サラリーマン時代の生活簿
私は大学を卒業してからSEとして働き始め、5年目に退職した。
新卒で働き始めた会社の給料は、他の同年代の人たちと比較しても悪くなかった。
それどころか、年収で言えば国内でもトップクラスの会社だったから、決して生活に困っているというわけでもなかった。
だがしかし、毎月振込まれる金額は確定しているものだから、当然使えばなくなる。
私はせめて赤字にならないようにと「生活簿」をつけ始めていた。
数ヵ月後の目標だとか、数年後の目標だとか。
見込まれる賃金の上昇は殆ど予測可能だから、必然的に切り詰めるべきは生活の娯楽費となる。
娯楽費も人それぞれだ。
私は外で飲み歩くのが好きな性格なので、支出の管理をしていないとドンドンとお金はなくなってしまう。
将来的な起業みたいなものを、(当時は)漠然と考えていたので、最低限○万円は貯金をしておこう、という発想になる。
固定収入から変動収入へ
そして全く縁もゆかりもない離島で生活をはじめ、4ヵ月後に個人事業を始めた。
日本人的な安定志向の発想からすると、『変動収入』はとてもおっかなくてびっくりするものに感じられるだろう。
離島生活では今のところ、「会社員時代に築いた貯蓄」を、春の雪解けのようにじんわりと切り崩しながら生活をしているのだが、考え方は少し変わった。
会社員時代は、毎月の決められた収入(固定)をベースにして毎月の支出を割り出していたので、支出が多い月は、
「何を減らそうか?」という節約志向の発想になる。
しかし、個人事業主としては、固定給が決められていないため、支出が嵩んだ場合は、
「どうやって収入(=稼ぎ)を増やそうか?」
という発想になる。
一寸先は闇だけど
当然、稼ぎが途絶えれば支出も減らさなければいけない。
不安定で見えないから、尻すぼみにもなりがちだ。
しかしその先には、明るい光が差し込む可能性だってある。
少なくともこれだけ場所と時間に縛られずに生きることが可能な世界なのだから。
限られた収入の中から日々の支出をやり繰りするのではなく、
上限のない収入を増やすため、日々のプランをやり繰りする。
例えば空いた時間で新しいお小遣い稼ぎをするのも良しだし、別の企画を考えても良い。そうなると、視野は必然的に生活の外側に向かっていく。
サラリーマンと個人事業主の一番の意識的な違いは、お金との向き合い方が
- 「生活の内側」に向いているのか
- 「生活の外側」に向いているのか
ではないだろうか。
お金なんて、なくなったら稼げばイイ。
離島で事業を始めてから3ヶ月。良くも悪くも「お金を使うこと」に対する抵抗感が緩和されたような気がする。