人間社会
SNSを介した「つながり孤独」が大きなテーマとなっている時代です。NHKの番組はこちら。
番組では、「現代の若者の多くがSNSを利用している」ことを前提に、
- SNSに繋がっていないと不安な人もいる
- SNSで他人と比べて孤独を感じる人もいる
という問題が提起されています。
これは若者だけでなく、人間の心理に深く根ざしたテーマですので、原因を考えてみたいと思います。
SNSに繋がっていないと不安
人間はチンパンジーの時代から、社会的な動物です。それはDNAレベルにも刻まれていると思います。
例えば、一昔前を考えてみましょう。
村を単位とした「コミュニティー社会」であれば、
人と繋がっていない=死
を意味していました。
ところが「都市」が誕生すると、人は人と繋がっていなくても、生活をすることが可能となってしまいます。
だけど都市で1人で生活をしていると、
人と繋がっていない=不自然
なことだと感じる機会が多くなります。
コミュニティーが生活の基盤となっていた時代は、人と繋がることが、生物的に自然な状態でした。
ところが、都市生活が生活の基盤となると、生物的に不自然な状態が発生します。
田舎者から見ると、都市生活者のファッションや振る舞いがが不自然に見えるのは、都市の生活そのものが、生物的に不自然な状態だからです。
コレは、今まで水中で生活していた生物が、いきなり陸上に上がってきた時と同じくらい大きな変化です。
現代の若者は、SNSを通じて基本的に「どこにでも所属可能」な状態になっているため、不安であることは極めて「自然」なことです。
SNSで他人と比べて孤独を感じる人もいる
人との比較は、人間の心理活動で最も基本的な傾向です。
他人の不幸は蜜の味
と言いますが、SNSで孤独を感じるのは、コレと逆の現象です。
- リア充(きらきら)のSNSアピールに対してウンザリ
- 同世代の活躍っプリを自分と比べてしまう
というのは、人間の性です。
幸せや不幸は、人と比べるモノではない
と、偉そうに言う人もいますが、それは達観した意見であり、やっぱり他人と比べてしまうのが、生物学的に自然なことです。
特にこの傾向は女性に多く、突き詰めていくと「嫉妬」という問題にぶち当たる気がします。
では、嫉妬がなぜ生まれるのかというと、これもやはり、私たちの身体に刻まれた、サルの時代からの名残です。
嫉妬が何のためにあるか、一言で言えば、
「社会に緊張状態を生み、バランスを保つため」
だと思います。ここでも、原資的なサルの社会を想定してみます。
嫉妬が全く存在しないコミュニティでは、遺伝子の優劣が生存に大きく左右します。
結果として、特定の固体に有利な条件(富・パートナー・資源)が集中する傾向が高くなります。
優秀な遺伝子が残ることは、社会的に望ましいのでは?
と思われるかも知れませんが、種全体に偏りが生じて多様性が失われることは、長期的に見てマイナスです。
一方、嫉妬が存在する社会では、「出る杭」が打たるため、結果的に「幸せ」が分散する傾向が高くなります。
古いお話で言えば、源氏物語。最近の事例で言えば、ゴウリキさんですかね。
嫉妬があることにより、優秀でない個体(容姿がその時代の異性に受けなかったり、その時代の社会の歯車に上手くなじめなかったり)でも、嫉妬で共感して団結し、生存の可能性を高めることが出来ます。
現代では、嫉妬を基に他人の足を引っ張ることは、通念的には「望ましくない」とされています。が、現実としてはありとあらゆる場所で起こっています。
そんな訳で、SNS上で他人と比べてしまう「嫉妬」も、現代では生物的に極めて自然なことです。
まとめ
現代の若者の多くは、
SNSに繋がっていたいけど、SNSを見ると不幸になる
というジレンマを抱えています。この原因は、人間が生物学的に、
- 「ヒトとの繋がり」を求める一方
- 「他人と比べてしまう」傾向がある
ためです。更に思春期は、身体の変化も相まって情緒不安定になり、話がさらにややこしくなってしまいます。
こうした「アンバランスさ」を解消するために、今後は
リアルな世界への繋がり欲求
が、オンライン空間の充実(動画、VR、SNS)に反比例する形で高まっていくと考えられます。
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