JERAの米火力発電所の投資に対する社会的な影響は?

JERAって知ってます?

本日はこの記事の紹介と解説です。

端的にまとめると、

JERAがアメリカで発電事業を始めますよ!

ってことです(JERAに関してはこちらの記事が参考になります)。

東電と中電による新会社の設立は、小売自由化に伴う業界再編の流れと言えます。

なんで海外で事業?

いうまでもなく、東電の原発事故の賠償金額が天文学的な数字になっているからです。

毎日新聞の記事によると、2016年時点で20兆円とされていますが、今後金額が増えることはあっても減ることはないでしょう。

国内の市場を見渡すと、エネルギー需要の増加が見込めないことに加え、発電効率が上がるからそもそも売電による稼ぎは期待出来ない状況です。

実際、4/17の日経新聞の記事によると

海外事業は収益の柱として期待されている。

とあります。そこで本日は、収益に直結する火力発電事業と、日本のエネルギー供給に大きな関わりのある燃料調達事業についてご紹介します。

火力発電事業

アメリカはシェール革命によって、「国内で調達できる燃料」という大きなアドバンテージを手に入れました。

経済産業省の記事によると、米国は現在

  • 世界最大の天然ガス供給国
  • 世界最速のペースで原油生産の拡大を進める生産国

となっています。

これって国として、非常に有利な立場になる訳です。

例えば日本と比べると、日本はエネルギーを生み出す燃料を「調達」するのにコストが掛かりますので、

  • 海上輸送(シーレーン)の安全性を確保
  • 燃料自体の輸送費用がかかる

という「コスト」が必要となります。ですのでエネルギーを扱う事業者にとってみれば、

  1. 燃料の供給基
  2. 発電施設
  3. 消費場所

これらの3つは「近ければ近いほどコストが安く済む」ということになります(考えてみれば当然ですが)。

その点、アメリカは燃料を自分で調達し、自分の国で発電できるため、輸送コストも抑えられ、発電事業が効率的に行えます。

投資会社としてJERAがアメリカの火力発電に目をつけるのは、こうした特性があるからです。それに加え、

JERAは出資先の発電所の運転・保守支援も手がける

とありますので、日本で培ったノウハウを活かしてコストを更に圧縮し、利益を出すシナリオも描けている感じですね。

燃料調達事業

記事には触れられていませんが、JERAが発電事業を行うことにより、日本の燃料調達にも良い影響があると考えられます。

その理由は、アメリカの発電所で使われずに余った燃料を、安価な値段で日本や海外の市場に売り出すことが出来るからです。

特に日本の海外からの燃料調達は、国家の生命線ともいえるパイプラインですので、中東の政治情勢に左右されるような従来型の供給依存よりも、格段に安定性が高まると考えられます。

企業の利益<日本の利益

アメリカ発の「シェールガス革命」によりエネルギー資源の供給基が増え、アメリカでは中東に対する依存度が徐々に低くなりつつあります。

アメリカの発電事業を買収することにより、結果的には日本もその恩恵にあやかることができそうです。

今回の記事では、買収する目的が

「東電の原発事故の補填をするため(会社の利益)」

のような印象を受けますが、新聞記事としては

「日本の資源供給の安定性を高める(社会の利益)」

という部分にフォーカスしたの方が、社会的な影響度の大きさを伝える記事としては良かったと思います。