子育て支援ブーム
空前の少子化ブームに沸く日本列島では今、地方がこぞって
「子育て支援策」
の拡充・PRを宣伝しています。
子育て世代は、
- 家を買う可能性がある
- 学校に通う可能性がある
- 仕事に就く可能性がある
ということで、人口減少が著しい地方から見たときに、非常に魅力的な存在です。
実際、3人のニートが地方に移住して生活保護を貰うよりも、3人の家族が移住して労働し、市民税を払ってくれたほうが嬉しいわけです。
今回は、そんな「子育て支援」について、投資という観点から考えてみます。
子育てコスト
子育てを支援する政治的な工夫は、様々です。
- 第○子の教育費無料!
- 子育て世代への税の割引制度!
- 出産に対するお見舞い金を支給!
要するに、子育てに対する生活コストを減らすというスタンスです。
ところが、こうして地方が打ち出している「子育て支援」には、様々な面で地方の負担が発生します。
財政的に余裕のある地方が、有利な条件を提示することが出来る、という形となり、
「子育て(教育)の地域間格差」
が生じます。移住希望者からすると、地方ごとに競争が生じることで、得られる利益の幅は大きくなりますが、地方はある意味で、チキンレースです。
投資が回収出来ない
そして問題のもう一つは、行政があの手この手で負担した「教育コスト」の負担を、回収することが出来ない、という点です。
例えば五島では、大学がないため卒業すると9割の学生は島外に出ます。そして多くは、都会で就職したり結婚したり。
こうしてみると、田舎は
大金かけて子供を育てたのに、納税という直接的なリターンはゼロ
という状態になってしまいます。
費用対効果で考えれば、その効果は著しく低くなります。
しかし、だからと言って「子育て支援」を完全に打ち切ってしまった場合、今度は「親世代」が寄り付かなくなるため、財政的には更に厳しくなっていきます。
行政のジレンマ
全国的に少子化が進んでおり、地方の行政は
- 「子育て支援」をPRしないと親世代が集まらない
- 「子育て支援」をしても、結局投資額は回収は出来ない
というジレンマを抱えており、そのしわ寄せが「都会への一極集中」という形で現れています。
「1」については、子育て世代がいなくても、税収と歳出が見合うように、地方が工夫をしていくべきでしょう。そもそも絶対数が足りていないのですから。
「2」については、地方で産業が成り立っていない事が根本的な原因ですので、限界集落・消滅可能都市でこそ、新しい産業となるような場所を創出できる様に、PRをしていくべきでしょう。