国境離島新法の延長で島民割引は拡大される?高市総理答弁から読み解く今後の行方

人口減少が急速に進む離島地域において、観光客や帰省客の交通費の負担は重大な問題です。
国境離島新法(有人国境離島法)は、島民の移動を支え、地域社会を維持するための重要な制度ですが、来年度末で期限を迎えます。

最近の国会審議、とりわけ参議院での高市総理答弁を踏まえ、
「法律は延長されるのか」「予算は増えるのか」「島民割引の対象拡大は実現するのか」について、私なりに整理してみました。


延長・改正の見込みは?

結論:高いと考えます。

理由は大きく二つあります。

第一に、国境離島新法は議員立法で成立した法律であることです。
政府主導ではなく、与野党を超えた国会の意思として作られた経緯があり、これまでの延長議論においても、超党派での合意形成が進められてきました。

第二に、国境離島が直面している現状です。
人口減少、担い手不足、物流や医療の不安定化など、島への支援は「将来の課題」ではなく、まさに喫緊の課題となっています。

このような状況を踏まえれば、法律そのものが失効する可能性は低く、
延長、もしくは一定の改正を伴う延長が行われる可能性は極めて高いと見ています。

補足:地方自治体・議会からの要望活動

長崎県の五島市・上五島町・壱岐・対馬市では年末にかけて決起集会も開催されており、機運醸成が進んでいます。

私も夏に長崎県知事・長崎県議長の所に「要望活動」に行き、10項目の中にも入っていました。

長崎県五島市から大石賢吾知事へ要望活動に同伴しました

五島市議会からも国に対して改正延長を求める要望書を提出しています。

地方の首長・議会もことある毎に上京して要望活動をしています。

来年もまた、私は総務水道委員長として五島市議会から要望活動に行く事になっています。

立法府としても、こうした要望活動をむげには出来ないでしょう。


関連予算は増えるか?

結論:増える見込みは高い。

その根拠として、先日の国会での高市総理答弁があります。

【国会中継】参議院・本会議 ──政治ニュースライブ[2025年12月8日午後](日テレNEWS LIVE) – YouTube

高市総理は、

近年は、本法が議員立法により制定された平成28年当時に比べ、我が国を取り巻く国際情勢の厳しさが一層増しており、本法の重要性は大きく高まっていると認識しております。政府といたしましては、立法府における本法の延長等に関する議論を踏まえつつ、必要な予算の確保と施策の着実な実施に努めてまいります。

と述べ、国境離島新法の重要性が高まっているという認識を明確に示しました。

これは単なる地方支援の話ではなく、
安全保障・領域保全という国家的な視点から国境離島を位置づけている点が重要です。

現在、日本は防衛費を大幅に増額し、GDP比2%を目標に安全保障体制の強化を進めています。
その流れの中で、

・国境離島の航路・航空路の維持
・人が住み続けられる環境の確保

は、安全保障政策とも強く結びつきます。

このため、法律が延長されれば、関連予算が増額される可能性は高いと考えます。


島民割引の対象拡大はされるか?

結論:正直なところ、微妙だと考えています。

理由は、現政権の政策優先順位にあります。

高市総理答弁からも分かるように、
現在の国境離島政策は、「平時の生活支援」以上に
「有事を見据えた備え」「領域の維持」という文脈で語られています。

五島市で行われた決起集会の横断幕には

国の行政機関の設置と防衛体制の強化

という文章もありました。

・島民割引の対象拡大

により観光推進・地域経済の促進には繋がりますが、法案で明確に「対象者の拡大」が明記される事が必要です。

が、現状ではまだどうなるか読めず「安全保障環境の整備」が強調され、島民割引の優先順位が後回しにされる可能性も否定できません。

予算が増えたとしても、それが必ずしも「観光・帰省客の負担軽減」に直接結びつくとは限らない、

ここに現実的な難しさがあると感じています。


代替案:「国境離島みんながJR運賃並法案」という考え方

そこで、明確に対象拡大を実現するために注目したいのが、
「国境離島みんながJR運賃並法案」
という考え方です。

https://cdp-japan.jp/news/20250618_9400

帰省・観光客が著しく高い移動コストを負担し続けなければならない現状は、
島へ来づらい大きな要因の一つです。

この法案を実現するための署名活動も含めた運動につなげていきたいと考えています。

五島市署名パンフレット


最後に

国境離島新法の延長や予算拡充は、一定程度見込める状況にあります。
しかし、それが本当に島民割引の拡大につながるのかどうかは、
これからの議論と、私たちの声の届け方次第です。

この問題にご関心のある方、
署名活動や意見交換にご協力いただける方は、ぜひご連絡ください。

nakanishi0404@gmail.com