【野口市政検証】財政運営4年目の方針と対策

財政運営4年目

本日は、就任4年目(H27年度)の財政運営についてです。

まずは施政方針演説の行財政の部分から抜粋です。

平成27年度は、第3次行政改革大綱の初年度となります。

今回の行政改革では、第2次行政改革で掲げた3つの基本方針を継承し、簡素で効率的な行財政運営の確立に向け、改革のさらなる推進を図ります。

ここで述べられている3つの基本目標とは

Ⅰ.単年度収支不足を解消
Ⅱ.経常収支比率の現行水準維持(91%)
Ⅲ.実質公債費比率 9%未満を維持

です。

交付税の段階縮小の開始

平成27年度から、地方交付税の合併算定替えの段階的縮減が始まり、平成32年度には一本算定となります。

国は、合併市が強く要請していた支所経費に続き、消防経費や離島の合併に伴う経費増に対応した交付税の見直しを進めており、一本算定時の減額が圧縮されることになりますが、それでもなお、五島市の財政は厳しい状況にあります。

徹底した事務事業の見直しの実施など、健全な行財政運営に努めてまいります。

と表明しています。

ごみ焼却施設の建設

補助金が減らされる中で、市税を圧迫する要因を減らしていく事が求められます。

その中で大きいのが「ゴミの焼却場」です。

https://nakanishidaisuke.com/2018/06/25/gomi

H29.12月の市議会答弁によると、

平成28年度の塵芥処理費の決算額で9億5,193万円となっております。そのうち焼却費用につきましては、同じく平成28年度決算額において5億5,241万円

とされています。この費用が、新しくコンパクトな施設を建てる事によって、半分以下になる、とされています。

ところが、このゴミ処理施設の建設を巡り、数多くの問題点が指摘されています。

建築への反対

H27.3月の施政方針では、

新たなごみ焼却施設の建設については、平成31年4月の稼働を目指し、各種調査業務、基本設計を実施するための予算を計上しています。

地元町内会などと十分な協議・調整を行いながら、事業を進めてまいります。

と述べられています。ところが、H27.12月の江川議員の質問によると、建設予定の大浜地区で

  • 圧倒的多数で施設建設反対の決議
  • 地区住民の皆さんの強い反対で事業は進んでいません
  • (当時の)副市長が難航しているごみ焼却施設建設事業を進めるために全ての責任をとり辞職

という事実が指摘されていて、建設の白紙撤回が求められました。

さらに当時の市議会では、ゴミ焼却場を巡り、7人の議員が登壇し、質問をしています。そうした中でも、五島市がゴミ処理場を建設する理由として、

現在財政が厳しいこと、財政負担が、現在の焼却炉の管理費の負担が大変だということ

が述べられています。

ゴミの分別と市民参加

ゴミを減らすためには、減量・分別が必要です。

これこそ、市長がスローガンに掲げる「結集力」が問われるテーマです。H27.12月の江川議員の質問によると、資源物の売却益について、先進地との比較がされています。

  • 五島市:市の財政になる
  • 志布志市:ごみ資源回収等の市民活動に還元

しているため、

志布志市では、分別をすればするほど市民の活動、取り組みが強くなっている

と紹介されています。

https://nakanishidaisuke.com/2018/09/11/gomi-management/

ゴミ処理と負担

大浜のごみ焼却場を巡り、当時の市議会では

計画は白紙撤回し、再検討する請願が提出

されていました。草野議員の質問によると、反対の大きな理由として、

  • かつて稼働していた旧大浜焼却施設のトラブルへの行政の対応が悪過ぎた、このことで行政不信が深まっていった
  • 大浜に決めたことが唐突であった、突然であった

ことが指摘されています。

なぜ唐突になったのか?

実は先ほどの志布志市に倣い、五島市では

28分別をやろうということで、約2年間以上その計画で五島市も進んできた

と紹介されています。しかしながら、

もし28分別でいけば、それを埋め立てる用地が必要なのだということがここで出てきた(90億から100億かかると試算)。

とされており、見積もりの判断が遅すぎた、と紹介されています。そのため、2年間のブランクを挟み、地元住民に対する説明会も、遅れてしまったと指摘されています。

旧施設の解体が進まなかった理由

同市議会の菊谷議員の紹介によると、

大浜焼却場は昭和59年に建設され、自来、ほぼ19年間稼働し、ただいま廃炉されて約13年間

でしたが、当時まで解体が進んでいませんでした。その理由としては、

  • 大浜の旧焼却施設はほかの施設と比較して60トンと規模が大きく、解体工事に多額の費用を要する。
  • 有利な助成制度がなく、財政上の都合と合わせて、これまで解体が遅れていた。

との答弁があります。

大浜に拘る理由

さらに、同市議会の網元議員の質問(なぜそこまで大浜に拘るのか?)に対して、市長は

「最小の経費で最大の効果」

を繰り返し述べています。この背景として、

市民の皆様の関心、財政運営に対する関心というのは、これは、この五島市は、他の市町村に比べてかなり強いと思っております。

と述べられ、具体的な事例として、五島市合併当初に起こった2つの署名活動

  • 図書館の住民の署名活動:13億円程度の図書館の建設予算を撤回
  • 議員の削減の署名活動:任期の特例が撤廃され、90名近くいた方が、議員さんが二十数名という形の中に削減

が紹介されています。

さらに、五島市では住民監査請求(余計にお金を使うと、市長は市に被害を与えたということで、この分については市長が払えという制度)があり、

私は市長に就任をいたしまして、もう4件、この住民監査請求で訴えられております。

とも述べられています。

まとめ

就任4年目で大きな政治的なテーマとして、「大浜ゴミ処理建設問題」が焦点になりました。

これは「財政的な負担」を削減したいという役所の論理と、地域住民の反対が正面からぶつかり、大きな論争を生みました。

令和元年の現在、ゴミ処理施設は大浜に建設中です。

この問題が大きくなった理由の一つとしては、

大きな問題を先送りしていたこと(2年間のブランク)

があると思います。実際、市長も就任した当初は

実は、こういう問題があることは、はっきり申し上げまして、この建てかえ時期が来ているということがこの市政の課題として残っているということについては、市長に就任して話を聞くまでは、実は認識をしておりませんでした。

と述べています。これからの自治体を担う政治家としては、

  1. 日ごろから市の課題について優先順位をつけ
  2. 市民と対話・説明を続けていく姿勢

が求められます。