市議会RAG制作を通じて、改めて合併以降の主な五島市政の流れを分析しています。
参考資料
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s014/020/050/20thkinenshi.pdf
平成の大合併後の議会解散の概略
市の発表としては以下の通りです。
上記だけだと少し内容が分かりづらいので、議事録情報を付与して整理しすると以下の通りです。
2004-08-01 合併・在任特例
合併により五島市が発足。議会は在任特例(1年9か月)が前提となり、合併後も多数の議員を抱える体制に対して住民側で解散を求める動きが強まる。2004-10-19 議会側の「自主解散(期限付き)」決議
住民の署名運動が進む中、議会内の「早期解散に慎重な議員」を中心に、2005年9月定例会終了後に自主解散する方針を決議(可決)。在任特例を一定期間短縮する“妥協案”として位置づけられた一方、「住民運動は議会不信の表れ」などの反対討論も出た。200409月(五島市)定例会
2004-11 署名簿提出・住民投票が現実化
議会解散の「住民投票を求める会」が署名簿を提出し、有効署名22,066人が告示され、住民投票実施が現実味を帯びる。2004-12-21 「弁明書」可決 → 直後に“12月自主解散”の緊急動議(否決)
まず、早期解散反対派の議員(全体の8割)側から「解散請求に対する弁明書」が提出・可決。内容は、既に「2005年9月に自主解散」の決議があるため早期解散請求には沿えない、住民投票では理解ある判断を、という趣旨。
可決直後、早期解散を求める議員側が「12月定例会をもって解散」の緊急動議を提出。署名が過半数を超え解散が現実化していること、住民投票の経費負担、市民感情の悪化・乖離を理由に「住民投票を待たず議員自ら解散」を主張したが、採決で否決。
2005-01-30 住民投票で解散賛成多数 → 即日解散、選挙へ
住民投票の結果、賛成多数となり、在任特例適用中の議会が即日解散投票率69.46%、賛成23,269、反対2,627、無効376。
主要な論点
上記の投票結果から考えると、「早期解散反対派の議員」に対して、市民感情との乖離が示された、と総括する事が出来そうです。以下、私なりに気になった争点を幾つか整理します。
争点1.合併の進め方(在任特例)という火種
合併を巡る在任特例は、
「市町村合併はする、だけど議員は特例で任期が延長される」
という見え方になり、「ずるい」と感じる方が生まれるのは当然です。合併時期を早急に設定する事で、かえって市民と議会との対立構造が浮き彫りになってしまったという感じです。実際、全国でも五島市と同じように、合併の在任特例に対する住民投票が発生しています。
五島市議会においても、非公開の全員協議会において、
在任特例の問題については、いろんな意見が議員の皆さんから出されました。
と紹介されています。
論点2 なぜ多くの議員は早期解散に反対?
五島市発足後、8割の議員は在任特例を根拠に議会活動を続けましたが、そこで住民運動が起こりました。
市民の声を無視できない議員としては、早期解散には反対する一方で、妥協案として在任特例を7か月早めて自主解散する決議をしました。早期解散反対の理由を議事録ベースで紹介します。
9月議会の「自主解散決議」より抜粋
◆88番(土岐達志君) (登壇)ただいま議題となっております決議第2号 議会自主解散に関する決議につきまして、提出者を代表し、提案理由の説明をいたします。
御案内のとおり、今月16日から議会解散を求める署名活動が開始されております。このことは、議員報酬6億3,000万円の件など、一方的な情報により、市民に十分な理解が得られていないためであります。よって、市民に良識ある判断を仰ぐためには、偏ったものではなく、正しい情報を提供する必要があります。あわせて、本市の厳しい財政状況を考えるとき、我々議員みずからも、より一層真剣な対応をすべきであるとの観点から提案をするものであります。
では、案文の朗読をもって説明にかえさせていただきます。
議会自主解散に関する決議
本年8月1日、下五島1市5町が合併し、五島市が誕生しました。市議会においても、議長を中心に全議員が財政問題、人口減対策、農漁業、商業、観光の振興、教育や福祉の充実など、新市の諸問題に積極的に取り組んでおります。
しかし、旧5町では、町長など4役不在の中、福江一極集中や過疎化の振興など、地域住民は大きな不安を抱いているのが現状です。私たちは、住民から選ばれた議員として、均衡ある地域の振興と格差是正、住民の不安解消など、山積する課題に真剣に取り組み、新市建設計画の積極的な推進を図る責任と義務があります。
現在、本市における喫緊の課題は、行財政改革大綱や基本構想、総合計画の策定、財政健全化の推進、平成17年度当初予算の審査、議決、合併時の先送り協定事項の調整を図るなど、少なくとも向こう1年間の議員在任期間は必要であります。
一方、議会の早期解散は、市民生活に重大な影響を及ぼし、市政を混乱、停滞させるものであり、新市発足直後の最も重要な時期に、政治、行政の空白は断じて許されません。私たちは、市民の負託にこたえるため、議員在任期間中に上記の山積する諸課題の解決と対策に全力を傾注し、その使命と職責を全うしなければなりません。
しかし、本市の厳しい財政状況を考えるとき、合併協議会や1市5町での決議事項は尊重しつつも、当面する諸課題に一定のめどをつけた後、来年、9月定例議会終了と同時に、議会は速やかに自主解散すべきであるとの結論に達しました。
こうした文章を読むと、議会は議会として、新生五島市の行政に対して責務を負って頑張りたい、という主旨だったと読み取れます。更に早期解散派からの議員の質疑に対する反論としては
考えて見てください、皆さん。現在、周辺5ヵ町は、先ほど私が壇上で申し上げましたように、町長、助役、収入役、教育長、4役不在なんです。ただ、支所には最高責任者として支所長が1人おるのみです。そういう中で、地域住民は、大変過疎化の進行、福江一極集中、物すごい不安を感じております。同じ市民なんです。それが何で特定の住民の意思とか、そういうことを考えちゃいけないんでしょうか。私は、合併直後というふうなことにおいては、全体の利益をもちろん議員として考えるべきであります。
しかしながら、合併直後においては、少なくとも特定の利益、個別の利益、すなわち地域住民の利益ということは、私は主張していいと思うわけでございます。決して、78番議員は、ただいま市民の間で住民投票が行われておって、それが全体の市民の意思であるかのような発言をされております。反対の意見を持っておる市民もいっぱいいるんです。私は、決して矛盾はしないと、このように思います。以上です。(拍手)
この後、2名の早期解散派の議員が反対討論を行い、再び賛成派の主張になります。
また、合併時にすべての重要課題というものは、合併後調整をするということで先送りをされているわけであります。特に、健康保険税、そして水道料金、各種団体による助成金、特に、子育て支援、そして教育の原点とも言えるいわゆる幼児教育の保育料の問題、私は例を申し上げますが、特に、4階層、4歳以上では、一番高い福江市と安い岐宿町では、福江市が3万3,000円、岐宿が1万8,300円、1万4,700円の差が生じているわけであります。このような直接子育てに関係のあるいろんな重要な問題を、これから我々は論議をして、どの地区のどの保育料に合わせるのか、それを早急に私は解決をしなければならない大きな問題であると思うわけであります。
さらに、今、大多数の市民が解散を求めるというような御意見もありますが、まだ住民投票は終わっていないわけであります。多数というのは、半数以上を私は言うと思います。
先ほどからおっしゃいます6億3,000万については、確かに6億3,000万の数字は出ます。しかし、土岐議員がおっしゃったように、1億何千万かの数字になるわけであります、1年を想定した場合。しかし、住民投票におそらく6,000万以上の経費がかかるわけであります。その経費は、果たして国から地方税で来るのか。県から補助金で流れてくるのか。統一地方選ならばまだしも、私は純然たる市の一般会計から出る金だと理解をしております。
在任特例とは何ぞや。超法規的合意でもって法律を超えて法律をつくったのが超法規的特例であります。総務省の見解も非常にまちまちですが、私はいろんなことを考えますが、選挙管理委員会はどのような解釈と判断をしているかわかりませんが、身近な問題として、富江町はことしの4月に選挙をしているわけであります。1年9ヵ月間は市会議員ですよということで、各町それぞれが、各町の町民からは合併後は市会議員として1年9ヵ月間は認められて当選したわけであります。しかし、市民の声にやはりそういう声があるならば、我々は身分の保障ということも当然視野に入れて、もし法的手段をとったならばどうなるのか。まだまだ総務省でもそのことについての判断はできないわけであります。きょうもまだ待っていますが、返事が来ません。しかし、そのような混乱を避けて、我々はやはり当初予算を組み、そして6月の補正の内容を待って、長期的計画の進行、いろんなことを決めて、一応目安がついた9月の議会で自主解散を求めると、このような結論に我々は達したわけであります。
そして、ことしの12月議会あたりで、やはり議会人もさることながら、行政一体となった改革をすべきである。私はそのように思います。
合併時に論議されました類似団体との比較の職員数160名については、今後、10年間で調整をするというふうな話になっております。しかし、それを早めるか遅めるか、あるいは160名を100名にするのか、議員の報酬が、市民の間で町会議員が10万円高くなったというような論議がなされれば、そんなら市会議員も元の町会議員に合わせて10万円逆に下げたらどうかという御意見も市民の中には数多くいるわけであります。
そういった職員の定数の問題、いろんなことを考えまして、どうしてでも私は9月議会までは必要ということで、私はこの9月議会解散というものには賛成をするものであります。(拍手)
総括
こうした議論や大多数の市民がNoを突き付けた住民運動を踏まえると、五島市議会の解散は
ドタバタ合併の副産物として生じた
と見なすのが適当でしょう。

