【2025年12月/長崎県議会AI議事録】鵜瀬和弘議員

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日時 2025年12月3日 午前10時

長崎県議会 一般質問 議事録 (鵜瀬和弘議員)

1.離島振興について

(1)医療福祉体制の維持確保について

ドクターヘリの安定的な運行について 離島住民にとってドクターヘリは安全安心な生活を支える上で欠かせない存在ですが、運行委託事業者の整備士不足により8月以降断続的に運行休止が発生しています。 令和6年度における壱岐からの救急搬送数は、ドクターヘリが133件、県防災ヘリが24件、海自及び自衛隊が41件計198件となっています。本年8月から11月にかけて整備士不足により合計19日間運行を休止しましたが、その間の壱岐からの救急搬送件数は、県防災ヘリが9件、海自・自衛隊が2件合計11件でした。 県として、今後も運行業者にドクターヘリの安定した運行体制の確保を強く求め、県民の安全安心を図っていきます。

(要望事項) ドクターヘリの安定運行に加え、県の防災ヘリの持続可能な運行や広域搬送の充実強化、事業関係者へのサポートも含め、県民の安全安心のために努めるよう要望します。また、自衛隊ヘリによる救急搬送に感謝するとともに、佐賀駐屯地に配備されたオスプレイの災害救助や救急搬送への活用可能性について、国と共に検討していただきたい。さらに、海上タクシーなど船舶による救急搬送も含め、あらゆる手段を活用した安定した運行体制、救急搬送における環境整備の充実強化を要望します。

(2)教育について

壱岐における高校地域連携活性化事業について 県教育委員会が令和5年度から実施している「高校地域連携活性化事業」について、壱岐市では令和6年度に学校、市、地元関係団体、県で構成するコンソーシアムを設置し、本格的な取り組みを開始しました。 現在、壱岐高校及び商業高校では、市や地元企業に加え、慶應義塾大学や福岡大学などと連携し、地域活性化をテーマとした探究活動を実施しています。生徒が地元店舗等を訪問して壱岐の強みや課題を把握し、課題解決に向けたアイデアを提案するなど、学びと地域活性化を連動させた取り組みが進められています。また、市民対話会に高校生が積極的に参加するなど、地域とつながる学びを通じ、故郷に貢献したいという思いを育む取り組みが広がっています。

壱岐における高校の再編整備について 今後15年間で県内の15歳人口は約4割減少が見込まれ、壱岐市ではその減少幅が県全体を上回ると予測されています。現在、壱岐島内には普通科と商業科の2校(合計7学級規模)がありますが、入学者は定員の6割にとどまり小規模化が進行しています。時代や社会の変化に対応し、教育の質を確保しながら持続可能な体制を構築することが喫緊の課題です。 県立高校の今後のあり方を検討するにあたっては、市や地元関係者、学校関係者などから幅広く意見を伺いながら、未来の教育の姿を共に描いていくことが重要です。地域ならではの学びを導入し、高校生が主体的にキャリア形成できる場として、どのような方向性を整備していくのか、オープンな議論を進めてまいります。現在推進中の地域と連携した高校の魅力化事業において、今後も探究的な学びを充実させるなど、取り組みをさらに強化します。引き続き壱岐市と十分連携し、今後の高校のあり方について検討を進め、地域と共に教育の実現を目指します。

(要望事項) 壱岐の未来を担う子どもたちが夢や希望が持てるよう、壱岐ならではの県立高校2校の再編整備がしっかりと進むことを期待します。

(3)観光振興について

離島への観光客の誘致について 県の令和6年観光統計によれば、本県の国内外の延べ宿泊者数は増加傾向にある一方、壱岐市では前年比8%の減少となっており、厳しい状況にあります。離島地域全体の延べ宿泊者数も、韓国人観光客が増加している対馬市を除き減少しています。 国境離島交付金における滞在型観光促進事業の予算は減少傾向にあるため、今年度は「島旅旅行商品」の個人旅行客への販路拡大を目的として、これまで困難であったオンライン旅行予約との活用について国と協議調整を進め、新たに開始しました。また、将来の旅行需要を支える若年層への島への認知度を高め誘客につなげるため、若者の利用が多いショート動画を主体としたTikTokでのプロモーションにも取り組んでいます。

クルーズ船誘致について 離島の港を活用したクルーズ船の誘致はインバウンド誘客促進の上で極めて重要です。離島地域へのクルーズ船の入港数は、令和6年が15回、令和7年(11月末現在)が20回過去最多となっています。 壱岐市では令和6年4月に国際クルーズ船「ル・ジャック・カルティエ」を受け入れ、フランス人を中心とした乗船客が神楽鑑賞や朝市見学などを体験し、大変好評でした。県は誘致活動に加え、受け入れ体制の強化を進めており、壱岐市でもインバウンドのおもてなし研修会や歓迎イベントの実施などに取り組み、船会社から高い評価を得ています。 今後も、地元での受け入れ体制の強化を始め、離島ならではの食文化や体験などを通して乗船客の満足度を高め、クルーズ船の寄港に伴う経済効果を最大化し、離島の活性化につなげてまいりたいと考えております。

(4)壱岐振興局庁舎の建て替えについて

壱岐市では市役所庁舎の老朽化が進んでおり、将来的な建て替えの必要性が高まっています。住民サービスの利便性向上や行政機能の効率化、地域活性化の観点から、振興局、市役所、警察、JA、金融機関など、住民生活に必要な各機能を一体化させた複合施設として整備することや、原子力災害対策に基づきUPZ外への移転も含めて検討すべきと提案されています。 県内の振興局庁舎は老朽化が進んでおり、計画的な整備を進めていく必要があると認識しています。現時点で壱岐振興局庁舎の建て替えに関する具体的な方針はありませんが、庁舎の複合化を含めた庁舎のあり方については、関係者と連携しながら今後研究を進めてまいりたいと考えております。

(5)有人国境離島法の改正・延長について

有人国境離島法の改正・延長に向けた知事の思いについて 令和8年度末に期限を迎える有人国境離島法は、雇用創出、輸送コスト支援、運賃低減化により島々が確実な元気を取り戻しつつあります。しかし、若者の流出や高齢化は依然として深刻であり、法改正延長は絶対に実現されなければならない課題です。 知事は、有人国境離島法は本県にとって極めて重要な法令であり、この地域に住む皆様が将来も安心して住み続け、地域が発展できる環境を整えなければならないという強い思いと使命を改めて実感したと述べました。その実現には、法改正延長に加え、国の支援策の拡充や予算の確保が不可欠であるとし、地域住民の声を踏まえた意見書を取りまとめ、今月16日に国への要望活動を実施することとしています。離島出身の知事として、自身が先頭に立って支援策の充実と、予算を伴う法改正が確実に行われるよう全力で尽くします。

(再質問に対する知事の決意) 友人国境離島法の改正延長は確実に成し遂げなければなりません。支援の内容の充実・拡充も重要ですが、それを実現するためには予算の確保が大変重要であるため、離島地域の方々の思いをしっかり国に届け、必要な支援の拡充と予算の確保について強く求めていきます。

今後の雇用機会拡充事業について 雇用機会拡充事業は国境離島地域の活性化に極めて重要ですが、全国的な人手不足等により活用件数や新規雇用者実績が年々減少しています。 現在取りまとめ中の意見書では、補助上限額の引き上げ船舶職員等に雇用するマルチワーカーの人件費を補助対象とすること小規模離島について雇用要件を緩和することなどを要望することとしています。 また、壱岐市での意見交換会で出された、島外から通勤する医師等の交通費軽減を求める意見を踏まえ、意見書では、離島住民と同様に航路・航空路運賃の割引対象となる準住民に、島外から通勤する医師などエッセンシャルワーカーを追加するよう要望しています。

(要望事項) 地域医療を守ることは離島の生活と命を守ることに直結するため、国に対し交通費支援の拡充について強く要望していただきたい。また、物価高騰の影響で支援制度の拡充が難しい状況にあるため、知事に対し、対象事業の拡大や制度内容の充実強化に必要な予算確保についても国へ強く要望していただくようお願い申し上げます。

2.農林水産業の振興について

(1)水産業の振興について

黒マグロ漁業の振興について 太平洋黒マグロの資源回復により、長崎県の大型魚の漁獲枠は本年4月から35%増額されました。大型魚の来遊は多い一方、小型魚については漁獲枠の消化率が4%にとどまっており、漁獲枠の有効活用が必要です。 国は今年度から大型魚を対象とした操業を推進するため、漁獲枠の振替倍率の上乗せや、大型魚の貯魚・鮮度保持施設の導入などを支援する事業を創設し、県内3グループが活用手続きを進めています。県としては、引き続き資源回復状況に応じた増枠を国に求めるとともに、黒マグロの振興を通じ漁業経営の安定を図ってまいります。

小型スルメイカ釣り漁業の再捕停止について 国がTAC超過を理由に長崎県に小型スルメイカ釣り漁業の再捕停止命令を出しました。県は再捕停止直後に国に予備枠やTAC増額分の配分による操業再開を要望しました。その後国は、水産政策審議会を経て、国庫流保枠およびTAC増額分から857tの追加配分を行いました。しかし、漁獲実績が配分枠を2039t超過しており、現時点で再捕停止命令解除の見通しは立っていません。県は、県内の小型スルメイカ釣り漁業の再開を探る方法について、水産庁との協議を鋭意行っています。

(2)農業の振興について

長崎和牛の消費拡大に向けた取り組みについて 物価高騰や生産コストの上昇により畜産経営は厳しい局面にあるため、長崎和牛のブランド価値を高め、国内外を問わず消費を拡大させることが不可欠です。 県では7月〜8月にかけて、長崎和牛指定店で利用できる割引クーポン(県民3万人限定)を配布する消費拡大キャンペーンを実施しました。海外では10月に知事を始めとする団体が台湾を訪問しPRを行ったほか、現地日本食レストランなど5店舗を新たな指定店として認定しました。このほか、長崎和牛銘柄推進協議会において、10月〜11月まで長崎駅隣接ホテルでフェアを実施したほか、今月中旬から来年1月末まで県内外の指定店で長崎和牛が抽選で当たるキャンペーンを実施します。今後もこうした取り組みを通じ、生産者の所得向上につながるよう消費拡大に努めてまいります。

3.県産酒の振興について

酒米高騰に伴う県内酒蔵への支援について 日本の伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録された一方、食用米価格高騰に伴い日本酒主要米の価格も急激に上昇し、県内酒蔵は厳しい経営状況にあります。 知事としては、酒米価格高騰に対し、本来は価格転嫁で対応すべきだが、上昇率が高く短期間で急激な上昇であったため、適正な価格転嫁には一定の時間を要するとの認識を示しました。こうした状況を踏まえ、県としては国の重点支援交付金の活用を念頭に、必要な支援について検討していきたいと考えています。

(要望事項) 国の重点支援交付金額決定後、速やかにご支援をお願い申し上げます。また、県が制定している乾杯条例(今月で10周年)の普及を始め、県産酒全体の魅力発信キャンペーンなど、積極的なPRに取り組むよう重ねて要望します。

4.持続可能な建設業について

(1)「緊急自然災害防止対策事業債」の継続について

地域建設業は、社会資本整備や災害時の「地域の守り手」として重要な役割を果たしています。本県で依存度の高い「緊急自然災害防止対策事業債」は令和7年度までの時限措置であり、継続的な予算確保に影響しないか懸念されています。 県はこれまでも知事を先頭に、県議会議長や自治体、経済界、国会議員などと共に、総務省、財務省などに継続について強く要望してきました。先日11月18日の衆議院総務委員会において、林総務大臣から事業期間を延長する方針が表明されました。県としては、引き続き機会あるごとに国へ地域の実情を伝え、継続的かつ安定的な公共事業予算の確保に努めてまいります。

(2)建設業の熱中症等暑さ対策について

建設業界の職場環境は厳しく、熱中症対策は重要な課題です。 現場環境のさらなる改善を図るため、国と同様に、令和7年度から日よけテントや給水機の設置など、現場の施設整備にかかる費用について、実績に応じて別途積み上げて計上するよう対策を強化しました。厚生労働省の空調服購入などに対する補助金制度についても、今年度も関係団体との意見交換会などで周知しています。国における新たな取り組み(猛暑期間を回避して工事を行うなど)を参考にしながら、引き続き熱中症防止対策に努めます。

(3)壱岐島における残土処理の今後について

壱岐島では残土処分場が民間1箇所に限定され、受け入れ容量がわずかで数年以内に困難となる恐れがあります。また、大型貨物船が接岸可能な岸壁がなく物流の効率性が低下しています。島内唯一の重要港湾である郷ノ浦港において、残土処分地の確保と物流の効率化を同時に図る港湾整備を進めることが必要であると考えられます。 壱岐島内の残土の逼迫状況は十分認識しており、今後発生する残土については、工事間での流用を一層促進し対応します。長期的には安定的な残土の確保が必要であり、郷ノ浦港において残土処分機能も併せ持つ整備の必要性についても検討してまいりたいと考えております。

5.原子力対策について

(1)「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の対象地域拡大について

インフラ整備事業に対する国の財政支援について 国の方針により、「原子力発電施設等立地地域」の対象範囲が概ね10km圏内から概ね30km圏内へ拡大され、壱岐市を始め佐世保市、平戸市、松浦市の関係4市が新たに対象地域へ追加されることになりました。 国の財政支援の対象となるインフラ整備事業には、特措法に基づき、道路、港湾、漁港、消防用施設、義務教育施設の整備が対象とされています。財政支援の適用には事業ごとに基準が定められており、例えば道路整備事業については、避難所や病院など防災上重要な施設や原子力発電施設等と接続し、原子力災害時に円滑な避難や緊急輸送の確保に必要なものなどとされています。

(要望事項) 壱岐市で工事中の県道渡浦線は、UPZ外の島北部への避難路でもありますので、引き続きさらなる工事延長の推進を要望します。

UPZ外の事業に関する国の財政支援について 壱岐市などでは市内でUPZ内とUPZ外の地域が混在しています。原子力発電施設等立地地域の指定は、発電所から概ね30km圏内を対象に基礎自治体単位で行われます。そのため、指定を受けた自治体の行政区域内であれば、UPZ外の地域における事業についても財政支援の対象となります

(要望事項) 原子力災害対策交付金について、引き続き格差是正を粘り強く要望することに加え、その趣旨を踏まえ、県内で取り組みが進む洋上風力発電についても交付金の対象として位置づけられるよう、国へ要望していただきたい。

(2)離島での原子力災害時における島外避難先の確保について

壱岐市では、風向きによってはUPZ外の島北部も放射線の影響を受ける可能性があるため、全住民を対象とした島外避難も想定されています。 県と壱岐市が共同で、島外への避難を想定した広域避難マニュアルの整備を進めており、昨年10月以降、避難時の船舶利用について船舶事業者と協議を行い理解を得ました。また、船舶受け入れとスクリーニング検査の実施場所について福岡県や関係市と協議を行っています。今年度は、コロナ禍で中断していた島外への住民避難訓練の再開に向け、壱岐市や福岡県と調整を行っています。

6.その他

離島の暮らしを次世代へ引き継いでいくことは、地域固有の文化、歴史といった日本の貴重な財産を守る極めて重要な使命であり、離島は国境を守る国防の最前線でもあります。その振興は長崎県のみならず、日本全体に直結する国家的な課題です。「離島の発展なくして長崎県の発展は無い。ひいては日本の発展は無い」という強い信念のもと、今後とも離島振興を力強く押し進めてまいります。 また、地元の五野中学校の生徒が長崎県中学校駅伝大会で39年ぶりの優勝を果たし、全国大会に出場しますので、温かいご支援とご声援をお願い申し上げます。さらに、国がユネスコ無形文化遺産に「神楽と温泉文化」を提案することを決めており、地元の壱岐にはこれらが根付いています。ユネスコ登録を期待するとともに、ぜひ壱岐島へ「神楽と温泉文化」を体験しに来ていただけるようお願い申し上げます。