2025年12月9日の出口 浩一議員による一般質問をもとに、AIにて現状の課題・行政の姿勢・今後の要望などをまとめたものです。
目次
高齢者・障害者支援に対する市長の基本的な考え方
出口議員は、奈留島で実際に起きた夜間の緊急搬送トラブル(60代前半の市民が倒れ、最終的に親族の船で搬送せざるを得なかった事例)を紹介し、「誰もがいずれ高齢者になる」という視点から、高齢者と障害者への支援を“車の両輪”として強化すべきだと訴えました。
市長は、初心表明でも述べたとおり「住み慣れた地域で安心して住み続けられる環境づくり」を重要な柱と位置づけており、
・高齢者割合は現在43.4%、10年後には約49.4%に達する見込みであること
・独居高齢者の増加も見込まれること
を踏まえ、地域包括ケアシステムの充実や関係機関との連携を図りながら支援体制を強化していくと答弁しました。また、障害者支援の中核となるセンターを市役所1階に設置し、全域の障害者からの相談や支援ニーズを受け止める体制を整えていると説明しました。
地域包括支援センターの役割と今後の運営
出口議員は、市HPに記載された「高齢者が住み慣れた地域で尊厳ある暮らしを維持するには、介護予防から介護サービスまで“切れ目なく”提供することが必要」という趣旨を引用し、この“切れ目なく”が非常に重要だと指摘しました。
福祉保険部長は、地域包括支援センターは市直営で1か所設置しており、その役割として:
・高齢者からの総合相談支援
・サービス調整(総合的な支援業務)
・成年後見制度の活用支援
・虐待対応などの権利擁護業務
・介護予防ケアマネジメント
などを担っていると説明。また、離島の特性を踏まえ、10か所の在宅介護支援センターを「身近な窓口(ブランチ)」として設置し、奈留島では「奈留の里」に委託する形で運営していると述べました。
二次離島における保健師の常駐問題と高齢化の深刻さ
出口議員は、奈留島や久賀島・樺島・赤島・黄島・嵯峨島などの二次離島では、
・高齢化率が62〜75%に達する集落もあること
・55歳以上を含めると将来の高齢者「予備軍」も非常に多いこと
を示し、将来への大きな不安を表明しました。特に、住民にとって保健師は「司令塔」であり、健康相談や些細な体調不良への助言など、“顔が見える安心感”を支える存在だと強調。保健師が常駐しない体制になることへの不安の声を具体例とともに紹介し、「奈留に保健師の常駐を」と強く求めました。
これに対し福祉保険部長は、職員確保が非常に困難であり、R6年度からは各支所配置の保健師を本庁に戻して体制を組みなおしている現状を説明。そのうえで、定期的に島へ出向くことでサービス低下を防ぎたいとしましたが、出口議員は「切れ目が生じる」「二次離島の暮らしを諦めざるを得ない状況につながる」と危機感をあらためて訴えました。
奈留医療センターの体制強化と緊急搬送手段の確保
出口議員は、奈留島の住民が感じている「医療への不安」を、実際の事例(夜間に発症し、海上タクシーや瀬渡し業者にも断られ、最終的に親族の船で搬送したケース)を通じて紹介しました。そのうえで、奈留医療センターの受け入れ体制の現状と、緊急搬送体制の抜本的な見直しを求めました。
福祉保険部長は、奈留医療センターについて「常勤医2名体制が不可欠」としたうえで、医師確保を病院側に要望しており、前向きな回答を得つつあると説明。
消防長からは、奈留海上タクシー廃業後の現状として:
・奈留医療センターで対応困難な場合は、これまで同様、瀬渡し業者に協力を依頼する方針であること
・より重症の場合は、ドクターヘリや自衛隊ヘリの要請で対応すること
が示されました。ただし、ドクターヘリは昼間のみ、自衛隊ヘリは夜間も対応可能だが県への要請・判断を経る必要があり、迅速さに課題が残ることが明らかになりました。
出口議員は、「9時発症で搬送まで3時間かかった。これ以上短時間で来るのは現実的に難しい」と指摘し、夜間も含めた安定した救急搬送手段として「市営または公設民営の船舶」が必要ではないかと提案。輪番制での協力や、公設民営方式などを真剣に検討すべきだと訴えました。
副市長は、9月議会での指摘を受け、庁内検討会の設置や船舶会社への打診、公設民営を含む複数パターンでの検討を進めているものの、採算性や新規参入業者が現れていない現状もあり、「選択肢を排除せず研究を進める」と回答。市長も「人の命を最優先に考えるべき課題」とし、海上タクシー業者への支援や、7市町による協議・県への要望を進める姿勢を示しました。出口議員は、「スピード感ある対応」を重ねて求めました。
離島における選挙の繰上げ投票と電子投票システムの可能性
出口議員は、久賀地区・奈留地区の投票日が本土より1日早い「繰上げ投票」となっていることについて、
・選挙運動期間が実質的に1日短くなる
・期日前・繰上げ投票の段階で不適切な事案が起こった場合、取り返しがつかない
と問題点を提示しました。そのうえで、宮崎県や四條畷市などで導入が進められている「電子投開票システム」について、離島での活用可能性を問いました。
選管事務局長は、久賀・奈留での繰上げ投票は「投票箱の運搬が難しいため」であり、現在もやむを得ない措置だと説明。一方で電子投票については、現行制度ではUSB等の物理媒体使用が前提であり、離島の繰上げ投票の課題解消には直ちに結びつかないこと、導入コストが非常に高く、現在約4,600万円かかっている選挙費用が倍以上になる可能性があることなどから、全国の導入状況や国政選挙での動向を見ながら慎重に判断するとしました。
出口議員は、電子投票には効率化だけでなく、高齢者や障害者への拡大表示・音声案内、無効票の削減などのメリットもあり、有権者の意思を反映しやすくなると指摘。総務省へ働きかけ、離島での活用も見据えたセキュリティ設計を進めるよう要望しました。
船舶上架施設(スリップ・ドック)への支援と相談窓口
出口議員は、漁船にとって不可欠な「上架施設(船を引き上げるレーン)」や造船所の厳しい経営状況に触れ、支援策の検討を求めました。福江の造船所が1つ廃業していること、漁協が管理する上架レーンは23あるが稼働は18にとどまることなど、現場の実情も紹介しました。
産業振興部長は、漁協が管理する上架施設の改修や浄化施設の更新については補助制度があることを説明し、漁船に関する相談は水産課、それ以外の船舶は商工部門が担当となることを示したうえで、「ワンストップで相談できる窓口」を設けて対応していきたいと答えました。出口議員は、技術者を支え、施設改修も含めた支援を重ねて要望しました。
小中学生の「しま留学」と『孫戻し留学』の検討
出口議員は、島外の子どもが島の学校に通う「しま留学」制度について、存続が危ぶまれている現状を踏まえ、祖父母の住む島に孫が一定期間戻って学ぶ「孫戻し留学」制度の可能性を提案しました。これは、将来的な定住やUターンにつながる可能性があり、制度として検討に値すると述べました。
学校教育課長は、壱岐市・対馬市・新上五島町・小値賀町などで孫戻し留学に類する制度があり、1人あたり月3〜4万円程度の補助があることを説明。そのうえで、五島市の「島留学制度」自体を0ベースで見直していることを明らかにし、需要と供給のバランスを調査したうえで、どのような形が最適かを研究していくと答えました。出口議員は、「孫戻し留学」を選択肢の一つとして真剣に検討するよう求めました。
