で言えば、それが「時代の流れだから」という事です。さらに言えば、
- まだどの自治体も、明確なビジョンを掲げていないから
- 離島の閉鎖空間という地形的な特性を活かせるから
- 国境付近の離島は、国防の観点から振興が求められるから
- 他の産業と比べ、初期投資のコストが低く抑えられるから
といった理由が挙げられます。
「ビッグデータ」とか「人工知能の活用」と言った話は、既に多くの企業が資本を投下しているビジネス領域ですが、自治体としてその流れに最大限歩調を合わせている主体が存在しません。
具体的にはどうするの?
ビジョンとしては、国家戦略特区が掲げている「スーパーシティ構想」に近いです。社会全体を、IT技術との親和性を高めるという理想です。
方法としては他にも、
- 無人島の活用を目指す企業へのネーミングライツ提供(ZOZOマリンフィールド的な)
- コンテンツ制作によるライセンス収入
- 気象・海流データの販売による収入
- 市役所庁舎の民間企業への開放
など、データを用いたビジネスの環境を整備し、そこから収益を生む仕組みとします。データ産業の楽市楽座っていう感じでしょうか。
データ産業を基幹産業に位置付けることで、社会全体が大きく変わります。
- 一次産業での自動化やロボットの活用
- 交通分野での自動運転の実現
- 医療・介護分野での人手不足解消
- 小売・流通分野での生産性向上
- 建築・工場での生産性向上
それだけでなく、政治の分野でもいわゆる「ポリテック」を実現することで、得られる恩恵も大きいです。
民主的な合意形成
ただ、「データ産業」を興すことこと、それ自体が目的になっては意味がありません。あくまで「データ産業」は、住民の暮らしを良くするための産業です。
仮に「データ産業」で自前の税収が増えたとしても、市民の暮らしが良くならなくては意味がありません。
では、「良い暮らし」とは何でしょうか?
これこそ、自治体が決めるべきことではなくて、住民が一人一人決める事です。ですので、住民の民主的な意思決定を支える基盤としても、「データ産業」が活用できます。
従来の意思決定、例えば選挙では、
- 決められた投票日に
- 決められた投票所に行き
- 選挙用紙に名前を記入し
- 委員会が規定のルールに従って仕分ける
という、非常に社会的コストがかかるプロセスが用いられてきました。その部分のコストを引き下げるために、例えば電子投票を採用すれば、住民投票を行う場合のコストも格段に下がり、より民主的な意思決定が可能となります。
まとめ
五島市が良くなるためには、
- 税収を増やし自主財源を確保
- 住民の意思を反映した政治的な意思決定プロセス
が必要です。
そのための手段として、「データ産業」を興し税収を高め、住民の意思決定コストを下げることが必要です。