こちらの動画をアップしてから、多くの市民の方からご意見頂きました。そこで本記事では、この答弁の何が問題なのか、検証します。
目次
議会答弁
中西:最後に1点だけですね、どうしても聞いておきたいことがありまして、この913万円の第3者委員会の設置に関してですけれど、私は9月議会で反対討論をしまして、市民や議員に対する説明が不十分ではないかということで反対をいたしました。
この第3者委員会の設置の前に、市長はこれに関する説明をですね、一部の議員や会派だけに行いましたか
市長:
お答えいたします。
えっと、6月にですね、創生会と、えー……
ちょっとごめんなさい、全部名前を思い出せなくて申し訳ない。
1人会派の3人の議員さんからの要望をいただきました。
中西:
私が聞いているのは、
議員から要望をいただく前に、
市長から議員に対して、
市長が調べたことを踏まえて説明をしましたか、という点です。
市長:
6月の上旬に、要望をいただいたということです。
中西:
すいません。
要望をいただく前に、市長から議員に対して説明をしたのか、
それを聞いています。
市長、6月の上旬に要望をいただいたということです。
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中西:
答えになってないと思いますよ。
市長が言っているのは、市長が要望書をもらったという話であって、
そうじゃなくて、
要望をもらう前に、
市役所のOBの方から連絡があって、
市長自身が何かまとめて情報、
今までの経緯が知らされてなかったことも含めて、
こういう経緯だったという説明をしたかと聞いているんです。
市長:
市長、6月の上旬だったと思いますが、
議員の皆様から要望をいただきました。
市長答弁の問題点
1. 質問に対する「直接答弁義務」を果たしていない
中西議員の質問は一貫して、
「要望を受ける前に、市長から議員へ説明を行ったのか」
という Yes / Noで答えられる明確な事実確認です。
しかし市長答弁は終始、
• 「6月上旬に要望をいただいた」
• 「議員の皆様から要望をいただいた」
という 質問とは異なる事実の説明に終始しています。
議会答弁上の問題
• 質問の**主語・時系列(要望“前”か“後”か)**を意図的または無意識にすり替えている
• 結果として、質問に対する直接の回答(肯定・否定)が一度も示されていない
👉 不十分答弁・不答弁に該当する可能性が高い
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2. 同一内容の答弁を繰り返す「論点回避」
問題点
中西議員が質問を言い換えて再確認しているにもかかわらず、市長は
• 内容を変えず
• 論点をずらしたまま
• 同趣旨の答弁を複数回繰り返している
議会答弁上の問題
• 再質問に対する誠実対応義務を果たしていない
• 議論を深めるのではなく、時間経過による収束を狙った答弁と受け取られかねない
👉 議会制民主主義における「質疑応答」の機能を損なう
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3. 行政意思決定過程の不透明さを自ら強めている
問題点
今回の論点は、913万円の公費を使う第三者委員会設置という重要案件です。
にもかかわらず、
• 誰に
• いつ
• どの段階で
• どのような説明を行ったのか
という 意思決定過程の説明が一切明確になっていない
議会答弁上の問題
• 行政の説明責任(アカウンタビリティ)を果たしていない
• 市民・議会双方に対し、不信を生む答弁構造
👉 「説明したのか否か」すら答えないことで、
👉 説明不足という批判を自ら補強してしまっている
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4. 議会軽視・議員軽視と受け取られるリスク
問題点
• 一部会派・一部議員への対応が事実であった場合
→ 「議会内の情報の非対称性」が生じる
• その有無を明確にしない答弁
→ 疑念を払拭しない
議会答弁上の問題
• 全議員に対する公平な情報提供原則に反する疑念
• 結果として、議会全体の意思形成を軽視している印象
👉 市長個人の問題ではなく、
👉 行政トップとしてのガバナンス上の問題
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5. 答弁整理が不十分で、議事録の公的価値を下げている
問題点
• 言い淀み
• 主語の曖昧さ
• 質問と対応しない答弁
が重なり、後日議事録を読んだ市民が理解できない構造になっています。
議会答弁上の問題
• 議事録は「公文書」であり、市民への説明資料
• 意図的でなくとも、説明回避的に読める答弁は公文書として不適切
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総括(端的に言うと)
今回の市長答弁の本質的な問題は、
「答えられない」のではなく、「答えていない」こと
にあります。
• 事実が「説明した」なら → 「した」と答えるべき
• 事実が「説明していない」なら → 「していない」と答えるべき
それを避け続けたことで、
• 議会答弁として不十分
• 行政の説明責任を果たしていない
• 市民からの信頼を損なうリスクが高い
という評価になります。