これからの地方議会に求められる改革について、五島市議会の運営を参考とした、私の意見です。
議会の運営方法
議会の運営は大きく分けて「定例議会」と「通年議会」の2種類に分けられます。
ほかの多くの議会と同様に、五島市の場合は「定例議会」を採択しているため、議会は3の倍数月に行われます。
しかしながら、執行部である市役所は、年中稼働しています。
そのため、定例会のタイミングに間に合わない予算などが発生します。
通年議会であれば、その都度予算をチェックすることができますが、定例議会の場合は会期外となります。
特にコロナ禍においては、スピード感のある対策が必要ですので、突発的な出費も増えます。
私は通年議会を導入すべきと考えていますが、まだ全国的に普及率は低いようです。(長崎県では小値賀町のみ採用)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000799564.pdf
定例議会に間に合わない議案に対して、大きく分けると2つの対応があります。
専決処分と臨時議会
専決処分とは、緊急的な予算に対して、「時間がないから」という形で済ませるケースです。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/gikai/1010000/1013010/p035646.html
ところが、下記動画の通り、五島市では先決処分の多さが問題視されていました。
災害時など、緊急的な場合は確かに専決処分が有効です。
しかし一方で、専決処分の場合は議員が予算を審議する機会が奪われてしまいます。
急いで使ったが、議会のチェックが働かずに効果の乏しい使い方だった
というのが最悪のケースです。
そのため、定例議会に間に合わない議案を審議するために「臨時議会」が提案されることもあります。
五島市の場合、H21年以降の予算関係の審査は13件ありました。
臨時議会の在り方
定例議会の会期中であれば、条例や予算は
- 本会議で上程
- 委員会で討論
- 本会議で採決
という流れですが、臨時議会の場合は委員会の付託を省略し、「一審議」(通称「いっしん」)で済ませることも可能です。
委員会か一審議か
2023年1月20日の五島市議会運営員会では「員会付託を省略するかどうか」が議論されました。
私は
案件が多いので、委員会に付託して議論すべき
と意見を述べましたが、中には「一審議で良いのでは?」という意見もありました。
そこで委員会のメンバーで多数決となり、
5対1(←私だけ反対)で「一審議」に決まりました。
確かにスピードを重視するなら、一審議が有効です。
しかし、例え委員会で議論したとしても、議案の数を考えれば1日で終わります。
より慎重な議論をする立場から考えれば、それぞれの委員会で審査すべきと思いますが。。。
質問回数について
一審議で審議する場合、本会議場での質疑が「委員会での審議」に相当します。
委員会での審議では質問の回数に制限はありませんが、なぜか一審の場合は「3回まで」と慣例で決まっています。
私は
委員会と同様に、質問回数に制限を設ける必要はなく、納得いくまで議論すべき。
と意見を述べましたが、中には
質問回数を3回でまとめなければ、長くなりだらだらとなる。
という意見もありました。(だらだら?)
先ほどと同様に、質問回数を3回で良いか採決をした結果
賛成:4人 反対:2人
となり、結局3回となりました。
確かに、ダラダラと意味のない質問を繰り返すことは避けるべきですが、議員の仕事の本分は議論することです。
議員が自ら進んで職権である「質問回数」を制限するのはどうなのでしょうか?
サッカー選手で言えば、選手が自らボールタッチの回数を3回までに制限するようなものです。
もっとも、回数制限は早く議会を終わらせるためには有効な手段なのですが。。。
議会の情報発信
国会と同様に、市議会レベルでも本会議を「生中継」している自治体は多くあります。
ただし、委員会まで中継する自治体は少数であり、今後のデジタル化を考えるならば、委員会の公開は推進すべきだと考えています。
少なくとも、委員会の議事録は取って公開すべきだとも考えますが、五島市議会ではどちらも進捗なしです。
脱線しましたが、臨時議会は本会議場で行われるため、ケーブルTV放送をどうするかが議論となりました。
現在五島市では、「その都度放送するかどうか、議論する」と決まっていますが、
私は本会議場での議論は「基本的に放映」すべきと考えています。
それは議案の重要度を決めるのは議員ではなく市民であり、原則として税金の使い方を決める議会の情報は公開するべきと考えるからです。
これに関しては、1月20日の議会運営委員会で、放送する方針とする事が決定しました(但し、業務を委託する会社の都合上無理ならば不可)。
まとめ
地方議会には、様々な点で改善すべき点が山ほどあります。本記事で紹介したように、
- 議会運営では定例議会ではなく通年議会の導入を検討すること
- 臨時議会では納得のいくまで質疑ができるあり方を導入すること
- 臨時議会や委員会まで含め、議会の情報を発信すること
が主な改善点です。(ほかにも沢山ありますが)
ただし、五島市の場合では、全般的にまだまだであると感じています。
以上、なり手不足が叫ばれる2023年時点での地方議会の一例の紹介でした。