穴の空いたバケツ
今五島市は、経済対策として「雇用促進」事業を進めています。
しかし、以前市長がコラムに書かれていた通り、
五島の経済は「穴の空いたバケツ」です。
国境離島新法の運賃低廉化により、
このバケツの穴はさらに広がりました。
分かりやすい例で説明します。
毎月20万円の所得が安定的に貰えるとしたら、何をしますか?
おそらく多くの人が
- 長崎や福岡で買い物をしたり
- 海外旅行に出かけたり
- 子供を私立の高校に通わせたり
- 病院に通うための住居を島外に構えたり
することでしょう。つまり、
「お金が増える=五島で活動する人口が減る」
という事です。逆に言えば、五島の人は
「お金が十分ではないから」
という理由で、
「都会水準とはいえないサービス」
で妥協しているとも言えます。
宝くじで人生は狂う
これは島国である五島で顕著な例ですが、
全国の地方でも同じことが言えると思います。
一般的に、ヒトはお金があれば、「より良いもの」を求めます。
贅沢な暮らしであったり、水準の高い医療サービスであったり。
宝くじのせいで人生が狂った
とよく聞きますが、これは9割以上の人間に当てはまる真実です。
バブルの時代のはじけっぷりを見れば、それが良く分かります。
つまり、お金があればヒトは「生活水準」が上がります。
生活水準が上がると、地方では圧倒的に供給不足です。
なにしろ、地方に行けばどこも同じですが、
- 100円ショップに高齢者が殺到し
- 安売りセールで庶民がワーッと集まる
状況ですから、ロイヤルホストは収益が厳しいです。
逆説的ですが、
地方は貧乏であるが故に、人口を維持できている
とも言えます。今は全国のどこの地方でも、
- 人口減少対策を掲げて「雇用の創出」を謳っていますが、
- それが成功して経済的に庶民の所得が増えると
- かえって地方の人口流出を招く
という結果になります。
これは物理的に、
「お金はお金のある場所に集まる」
という、いわば重力が働くためです。
資本主義のルールを変えよう
こうなると、地方が「経済的な発展」を目指すことは、
地方の人口減少を招きます。
このジレンマを解消するためには、資本主義のルールから離れ
「お金がなくても生活できる社会」
の実現を目指す方向性が望ましいです。
今の社会では、圧倒的に「モノとカネ」が溢れています。
日本の中で、
1日に捨てられる食料はどのくらいでしょうか?
空き家になっている家屋はどれくらいでしょうか?
そういった「モッタイナイ」物を
シェアリングエコノミーという側面から捉えなおし、
コストを0で提供できる社会が、
労働を搾取するAI時代における先進的な地方の姿です。
これに加えて、単価の高いサービス、例えば
- 社会インフラ・防災・防犯・安全保障
- 医療・福祉・介護・教育
という部分をいかに付け加えるか?
が鍵になりそうですが、そんな場面でこそ
「人間の労働コストを最小化」し、
「最大限に合理的な意思決定」
ができるAI技術やロボットを導入する余地があります。