目次
SFだと思って読んでください
2050年の歴史の教科書ってどうなっているでしょうか?
どんな出来事が記述されるでしょうか?
私なりに考えてみましたので、SFだと思って読んでいただけると幸いです。
巨額の財政赤字
日本政府は、巨額の財政赤字を抱えたまま、超高齢化社会を向かましたが、人口減少対策として移民政策を打ち出しませんでした。
日本政府は、「国債は国内で消化されているから大丈夫」という建前で借金を増やし続け、表向きは「経済成長による税収増加」を目指しました。
しかしながら、「アベノミクス」による成長戦略は、借金を賄えるには程遠い状態が続き、超高齢化社会を背景に社会保障費が膨らみ、財政赤字は解決不能な状態となりました。
政府の裏対策
その一方で、政府は「特定秘密保護法案」、「集団的自衛権」といった法律を整備し、戦争の下準備を行っていきました。2020年に念願の新憲法が施行され、自衛隊が合憲化されました。
こうして日本政府は、
「国民に内実を知られないまま、堂々とアメリカの戦争に加担することができる状態」となり、「戦争による有事の打開」という選択肢を手に入れました。
北朝鮮を巡るサイバー戦争
一方で、独裁政権により国際社会に対する挑発行為を続けてきた北朝鮮と、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権の間では、水面下でサイバー攻撃による応酬が行われていました。
世界中から優秀なIT技術者を集めたアメリカの軍事司令部は、サイバー攻撃による北朝鮮側の「指揮命令系統」を乱すことに成功し、最も懸念される「核攻撃による米国本土への反撃」を無力化することに成功しました。
圧倒的な軍事力により、北朝鮮側の反撃を最小化できると見なしたアメリカは、アメリカにとって最も有利なシナリオを作りました。その中身は
- 北朝鮮からの日本・韓国本土への先制攻撃
- 日米韓軍事同盟の反撃
- 北朝鮮の軍事独裁体制の徹底破壊
というストーリーであり、日本と韓国にも戦争に加担する大義名分を与えるものでした。しかしながら、その筋書きは一般の国民には知らせないまま、北朝鮮による攻撃が開始されました。
東京オリンピックからの凋落
アメリカの筋書き通りに朝鮮半島での戦争が勃発しましたが、人口オーナス社会という構造的な問題を抱える日本経済は、1950年代の「朝鮮戦争」の時のようには恩恵がもたらされませんでした。
そんな戦争状態の中で2020年、東京では1964年以来2度目のオリンピックが開催されました。最先端の技術国であることのPRを試みた日本政府は、多額の歳出増により、更なる財政赤字を増やす結果となりました。
そうした中、戦争による事態の打開をアメリカと共に隠蔽工作したことが、国民の間に露見する事件が発生しました。
積み重なる国債の残高と、日本政府に対する信頼がついに失墜し、国債の暴落が一気に始まりました。
国債の暴落とハイパーインフレ
国債の価格が暴落することにより金利が急上昇し、歴史的な水準でのハイパーインフレが発生しました。
そこで日本人はようやく、日本銀行券がただの紙切れに過ぎないと言うことに気が付きましたが、世界のマネーは一瞬で日本から飛び去っていき、日本経済は完全にマヒ状態となりました。
一番被害が大きかったのが、「便利で効率的な仕組み」の中で暮らす都市住民でした。便利さの代償に複雑化されすぎた仕組みの中では、一部の機能停止が全体の機能停止に繋がり、買い物はおろか移動さえも出来ない状態となってしまいました。
都市部で生活を送る3割以上の国民は、都市機能の麻痺により生活を送ることが困難となったため、生活コストの少ない山間部や田舎の地域に移り住んだり、土地を手放して得たお金で海外に飛び立ったりしました。
国土の割譲による経済支援
2025年、国債の暴落により信頼を失った日本政府に代わり、アメリカ・ロシア・中国・韓国と言った国々の間で、「日本再生委員会」が発足され、ギリシャの財政危機と同じように、財政復興が図られました。
日本政府にとっては、信頼を取り戻せる手段は「土地」しか残っていなかったので、海外からの経済支援を得る見返りに、北海道・沖縄・周辺離島と言った地域を、他国や企業に割譲することにしました。
割譲された日本の土地には、独自の「自治法」が適用されることなり、独自のルールと文化が生まれる背景となりました。
「グローバル企業」による土地開発
Google、Apple、Facebook、Amazonと言ったグローバルにサービスを展開する企業を筆頭に、日本の土地を活用した財政支援策が申し出されました。
こうしたITグローバル企業は、政治的な中立性を条件として旧日本領を自由に活用することが出来る権利を獲得し、新しい時代の種となる実証実験のフィールドとして、日本の技術も取り入れながら土地を活用しました。
私たちが現在使っている「人口○○」のサービスの多くも、こうしたITグローバル企業の恩恵を受けています。
アジアからの大量移民
一方で、高齢化に伴い経済成長の速度が鈍ってきたアジアの国々は、増え続ける人口の「受け皿」が不足していました。そこで「自治法」を適用した旧日本領土には、大量の移民が入植することになり、血縁・文化の混合が加速されました。
安定した社会基盤を持つ旧日本領への入植希望者は、世界中から年々増え続けました。経済支援を申し出た各国の間では、優秀な頭脳を獲得するために熾烈な「移民獲得競争」が展開され、ユニークな発想が次々と生まれました。
入植地の中には、IT技術を活用した「人工知能による自治権」を導入する地域や、「再生可能エネルギー売電による経済圏」を確立する地域が生まれ、行き場を失った世界のマネーの受け皿としての役割も果たしました。
コラム:旧日本領の人の声
(2017年から旧日本の離島に移住している60歳男性の声)
ええ。私は2017年から、旧日本領のある島に移住しました。
折角面白いネタが沢山眠っているけど活用されてなく、「勿体無いなあ」と思っていましたよ。
今振り返ってみると、日本が瓦解したおかげで独自の自治ルールが制定されることになり、世界中からアイデアが集まり、活気が生まれてよかったと思います。
旧日本を振り返ってみると、「社会保障」はすると言ってましたけど、それをするだけの「経済成長」はできてませんでしたね。
一体どうするつもりなんだろうって?って思ってましたよ。笑
やっぱりこれだけ個人個人が繋がっている時代ですから、戦争に頼るのではなく、外からの活力やアイデアを積極的に受け入れていかないとダメですよね(遠い視線で)。