選挙の前に
本日は、最近読んだ書籍の紹介です。
本書を通じては、
アベノミクスがこれだけ失敗している
という事が、データを基に述べられています。2019年夏の選挙を前に、今一度
そういえば、アベノミクスって何だったんだっけ?
という点を振り返るって見る事をお勧めします。
本日は、その中身と感想の紹介です。
インフレ目標と外部要因
アベノミクス、と言えば、当面のゴールは緩やかなインフレ目標(毎年2%の物価目標)です。
しかし、ここで非常に単純な壁が待ち構えています。
それはインフレという経済現象が、為替の影響を受ける事です。
そして為替は、日本だけの問題ではありません。
そのため、「どうしようも出来ない部分」に依存した目標設定をする事は、
毎年、降水確率20%を目指します
と言っているのと本質的には変わりません。
外部要因を考慮せず、自分たちだけの政策で目標が達成されると言うのは、政策の目標としてどうなのでしょうか。
リフレ派の理論
アベノミクスは、大胆な金融緩和と財政政策・成長戦略によって、インフレが進行すると見込んでいましたが、その目論見は見事に外れました。
その理由は、書籍によると、
原因と結果を間違えていたこと
です。具体的に言うと、
景気が良くなれば物価が上がる。
は正しいが、
物価が上がれば景気が良くなる。
は間違いという事です。そのため、マネタリーベース(日銀当座予期)は増えたけど、民間の消費が落ち込むという結果になっています。順番としては、
- 金融緩和でマネタリーベースが増える
- 円の相対的な価値が下がると判断した投資家が、円を売る
- 円安になると、輸入品目の消費者物価指数が上がる
- さらに増税によって、物価が上がる
- ダブルパンチで物価が上がり、民間消費額が減る
という流れです。
アベノミクスという病
本書では、他にも様々な点でアベノミクスの失敗と、それに対する「誤魔化し」が紹介されています。
まとめると、アベノミクスが失敗に終わった原因は
- 外部要因(為替)を考慮していない
- 市場のメカニズム(AならばB)に沿っていない
という点に帰結されそうです。さらに厄介なのは、
- GDPのかさ上げにより、実体経済との乖離が生じた事
- GPIFとETFの介入により、株式市場も歪められた事
- 出口のない異次元緩和により、時限爆弾が大きくなった事
です。こうした事から、
アベノミクスを止める事自体が、巨大な経済的リスク
となってしまいました。いわば、副作用としての爆弾が大きくなってしまった状態です。
政治と経済の今後
今後の大きな分岐点は、メディアが騒ぎ立てている通り、
衆参ダブル選挙になるか?
という点でしょう。
衆参ダブル選挙の場合
政権奪還の場合
非常にかじ取りが難しい状況が続くと考えられます。アベノミクスをいかに軟着陸させるか?という点が一番の争点となるはずですので、少なからず経済に大きな影響を与えます。
政権維持の場合
実質、アベノミクスは手詰まり状態ですので、経済対策として有効な手段はありません。「リーマンショック級の」理由を付けて消費増税を延長させ、延命を図るのが一番落ち着く形となるでしょう。
参議院選挙のみの場合
こちらも政治的な変化は少なく、現在の延長線上で政策が行われることになります。少なくともオリンピックを乗り切ることが出来るか?という点が、自民党政権にとっての正念場となりそうです。