高齢化するガイド
五島列島を含む集落・教会群が6月に世界遺産登録されてから、観光客もじわりじわりと増えています。
そうした中で、突然船の会社が倒産してしまったり、観光施設が休業をしてしまったりというトラブルが発生しています。
それ以上に、観光の現場で深刻な問題となっているのが、「ガイド不足と高年齢化」です。
五島市のガイドについては、メンバーの平均年齢が65歳くらいです。なぜ若い人のガイドがいないかと言えば、理由は単純で、
ガイドだけでは飯が食えないから
です。会社員としてのガイドでは飯が食えますが、それも会社の経営次第です。
ガイドは成長産業
しかし今後は、ますます仕事が機械化され、多くの仕事が必要なくなります。
そうした中で、ガイドという仕事は、機械には代替されない仕事となります。
正確に言えば、
「セリフを棒読みのガイドはロボットで代替可能だけど、人間味のある面白いガイドの価値が相対的に高くなる」
ということです。ロボットガイドと面白ガイドだったら、面白ガイドにお金が集まります。その仕事の中身は複雑で、
- お客さんの表情を読み取り(認知)
- お客さんに伝わる言葉を取捨選択し(処理)
- 適切なタイミングでコミュニケーションを取り(出力)
その結果として「お客さんを喜ばせる」という仕事です。
この分野は、まだまだ機械では代替不可能な領域です。
そういうわけで、本日は「ガイドが飯を食うためには」というテーマです。
ガイドを縛る「固定給」制
ガイドの仕事は基本的に、
〇〇ガイド:5時間 6000円
というような形で仕事の依頼が来ます。
ベテランになれば金額も上がりますけど、いつも仕事があるわけではないので、どうしても安定した収入にはなりません。
五島のガイドでいえば、平均時給は1000円~1500円くらいです。一般の事務職と比べれば割が良いかもしれませんが、
- 長時間は働けない
- 毎日仕事があるわけではない
という点で、やはり収入は不安定です。
それに加え、ガイドのレベルも千差万別ですから、お客さんからしても「当たり外れ」が大きくなってしまいます。
導入すべき「投げ銭」スタイル
本日ガイドをしていたら、嬉しいことにこんなアンケートを頂きました。
これってお客さんからしたら、「+αでお金を払っても良い」というサインです。
それでも現在の仕組みでは、この+αの部分をガイドが収入として吸収できません。
そこで、ガイドが導入すべきスタイルは、海外にチップのような「投げ銭」スタイルです。
固定給+投げ銭
を導入することにより、こうした
「固定給以上のサービスに対する支払」
を取り込み、ガイドのスキルを高めるインセンティブが生まれます。
金持ちが満足するサービス
例えば、ビルゲイツ的な大富豪が来て、ガイドを依頼したらどうなるでしょう?
1回のガイドで、民間給与の年収を上回る金額を貰えちゃうことが容易に想像できます。
それは極端な例としても、大体旅行でガイドを頼む人というのは、「大なり小なりお金を持っている人」たちです。
例えば10人の相手をして、今回と同じように「+8000円」のインセンティブを全員から頂ければ、1回で8万円の利益となります。
ガイドの仕事って、実はそういうワンちゃんで凄く儲かるポテンシャルを兼ね備えた仕事なんですよね。
投げ銭スタイルの実現方法
具体的な方法論としては、
- スマホのアプリでプラットフォームを作り
- 即時決済可能なサービスの導入
をすれば、簡単に出来ます。今でも海外では、ストリートライブの賽銭箱はスマホのQRコード(投げ銭)だったりします。
もっとアナログなやり方としては、献金箱のようなモノをガイドが持ち歩き、お客さんから現金を頂いても良さそうです。
まとめ
今後、ますます進む「機械化」の流れの中で、人間同士の繋がりの価値が相対的に高まります。
分かりやすく言うと、AIスピーカーとのコミュニケーションよりも、「生きた人間との会話」に対するニーズが高まり、より多くのお金が集まります。
そうした変化の中で、ガイドの仕事は代替されづらい成長産業となります。それに加え、ガイドの仕事自体、少なからず「お金に余裕のある人たち」に向けたサービスです。
しかしながら、現在はガイドの仕事は若者の就業者が少ないのが現状です。
その理由は、「固定給」システムでの不安定収入にあります。
その課題を解決するために、「投げ銭」システムを導入することにより、ガイドが持続的に成長するインセンティブが生まれていきます。
「投げ銭」が一般化することにより、ガイドが成長産業と認識され始め、様々なジャンルのガイドが生まれます。例えば五島では、
- 五島の植物専門ガイド
- 五島の二次離島専門ガイド
- 五島の墓石専門ガイド
- 五島の野鳥専門ガイド
などなど。
これからの時代、コミュニケーション力の高い若者が「ガイド」のスキルを磨き、余裕で「飯が食える」時代になっていくでしょう。