私が長崎県知事だったら

長崎県の令和予算

長崎新聞で以下の見出しで記事が掲載されています。

一般会計7260億円 第2期創生戦略に295億円 長崎県新年度予算案

https://this.kiji.is/602137676401427553?c=174761113988793844

本日は、その中身についてのご紹介です。

積極的なハコモノ政策推進

大型事業関係では、東彼川棚町に計画する石木ダムの本体工事費として約8億円を組み込んだ。

九州新幹線長崎ルートの22年度暫定開業に向け対策事業費3900万円を計上、県民の機運醸成を図る。

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の区域整備計画の作成などに1億6600万円を組み込んだほか、ギャンブルなどの依存症対策費2600万円も計上した。

私個人の意見としては、いわゆる「ハコモノ政策」に懐疑的です。

石木ダムを巡っては、水需要予測に科学的な根拠がないと指摘されています。

石木ダム事業の水需要予測 「科学性が欠如」 科学者の会 佐世保市に意見書

九州新幹線をめぐっては、佐賀県との財政負担を巡り、平行線で議論が進みません。結局、Win-Winの関係でないと挫折します。

IRを巡っては汚職の問題もさることながら、経済的な効果が疑問です。県は経済波及効果を年間の営業で3200億~4200億円と試算しているそうですが、根拠は不明確です。

さらに言えば、問題はその経済効果がどれだけ市民に行き渡るか、という点です。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200218-00000007-nagasaki-l42

とりあえず古墳のようなハコモノを創る事が行政の仕事だという発想は、時代遅れな昭和の発想です。

何しろ、人口減少の社会であることは避けられないからです。

こうした政策の背景にある価値観としては、

沢山の人が効率的に移動し、

限られた時間の中で出来る限り多くのお金を使い、

消費を回すことが健全な社会である。

という思考です。ところが、令和の時代は、

ネット空間で「移動」の必要性は薄れ、

スローライフ的な時間の価値が見直され、

消費だけでは測れない多様性が尊重される社会

になりそうです。

産業支援

更に記事の中では、

総合戦略の一環として、産業構造の転換も促す。航空機関連産業のサプライチェーン(部品の調達・供給網)の充実・強化と関連企業の支援に1億1300万円、ロボット・IoT(モノのインターネット)関連企業の育成や支援に1億800万円をそれぞれ充てた。また、県立大に情報セキュリティ産学共同研究センター(仮称)を整備するため、事業費7千万円を盛り込んだ。

これだけ見ると、トヨタのような「地域の稼ぎ頭」を育てる事が、政治の重要な役割のように見えます。

もやはGAFAが経済活動のプラットフォームと化している世の中で、どれだけ「産業振興に政治的な意味合いがあるのか?」と感じます。

現在の産業支援は「今は落ち目 or これから伸びそうだから支援する」というだけにしか見えません。

今一度、「政治の役割」が何なのか、考える時期に来ていると言えるでしょう。

国土強靭化

更に記事の中では、

自然災害被害を最小限に抑える国の「国土強靱(きょうじん)化」対策などを受け、防災・減災対策の公共事業費は19年度当初比73億円増の1055億円となった。

と紹介されています。

自然災害の凶暴化が進む中で、住民の「命を守るコスト」が上昇するのは避けられません。

しかし一方で、人口減少する自治体の多くが「強靭化」をし始めると、財政的に大丈夫なのだろうか、という心配もあります。

更に時代は、交流人口が加速する流れです。

ガッツリ補強したけど、住民がいなくなってしまいました。

では、本末転倒です。闇雲に現在のインフラを補強するだけではなく、「新しい暮らしをデザインする」という発想が必要です。

私が知事だったら

私が知事だったら、方針として

  1. 従来の価値観の延長線上にある「ハコモノ」は作らない
  2. 産業支援の意味を捉え直し、「住民に必要な」産業を支援する
  3. 国土強靭化でむやみにインフラ補強しない(10年先を考える)

とします。