本日は、「中国漁船逮捕を巡る事件の報道の在り方」について解説します。
ミスリードな報道
例えば下記のタイトルの記事ですが、ミスリードです。
水産庁が「違法な中国漁船」を拿捕・船長逮捕! 根こそぎ取る「海の掃除機」なる漁法とは
水産庁・九州漁業調整事務所(水産庁漁業取締本部福岡支部)は2026年2月13日、九州西方沖の排他的経済水域(EEZ)において、違法な操業を行っていた中国籍の漁船を拿捕(だほ)したと発表しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/38e2893c845b04daec71f2ca55ed3a6aa9c95842
水産庁の発表によれば、
漁業監督官による立入検査を実施するため停船を命じましたが、同船はこれに従わず逃走しました。
このため、同船船長を排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律第18条の2、第15条の2第1項違反(質問・検査の拒否・忌避罪)の疑いで同日逮捕しました。
とされており、違法な操業をしていたかどうかについては言及されていません。違法なのはあくまで命令に従わずに逃走した行為です。
こうした日中関係の緊張状態が高まるニュースは人々の関心を集めやすく、「釣れる言葉」でミスリードされる可能性もあるので、正確な情報発信を心がけたいですね。
複雑な境界線
今回の事件は、日本のEEZ内で「違反現認」を行い、日中暫定措置水域内で「現行犯逮捕」したと発表されています。
日中暫定措置水域とは、東シナ海において日本と中国の排他的経済水域(EEZ)が重なり合う海域で、領有権問題などを背景に境界が確定できないため、暫定的に双国の漁船が自由に操業でき、相手国の規制を受けない特別水域です。
この暫定水域内では、日中漁業協定において、「各締約国は、当該水域において漁獲を行う他方の締約国の国民及び漁船に対し、取締りその他の措置をとらない。」とされています。
日中漁業協定 第七条
3 各締約国は、暫定措置水域において漁獲を行う自国の国民及び漁船に対し、取締りその他の必要な措置をとる。各締約国は、当該水域において漁獲を行う他方の締約国の国民及び漁船に対し、取締りその他の措置をとらない。
犯行現場と逮捕現場が異なるという事で、水産庁から見れば上記の対象にはならない、と捉える事が出来そうです。
操業をしていた中国船からすると、捕まらないように(或いはすぐに逃げれるように)あえて境界線のすれすれで漁業活動をしていたのだと考えられます。
逮捕を受けて中国の反応は?
日本側では、中国政府に対する厳重な抗議をするとともに、周辺海域の監視体制を強化する事が予想されます。
一方の中国側としては、
- 穏便ケース:素直に船舶の非を認めて謝罪する
- 強行ケース:「暫定措置水域」のルールや現行犯逮捕した事を盾に日本に言いがかりをつけてくる
どちらかになると考えられますが、昨今の状況を踏まえると強行ケースに走る可能性の方が高い気がします。
いずれにせよ、正確な情報発信をするとともに、国際法や該当するルールについても調べていきたいと思います。

