令和の自治体は補助金の交付を減らすべき

本日は外見と中身の話です。

政治の話と絡めてご紹介します。

補助金というエサ

今の五島市は、様々なエサで移住者や起業者を増やそうとしています。

ところが、心理学的にみると、これは「外発的な動機付け」と呼ばれます。

https://biz-shinri.com/dictionary/extrinsic-motivation

簡単に中身を紹介すると、

目標を達成すると満足し、それ以上の努力をやめてしまうケースが多いと言われています。

外からのインセンティブは、目先の数字を達成するためには役に立ちますが、持続性という観点では、内発的動機付けの方が役に立ちます。

政治的に良く使われるのは、この「外発的動機付け=補助金」という構図です。

太陽光発電がその典型ですが、国の補助が貰えるというおかげで、随分と普及しました。

ところが現在は、そのしわ寄せとして電気料金が高くなりすぎ、業者も増えすぎた、という問題が発生しています。

内発的な動機付けを

エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事の木下斉氏も

「補助金は毒」

と断言しています。

https://newspicks.com/news/3947804/body/

これからの時代は、「補助金で釣る」という従来のやり方が、通用しなくなります。

逆に、成功事例となる自治体は、

非常に不利な条件で、補助金もない。

だけどなぜか、その場所を選んでチャレンジする人がいある。

という形になります。そこで求められるのは、お金という共通の尺度ではなく、「そこでチャレンジをする意味」みたいな個別的な動機です。

お金でヒトを釣るなら簡単で、誰でも出来ます。

しかし、そこにしかない意味で人を釣るのは難しい。

これからの自治体は、外部に対して「自治体が持つ意味や役割」を磨く必要があります。

移住者の奪い合い

現在、地方の自治体は「まち・ひと・仕事創生」に基づき、関係人口の促進を求められています。

その流れの中で、東京一極集中の解消に向け、政府は地方に更なる「外発的動機」を与えようとしています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/r01-06-21-kihonhousin2019gaiyou.pdf

五島市の場合

国境離島の五島市では、国境離島新法という新しい法律のおかげで、新規事業の創業が増えました。

要するに、補助金が潤沢に使えるので、事業の創出や拡大がしやすくなったという事です。

しかしながら、制度開始から2年半が経ち、様々な面で歪みが生まれています

  • 創業してから間もなく倒産をしてしまったり
  • 客の奪い合いによって地元で頑張るお店が淘汰されたり
  • 求人の奪い合いによって人手不足が深刻化したり

そうした中で、

移住者やよそ者ばかりに税金を使うのはおかしいのでは??

という当然の反発も生まれています。

それに加えて、島の人が島外に行くときの運賃が低廉化されたため、ますます「外でお金を使う頻度」が増え、島内のお金が流出する事態となりました。

おカネの分配は逆効果

従来の地方では、国から地方にお金を分配し、外発的な動機付けを高める事が正解でした。

ところが現代は、国からの補助金が、かえって地方の力を奪うという、逆の構図が生じています。

極端に言えば、補助金がないと成り立たない自治体になってしまいます。

病院がなくなった夕張市もそうですが、外部に頼るものがない方が、かえって自身の免疫力は高まります。

そうした意味で、地方の魅力を磨くという方針の自治体が目指すべきは、

いかに国や県から補助金を貰うか??

ではなく、逆に、

いかに自治体としての自助力を高めるか?

が大事になってきます。いっそのこと、

  1. 自治体の貰う交付金・補助金を全て辞めます!
  2. でも、やっぱりそれじゃあキツイ!
  3. だからクラウドファンディングで支援してください!

とチャレンジする自治体の方が、魅力が高まります。

道路も橋も、交付金で作ったものは、地元住民から見れば、ただの道路に過ぎず、そこに”意味”はありません。

しかし、久賀島の折紙展望台のように、地元の方々が創意工夫を凝らして作った景勝地には、”意味”があります。

教会施設も同じです。

自分たちで作ったものだから、維持してきたものだから、そこに”意味”が生まれます。

そのため、

  • 補助金ベースの外発的な要因による地域デザインではなく
  • 内発的な要因による関係人口を元に地域デザインする

ことこそが、令和の時代の首長の仕事です。