経済指標はあてにならない
経済の状態を把握する上で大事とされている「経済指標」ですが、新聞やテレビで報じられているこれらの指標は、徐々に実質的な意味をなくしつつあります。
しかし、殆ど役に立たないのに、未だに幅を利かせている印象が強いのも事実です。
経済指標が無意味になってしまっている最大の理由は、それらの経済指標が、実質的な経済の動きを把握できていないからです。
今回はその代表例である、「GDP」と「完全失業率」を見ていきましょう。
①GDP
国内総生産(こくないそうせいさん、英:Gross Domestic Product、GDP)は、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のこと
と多くの人は学校で習いますよね。
ですが、GDPっていうのはあくまで「推計値」に過ぎません。しかもその推計には、実は大きな落とし穴があるんです。
こちらのページで詳しく紹介されていますが、
もともとGDPは、非常に限られた物的資源をある時点でどれだけ利用したか・利用できるかを測るために生み出されたものだった。
と、いう訳で、完全に工業化社会の時代に考案された統計です。そのため、
工場での生産→スーパーでの消費
みたいな割と単純な経済であれば有効でしょう。
しかしながら、現代社会はそんな単純ではありません。
工場での生産よりも、サービス分野での生産活動が大きな割合を占めるようになっています。
勿論内閣府の方でも、時代の変化に合わせてGDPの測定方法を変えているみたいです。関連記事はこちら。
しかしながら、シェアリングエコノミーに代表される新たな経済圏の拡大により、益々その測定が難しくなっていきます。
その「推計値」と「実体」乖離が大きくなっていることは、内閣府の示すレポート(デジタル時代を迎えた今も、GDPは正しく計測されているか?(仮訳))の中でも指摘されています。
新たな仲介業者や新たな形態のビジネスの登場により一般家庭間のよりインフォーマルな取引(シェアリングエコノミー)が拡大していることに伴って、これまでこれらのフローのおおまかな推計値を算出してきた従来の方式は、もはや適切ではないかもしれない。
それ以外にも、副業やビットコインで稼いでいる人たちの収入・経済活動はどうやって測定するのでしょうか?
今後は益々ボーダレスに価値があちこちに移り変わる世界ですから、国内だけで測定をすること自体、不可能であり無意味なことになっていきます。
②完全失業率(有効求人倍率)
お金の流れと同じように、人の「働き方」も変わっていきます。政府も副業を解禁する方向性で動いています。
ですので、労働市場を測定する数値として
- 完全失業者
- 有効求人倍率
- 求職者数
といった数値は殆ど意味がなくなるといってよいでしょう。
それは完全雇用時代が終焉を向かえ、時代はますます「労働細分化」の方向性に向かうからです。
現に私が住んでいるような日本の離島では、「単一労働」から生計を立てている人はほんの一握りです。ですので一番の花形職業が公務員となってしまいます。
公務員以外で、ある程度の収入を得るためには、「百姓」として生きていくのが一番現実的です。
日本の田舎は収入が少ないため、
- 隠れてダブルワークをしたり
- 生活保護を貰ったり
- フリーランスをしたり
する人が本当に数多く存在します。
結論
私たちを取り巻く経済と社会は、現在進行形で大きく変わっています。ですので、日本の社会で
「GDPが上がった!」
とか
「完全失業率が下がった!」
と言っているのは、実にナンセンスです。
株式投資をする上でも、参考にする「経済指標」がどれだけ実体の動きを把握できているかについては、ゼロベースでもう一度考え直す必要があると言えるでしょう。