地方の公共交通
地方の公共交通は、どこも赤字に苦しんでいます。それは人工減少の影響をダイレクトに受けるビジネスだからです。
財政が脆弱な多くの自治体は、負担に耐えきれず、サービスを民営化する方向で統廃合を進めています。
例えば佐世保では、市営バスが廃止され、民間のバス会社に運行体制を一体化させています。(詳細)
ところが民間に任せると、無理に無理を重ね、ある日突然経営破綻、という五島産業汽船のようなケースもあります。(詳細)
突然の破産の背景としては、資金繰りの悪化ですが、経営状態は火の車、自転車操業だったみたいです。
いずれにせよ、公共交通路線は「市民の足」というインフラ的側面から簡単に撤退することが難しく、続ければ続けるほど、苦しいという現状です。
公共交通を支えるもの
公共交通の維持の多くは、税金で賄われています。高齢者向けという面では、社会福祉という側面もあります。
日本の地方における問題は、延命措置に多額の税金が使われ、肝心の基幹産業を育てるという分野に投資が行われていないことです。
それはお金だけの問題ではなく、若者の時間という点についても同様です。
老老介護という言葉に象徴されるように、高齢者の生活を支えるために多くの社会的リソースが投じられています。
目先のこと > 将来のこと
政治的な分野に関しても言える事ですが、
- 目先の事に奔走するあまり
- 誰も10年・20年先の事を考えられない
- だから皆何となく、不安が募る
ことが問題ではないでしょうか。
悪循環ですが、そうするとますます市民は
- 将来への不安を感じるようになり
- お金を使うことよりも貯蓄に走り
- お金が使われず、経済が縮小
します。
地方の公共交通が突然、蒸発してしまうような出来事が起こる背景にあるのは、
将来的に明るい見通しが持てないから不安が募り、経済が収縮する
という株式投資にもみた集団心理の冷え込みです。
次世代インフラを考える
現在、地方の衰退で起きている問題の多くは、
インフラの維持に人手が必要なこと
に起因します。水道・ガス・電気・交通といったインフラは、
- 人手(従業員)がいないと回らない
- 人手(客)がいないと採算が合わない
ため、人口減少に比例してダブルで経営が苦しくなります(人手不足&売上減少)。
そのため、公共交通としてのインフラは
- 維持管理に人手を必要としないデザイン(自動化)
- 需給に併せて調節できるデザイン(小型・分散化)
に生まれ変わる必要があります。
電気で言えば自家発電設備でしょうか。
そうした「次世代インフラのデザイン」にお金と時間をかけながら、少しずつそれを社会に浸透させていくような政治的判断が、今後はますます求められる気がします。