五島の財政
地方は財政が火の車で、国のお世話にならないと成り立たないことを、以前の記事でご紹介しました。
https://nakanishidaisuke.com/2017/10/03/finance-of-goto/
本日は、その中でも圧倒的に比率が少ない、「自主財源」の内訳と、私が市長だったらそれをどうするか、ご紹介します。
市税
個人市県民税
個人を対象に、県民税と市民税がセットで徴収されます。特徴としては、所得が多い人ほど多く課税されます。(詳細)
そもそも賃金が低い五島では、所得を正確に把握するのが難しく、
- ダブルワークをしている人
- 給料を現金で貰っている人
が多い気がします。
そのため、課税対象の「漏れ」が割と多く存在するのではないでしょうか。
全てのデータがオンライン上に残るのであれば話は別ですが、現在のキャッシュ中心、ペーパー中心の田舎社会で個人の収入・資産を公平且つ正確に把握するのは、非常に困難です。
五島市では、個人住民税の「所得割」が、市税全体の33%前後を占めています。(H24~H28)
法人市民税
こちらは法人に課される税でして、
税額=均等割額+法人税割額
で算出されます。そのうち、「均等割額」の税率は「従業員数」と「資本金」によって決まります。
大きい会社ほど多く稼いでいる
という発想なのでしょうが、どうも時代の流れと合っていない気がします。
一方で、「法人税割額」の方は、法人の課税対象所得に対して、一定の税率をかけて算出されます。
現行の「均等割額+法人税割額」という、実体に即していない計算は辞めて、
会社の規模に関係なく、儲かっている会社からは徴収
という風にしたほうがシンプルだと考えられます。
私だったら、法人税の均等割額を廃止します。そもそも法人税は、市税全体に占める割合が5%前後ですので、あまり関係はありませんが。
固定資産税
市役所のHPによると、
土地課税台帳、または家屋課税台帳に登録された土地の価格。償却資産は償却資産課税台帳に登録された価格。税率は1.4%となっています。
1000万円の固定資産であれば、年間14万円という感じでしょうか。中々高く感じられますね。
しかしながら、H30年度の五島市の固定資産税は、H29年度と比べて2600万円程度の徴収減となっています。その要因は、
- 所有者者が減った(死亡とかで)
- 固定資産の価値が減った(減価償却で)
などが考えられますが、今後も人口減少が続く限り、固定資産税の徴収額は減る傾向が続きそうです。
それでも固定資産税は、市税全体の40%前後を占める非常に大きな財源です。
私だったら、未開発の土地(無人島)を民間企業に貸し出すなどして、幅を増やすとともに、ネーミングライツなども取り入れて土地の資産家を図ります。
軽自動車税
自動車全般を持っていることに対する税金です。
こちらは人口減少ながらも、H30年度に860万円程度の徴収増(H29年度比)となっています。なぜでしょうか?
税率そのものが上がったという情報はありませんので、
「個人/法人の車保有率が上がった」
ことが大きな要因でしょう。考えてみれば、国境離島新法で採択されたビジネスの多くも、車を使うサービスが必須のところが多そうです。
そのため、五島の車の台数は、人間の数に反比例して増えているのかもしれません。
私だったら、「車の所有」から「車の利用」への発想転換を促し、自動運転を推進させるために、うんと自動車税は高くします。
たばこ税
市役所の情報が面白かったので、そのまま転記します。
たばこに税金(たばこ税)がかかっていることはみなさんご存じだと思います。このたばこ税はたばこを買った場所(市)の収入になります。たばこを五島市で買うことにより、市では市民のみなさんのためにより多くの事業ができます。
旅行など市外へ行くときは、市内で買ってからお出かけください。
たばこは市内で買いましょう。
市役所が赤文字でタバコの推奨をしています。
私はたばこ吸いませんが、確かに五島の喫煙率は結構高い気がします。
一方で、市民が健康悪化により病院に掛かる回数が増えれば、医療負担額も増えてしまいます。
実際、市税の全体に占める割合は8%前後で推移しています。
私だったら、健康増進を目的に、タバコ税をうんと高くします。
都市計画税
都市計画税の説明を見ると、
都市計画事業、または土地区画整理事業に要する費用にあてるために、五島市条例で指定された区域内に所在する土地及び家屋に対し、その土地または家屋の所有者に課税されるものです。税率は0.3%です。
と紹介されており、H30年度は660万円程度の徴収減となっています。これも言うなれば、固定資産税のおまけみたいなものでしょう。
私だったら、
都市計画=社会の自動化
と位置づけて、こちらもうんと高くします。
その他の税
五島市のHPによると、その他の税の内訳は以下の通りです。
- 鉱産税
- 特別土地保有税
- 入湯税
入浴税っていうものもあるのは面白いですね。それ以外にも、ユニークな税項目を作るのも良さそうです。
まとめ
現在の「市税」の種類と特徴は以下の通りです。
- 個人市県民税:正確な所得、収入の把握は不可能
- 法人市民税:「会社の規模」で税率決定は、実態に合わない
- 固定資産税:資産の利用促進が進まず、価値は下落気味
- 軽自動車税:車を保有する法人、個人が増えている
- たばこ税:市役所が推奨しているが、健康は害される
- 都市計画税:固定資産税の付随
- その他の税:イロイロある
私が市長だったら、
- 個人市県民税:情報管理をマイナンバー化
- 法人市民税:均等割額を廃止
- 固定資産税:流動性を高くするため、税率を上げる
- 軽自動車税:所有を減らすため、税率を上げる
- たばこ税:健康増進のため、税率を上げる
- 都市計画税:所有を減らすため、税率を上げる
- その他の税:「AI促進税」とかを新しく作る
総じて、所得に対するペナルティーを大幅に引き上げることで、社会の遊休資産(家・土地・車)をより有効に活用できるのではないでしょうか。