スリランカ歩こうか3 陸路にて

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バスいつ降りる?

バスは乗降者を繰り返しながら進んでいく。

 

コロンボからキャンディーの街は、およそ3時間程度かかるらしかったが、私はどこで降りれば良いのか、見当がつかない。

バスの車内アナウンスもなく、何も知らないままだと、遥か遠い地上の果てまで運ばれてしまいそうである。私は隣のおじさんに尋ねてみることにした。

「キャンディーで降りたいんだけど」

彼は英語が話せないようだったが、身振り手振りで、

「OK。キャンディー、ついたら教える」

と示してくれた。その約束を信じて一安心していると、彼は数十分ほどで立ち上がり、降りようとする。あれ?早くない?

彼は前方座席にいるお金の回収係の若者を指差して、

「あとはあいつに聞いてくれ」

といわんばかりにバスを降りた。その若者に再度キャンディーを尋ねてみると、

「ついたら教えてやるよ」

といった身振りを示してくれた。

でもいまいち信用できない

このままでは地平線まで連れて行かれてしまう。私は自分である程度目星をつけておく必要があると感じた。

よく街を観察すると、英語の標識で地名が書かれている。まあキャンディーを見つけたら降りればいいか。

山道を越えて、高低差のある曲がりくねった道をバスは進んでいく。旅の前に描いていたスリランカのイメージ(平原で動物が走り回っている)よりは、ずっと日本に近い山の景色が続いている。

2時間ほど経ち、次第にキャンディーという街の名前も目につくようになったので、私はバスを降りる準備をした。バスが乗降者のタイミングで速度を落とす際に、さっと飛び降りる。

ここでのバスは、完全停車をしていなくても平気で人が乗り降りをする。電車の扉さえも、閉まらないまま走るくらいである。

モーターバイクを捕まえよう

私はしばらく道路を歩いてから、近くにいるモータバイクの運転手に、今夜泊まるホテルの名前を示してみた。

「ああ、ここね、知っているよ。乗りな」

何とも気軽な答えだが、どことなく怪しい匂いはしたので、料金を尋ねてみる。

「オンリー100ルピー?(70円程度)」

私は相手の提示する金額がちょっと信じられなかったので、二回確かめてみる。

「イエス。100ルピー。サッサと乗りな。」

疑心暗鬼で乗り込んだものの、運転手も所々で車を止めて、道行く人たちに場所を聞いて回りはじめた。

(やっぱり知らなかったのか・・・)

バイクで街を走る

後部座席に座り、街の様子を眺めながら風に吹かれ、いかにも旅をしているという感じがした。が、次第に車の排気ガスで気分が悪くなってくる。

ここに住む人たちは、毎日のようにクラクションが鳴り響く、この空気の悪い道路を通らなければならないかと思うと、同情してしまう。

日本のように、静かで交通整備がされている道路が恋しくもなってくる。

乗り始めてから30分くらい彷徨って、ようやくバイクは目的のホテルにたどり着き、ほっと一安心である。

恒例のぼったくり

「それじゃ、2000ルピーね。」

「2000!?100っていったよな!?」

私は反論するも、彼はさも当然のように続ける。

「ごめん。100と1000を間違えたんだ。。。それにほら、ここは遠かったし、帰りの分もあるから」

・・・突っ込みどころが満載すぎて、私は言葉を失ってしまう。ただ、まあ100っていうのも元々安すぎたし、いざこざを起こすのも面倒だったので、気前よく2000ルピーを払うことにした。

彼はお金を受け取ると、今日一番の笑顔を見せて、颯爽とバイクを走らせ帰って行った

ま。これもちょっとした人助けか

私は自分にそう言い聞かせ、心的ダメージを受け流すことにした。