補助金漬けの代名詞
農林水産業は、日本の一次産業の中で、政府から手厚い保護を受けています。
- 競争力の強化に向けた設備の導入
- 関税による国内製品の保護
- 収入減少に対する政府の補填
などなど。飲食とかサービス業からすると、
(沢山補助金が貰えていいなー)
という形で、羨ましがられている感じさえします。
さて、そもそもどうして、日本の農林水産業は、「手厚い政府の保護」を受けなければならなくなったのでしょうか?
それは言うまでもなく、「海外との競争に勝てないから」です。関税を撤廃して、農家や漁業者の自主努力に任せてしまった場合、大半の事業者が廃業に追い込まれてしまうでしょう。
しかし、今後はPBの黒字化に向けて、政府の緊縮財政が一層拡大すると見込まれるため、政府が支給する補助金の額も、減らされる傾向にあると考えられます。
担い手不足と高齢化に苦しむ農林水産業が、これから生き残るためには、どうしたら良いのでしょうか?
技術導入と生産性の向上
答えは単純で、
「情報技術とロボットを活用して、生産性を高める」ことです。
そうしない限り、医療や介護と同様に、安い労働力に頼って生産性が高まらず、産業自体はますます衰退していきます。
外国人の受け入れが全国的に増える傾向にありますが、コレは国全体として、生産性の向上と逆の方向性に進んでいるように見えます。
それでは、現在手厚い保護によって延命している農林水産業が、最先端の技術を活用したらどのように生まれ変わるか、見ていきましょう。
農業は品質管理をデータ化
付加価値の高い製品を作るために品質管理が求められる農業は、情報処理技術と親和性の高い分野だと考えられます。
例えばビニールハウスでの栽培。
温度、湿度、天候、遺伝といった、様々な情報をAIに読み取らせ、自動的に温度や湿度を管理することが、今後の鍵です。
「品質の高い農産品を作るノウハウ」
は『農家生産』の情報として蓄積され、自動的に改善されていきます。
そういう装置を一つ作って置けば、他の場所でもプログラムを再現することが可能となります。
牛や豚・鳥といった動物についても同様に、「高い品質」を確保するためのデータを蓄積しておくことが、技術利用の第一歩として挙げられます。
後はそこに自動で働くロボットが導入されれば、人手をかけずに農作物を生産することが可能となります。
漁業もデータ管理と産業ロボ
漁業についても、基本的な考え方は農業と同じです。
従来のように、海に泳いでいる魚を採るのではなく、海域の資源データを管理し、生簀の中で魚を育てる発想が大切になります。
ここでも産業用のロボットを最大限に活用することにより、
- 漁具の清掃やメンテナンス
- エサや水質の管理
- 魚の水揚げと製造加工
といった人手のかかるプロセスを、省力化して実現することが出来ます。
林業は伐採から製品製造を自動化
林業も同様に、植えた時期と刈りいれ時のデータを管理し、産業用のロボットを導入することにより、生産性を高めることが出来ます。
ただ、林業の問題点は、スギやヒノキと言った人工林が、安い値段でしか売れないことです。
販売加工した製品が、何らかの形で売れれば話は別ですが、そのままでは売れません。
伐採した樹木を基にした製品作りは、家具でも家屋でもバイオマスでも問題ありません。
ここでのポイントは、切り取ってから製品を作るまでのプロセスに、人手をなくすことです。
自動運転が実現すれば、木を切ってから工場に運ぶまでは実現可能になりそうですね。