島と国防~五島での自衛隊誘致の取り組み紹介~

  • 2018年3月12日
  • 2018年3月12日
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国防せんば

今、日本の国防に対する圧力が高まっています。それは日本を取り巻く環境が変化しているためであり、

  • アメリカの「自国第一主義」
  • 北朝鮮の世界への挑戦
  • 中国の軍事費拡張

そういった危機に対して、

日本、国防せれよ!(by アメリカ)

という圧力が高まっているように感じます。

それに応える形で安部政権は、集団的自衛権と特定秘密保護法を急ピッチで拵えて、アメリカ様の「ご意向」に忠実に応えています。

本日は、そんな「国防」の最前線にある島々(五島市)の「自衛隊誘致活動」の経緯を簡単にご紹介します。

戦争体験者の憂い

島では20年以上に渡り、1945年に終結した戦争を体験した五島出身の方を筆頭に、国防の機運が形成されていました。

西日本新聞の記事によると、

「国境離島は、常に危険に脅かされてきた」。福江商工会議所顧問で、「五島市防衛協会」会長を約20年にわたり務めた才津為夫さん(90)は、不安は続いてきたと強調する。

※「○○防衛協会」って言うのは全国津々浦々に存在するそうですが、現在五島市の会長は、野口市長になっています(参考)。

国防のための自衛隊

少し古い産経新聞の記事によると、

才津為夫さん(87)は「抑止力を高める自衛隊の基地を離島に配置すべきだ。離島で訓練すれば十分な抑止力になる。そこに家族が来てくれれば、人口が増えて経済効果もある。一石二鳥だ」

そうした想いもあり、「国防」のための措置として、島では「自衛隊の配備」が市の方針ともなっていました。同じ産経新聞の記事によると、

五島市の中尾郁子前市長(79)は、離島の国境監視機能という安全保障の面から、国の支援の必要性を訴える。

「自衛隊を増やすのも一つの方法だし、漁師を見張り役に任命して、釣りをしながら監視させることも一つの方法。

海の好きな若者に防人の役割を職業としてやらせるのもいい。今までの日本のシステムで考えないで、現場の事情に沿った新しい策を作っていただきたい」

とあります。つまり、

国防(=安全保障)のために自衛隊が必要。

という論理だったみたいです。

その後は着々と、誘致に向けて市役所も動いているみたいです。

  • 2015年12月:地元商工会議所の才津為夫・前会頭(90)らが市人口の5分の1にあたる署名を集めて市議会に誘致を請願・署名が採択
  • 2016年6月:野口市長らは防衛省を訪れ、陸自配備を陳情
  • 2017年2月23日:島内の航空自衛隊基地などを視察に訪れた参議院外交防衛委員会の委員9人に対し、野口市太郎市長が要望書を手渡した。
  • 2018年3月8日:「国境離島を防衛する陸上自衛隊の誘致を求める要望書」を6274人分の署名を添えて野口市太郎市長に提出

安全保障<人口減少対策

もともとは安全保障のために行われていた活動ですが、「人口減少対策」を最重要政策目標に掲げる市長さん(2016年~)の見解では、少し薄まっています。毎日新聞の記事によると、

水陸機動団」が将来的に3000人規模へ拡充される予定で、五島市はその一部が配備されることを期待。

野口市長は取材に「一義的には防衛より人口減対策。歯止めをかけたい」と語り、人口増や地域経済の活性化への期待感を隠さない。

とされています。つまり、市役所の表向きなスタンスとしては、

「お国のための」自衛隊が、

「地域のための」自衛隊になってしまった感じです。

まとめ

五島市では従来、

安全保障のために自衛隊が必要

という論理(副次効果として人口対策)だったのですが、市長が変わり

人口減少対策のために自衛隊が必要

という「地域の論理」に変わってしまったように見えます。一見すると「島民受け」しそうですが、

  • 人口減少対策に本当に有効なの?
  • 別の手段を考えた方が良いのでは?

という「突っ込みどころ」も生まれてしまった感じがします。

だけどどうして立場がこうも弱いのでしょうか?

現在の五島の国へのスタンスとしては、

自衛隊なんて迷惑だから御免だ。だけどどうしても使いたいのであれば、考えてやらんでもない。

っていう「上から目線」でも良い気がします。

だけど五島では、完全に自治体の方が下手(国への陳情)になっている状態であり、国と地方の力関係を如実に表しているといえるのではないでしょうか。

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