キャンディーの雑踏を散策してみる
道路は舗装されているものの、バイクが多くて路肩は狭く、多くの人と犬が行き交っている。市内の中心部にあるマーケットが一番賑やかだったので、私は塀で囲われたその中に足を踏み入れてみることにした。
そこには、私が今まで見たこともない商品が、所せましと陳列されていた。
豚の皮を剥がしてそのまま吊るし上げた肉
いびつな形をした緑黄色野菜の山
博物館に展示さているような銅の秤
そうした商品の間を、人と犬とハエが目まぐるしく飛び回っている。まるでタイムスリップして、インディジョーンズの映画に来ているかのようだ。
マーケットの中心には、店のない空白地帯とゴミの集積場があり、沢山のカラスが餌を狙ってごみ捨て場の周りを漁っている。
驚いたのは、軒先で売られている商品のすぐ隣で、カラスがおこぼれを狙っていることである。衛生面の心配はないだろうか。そんな心配をよそにマーケットを後にして、仏歯寺に向かうことにした。
夕暮れ時のキャンディー
街の中心部は、大量のカラスが空を埋め尽くし、クラクションの音と合わせて騒々しさの極致である。私は仏歯寺に着くまでに、その騒音でひどく狼狽した。
仏歯寺は誰もが一度は訪れるという、街の観光スポットだったのだが、長距離の移動にも疲れていたため(酒が入っていたこともあり)、軽く回るくらいにしておこうと思っていた。
入り口に行ってみると、現地の人が入館料を徴収し、中まで案内をしてくれる。入口付近に座っている現地人は、どうやら中国人の観光客をターゲットとして、ガイドの案内をしているようだ。
観光案内に気をつけよう
私も例外ではなく、一人の現地人おっさんに声をかけられる。頼みもしないのに一方的に、あれやこれやと英語で説明を仕掛けてくる。私は今までの経験から、このままだと「ぼったくられるパターン」になると思ったので、できるだけ愛想を悪く対応をした。
「あれがスリランカの建国の祖、いわゆるファーザーです。」
「OK(興味なし)」
「このお寺が、仏陀の歯をまつった寺です。」
「OK(知ってるわ)」
が、彼もなかなか食い下がらない。根気強く説明をしてくる。私も負けられない。彼を振り切るために、歩みを早める。すると突然、
「ガイドがないと、No understandingですよ!」
と少し怒り気味に言ってきた。
「No Problem(ドヤ顔)」
なんとかおっさんを遠ざけることに成功
さらに進むと、仏歯寺の入場口が見える。が、中国人観光客が、さながらディズニーランドのように大行列を作っていた。私はその人の多さに心を折られ、ホテルに帰ることにした。
帰りはさらに市街地の騒音がやかましくてなっていて、一刻も早く部屋に帰りたい気持ちになった。知らない土地で動き回り、思いの外体力を消耗していたのである。
疲れていては寛容にもなれない
それは旅を続ける上で、重要な発見であった。