【2025年12月/長崎県議会AI議事録】山田朋子議員

長崎県議会では、議事録が閲覧可能になるまでに、時間がかかります。

そこで、議事メモを残しています。

※内容は音声録画→AI要約をしていますので、必ずしも正確でない箇所もあります。

使用AI LotebookLM

日時 2025年12月2日 14:30~

1.知事の政治姿勢について

山田議員:

知事の政治資金については、昨年6月の県政一般質問以降、脱法的な迂回献金疑惑や2022年知事選挙に絡む2000万円の架空化け疑惑など、次々と疑惑が浮上しました。具体的な経緯が明確に示されないまま現在に至っています。議会は知事に自らの言葉で真実の説明を求め、知事も3度ほど臨時会見を開きましたが、未だ経緯は語られていません。所属会派を含む3会派は事実に基づく真相究明に向けた委員会設置を3回求めましたが、自民党の反対多数で設置には至っていません。来年1月下旬に知事選挙が実施されます。知事には任期中、選挙前までに事実に基づく説明責任を果たすよう求めます。この問題に時間が割かれたことは、県民のためになる政策や提案を行うべき憲政にとって損失であり、残念に思っています。知事の見解をお聞かせください。

知事:

私自身、事実関係の整理を行いながら、できる限りの説明を様々な場面で尽くしてきました。十分な理解が得られていないとの指摘はいただいていますが、これまでの説明では主張が交わらず、皆さんの納得いくところまで理解が達していない状況だったかと思います。そうした中で、捜査当局の判断に委ねることになりました。捜査が十分に行われ、適正な判断がされることを望んでいます。前回の定例会閉会にあたり、議長から県民に説明を行うよう意見をいただいたことを重く受け止め、先々月、説明の機会を設けました。動画を公開するなど、理解を得ようと努力しています。今後も真摯に対応していきたいと思いますが、現時点で状況の変化がない中、改めて会を開く予定はありません。この一連の課題で県民の皆様、関係者の皆様に多大な迷惑をかけたことを反省しており、引き続き反省の気持ちを持ちながら、適正な資金管理に努めていきたいと考えております。

2.県民のいのちを守る取り組みについて

(1)ヘリによる救急搬送について

山田議員(ドクターヘリの運行状況):

ドクターヘリは救命率向上や後遺症軽減を図る上で非常に大切な救急搬送手段ですが、出動要請が重複して対応できない場合があると認識しています。直近の令和6年度において、ドクターヘリが出動中で対応できなかった件数と、その場合の対応について伺います。

副県部長:

令和6年度におけるドクターヘリの要請件数は966件で、そのうち出動中で対応できなかった件数は155件です。対応できなかった要請については、佐賀県のドクターヘリの応援や県防災ヘリの運用で対応しました。それも困難な場合には、自衛隊や海上保安庁への災害派遣要請等により救急搬送を行いました。

山田議員(2期目のドクターヘリの運行):

ドクターヘリが対応できなかった件数155件を解消するため、今年度、長崎県病院企業団が運用する医師搬送用ヘリコプター「リムキャス」をドクターヘリの2期目として運用する予定でしたが、導入が遅れていると聞いています。導入が遅れている原因、対応、今後の見込みについて尋ねます。

副県部長:

ドクターヘリの2期目については、ヘリに搭載する医療機器の調達など、本年秋頃の導入に向けて準備を進めてきました。しかし、運行業者において整備士の不足が生じたことから、年内の導入が困難な状況となっています。県としては、運行者に対し、整備士の確保など、ヘリの安定した運行体制の確保に努めるよう要請し、早期の運行開始を目指してまいりたいと考えています。

山田議員(夜間における離島からの救急搬送):

夜間における離島からの救急搬送については、自衛隊などが対応していますが、医療機関が要請してからヘリが出動するまでに1時間以上かかるため、県ドクターヘリや防災ヘリで夜間も対応できれば、といった住民の声が寄せられています。夜間対応はドクターヘリでは全国でも事例がないのに対し、防災ヘリは5団体で実施されていると聞きます。本県の防災ヘリで他と同様に夜間対応を行うための課題を尋ねます。

危機管理部長:

夜間における離島からの救急搬送で24時間対応するためには、隊員を始め、操縦士や整備士の大幅な増員が必要であり、予算の大幅増額、各消防本部の協力に加え、運行業者を受け持つ事業者の確保が必要となります。ヘリの操縦や整備は機種ごとに免許が異なり、取得には約2ヶ月間の訓練と約3000万円の費用が必要となるなどハードルが高く、人材不足は全国的な課題です。離島からの救急搬送は夜間でも有視界飛行で行うため、操縦士の訓練と熟練が必要であり、運行事業者には課題となっています。こうした状況の中、24時間対応を新たに行うことは難しく、全国でも2002年を最後に新たに開始した団体はありません。他団体での防災ヘリ24時間対応は、全てドクターヘリ導入前または同時期に開始されたものです。本県では、自衛隊出動までの時間短縮に向け、医療機関と連携して事務の見直しや訓練等を行うとともに、防災ヘリについて、勤務時間内に要請があった場合には日没後も対応できるよう、現行での飛行の検討を進めており、引き続き関係機関と連携しながら安全安心の確保に取り組んでまいります。

(2)基地対策について

山田議員(基地対策にかかる成果):

佐世保市には海上自衛隊、陸上自衛隊、米軍の基地が集中しており、市民生活への影響や佐世保港の住み分けの早期実現など長年の懸案事項が多く、基地対策は重要課題です。県では、基地と地域との共存共栄を図るため、令和5年度に基地対策国民保護課を新たに設置し、取り組みを強化しました。設置後の基地対策にかかる成果について尋ねます。

危機管理部長:

基地対策は重要課題と位置づけ、地元自治体と連携しながら基地と地域の共存に取り組んでいます。佐世保港の住み分け等の基地問題については、国や米軍が大きく関わるため、国に対し政府施策要望や九州知事会での要望など、あらゆる機会を通じて強く要望を行ってきました。その結果、今年度8月には前畑弾薬庫の移転返還にかかる移設先の配置案が日米間で合意され、今後の事業の進め方が示されました。また、陸上自衛隊廃棄車両駐車場の複動式への着手や、大村市の特定防衛施設関連市町村への指定が実現しています。昨年度は「基地と地域との共存共栄推進事業費補助金」を創設し、佐世保の基地を活かした経済活性化策を検討する事業に適用しました。現在、佐世保市において施策の方向性を示す「基地経済ビジョン」を策定中であり、今後も市と連携しながら地域経済の活性化など、基地を活かした街づくりの推進に取り組んでまいります。

山田議員(前畑弾薬庫移転返還事業):

前畑弾薬庫の移転返還事業で移設先の配置案が決定されたことは大きな前進ですが、移設先地域では苦渋の決断で弾薬を受け入れるため、20年にも及ぶ工事の長期化は住民にとって大きな負担であり、不安の声が寄せられています。また、市に対して地域振興の要望が上がっていると聞いています。事業の円滑な実施のためには、地元の不安や思いに対応することが重要です。今後、確実な安全確保と移設先の地域振興に取り組んでいくべきと思いますが、県の考えを伺います。

危機管理部長:

前畑弾薬庫移転返還事業にかかる工事は、今後、工事用道路の建設、埠頭の整備、悪の浦湾の埋め立て、火薬庫の整備などが予定されており、完了までは少なくとも20年程度を要すると聞いています。工事が長期に渡ることから、地元の不安等を踏まえ、県としても工事の安全確保は非常に重要であると考えております。これまでも国に対し、基地関係の大規模工事を行う際には住民の生活環境に配慮するよう求めてきました。今回の工事についても同様にしっかりと求めてまいります。また、地元の振興策については、市の考えを確認した上で、県として必要な連携を図ってまいりたいと考えております。

(3)原子力防災訓練について

山田議員(実行性のある訓練):

佐世保では年に1回、原子力防災訓練として住民避難訓練を行っています。訓練は重要ですが、毎年の内容では参加者の緊張感が薄れ形骸化してしまうのではないかと懸念しています。近年、能登半島地震などの大規模災害が発生し、避難路の寸断など、想定していなかった事態も生じています。こうした状況に対応し、訓練の実行性を高めるためには、内容の見直しや新たな工夫が不可欠です。県が原子力防災訓練の実行性を高めるためにどのように対応しているのか伺います。

危機管理部長:

原子力防災訓練について、県ではより効果的な訓練となるよう、訓練終了後には必ず訓練参加機関と検証を行い、見直しを行っています。具体的には、対策本部の初動訓練で訓練内容を一部ブラインド化して実施したり、孤立した住民避難訓練の実施、待機時検査に男女別スクリーニングレーン設置などの見直しを行っています。また、能登地震での課題を踏まえ、避難経路の寸断を想定し、新たに設置した第2経路を使った避難訓練や、加唐島・離島で船舶を使用した避難訓練を実施するなど、見直しを行っています。引き続き、訓練の実行性を高めるため、関係4市や関係機関と連携して訓練の検証・見直しを行ってまいります。

山田議員(地域住民の声の反映):

原子力防災訓練について、住民から訓練日程が地域行事と重ならないように配慮してほしい、避難の際の集合場所を自宅から近い場所にしてほしい、といった声が寄せられています。原子力防災訓練は住民の協力により成り立っており、住民の声に耳を傾け丁寧に対応することが、新たな気づきや住民の参加率向上につながると考えます。地域住民の声を反映させていくためにどのように対応しているのか伺います。

危機管理部長:

原子力防災訓練を行う上で、地域住民の皆様のご理解とご協力は欠かせないものと考えております。訓練の日程や集合場所等については、関係4市において可能な限り参加する自治会等の要望を踏まえながら調整を行っています。県では訓練終了後にアンケート調査を実施するほか、関係4市と共同で安全連絡会を開催し、地域住民の代表者と意見交換を行っています。いただいた意見については、例えば屋内退避が原則であることが十分浸透していないとの意見を踏まえ、周知対策を強化し、屋内退避を訓練項目に追加しました。また、広報紙を活用して訓練参加を呼びかけたり、訓練中にはエリアメールを使って緊急通報を各携帯電話に発信するなど、様々な見直しにつなげています。引き続き地域住民の皆様の意見を聞き、適切に対応しながら実行性のある訓練となるよう取り組んでまいります。

3.県北振興策について

(1)県北振興策の全体像について

山田議員:

県北振興については、これまでのIRの取り組みを活かすため、昨年度から関係市町や関係団体と協議を重ねながら検討されてきました。次期総合計画を策定する中で、県北地域においても民間の方々との意見交換会などを行い、地域別の取り組みに県北振興策が取りまとめられています。IRの取り組みを活かした県北振興策が総合計画に盛り込まれたことは、将来の県北の発展を考える上で大変意味深く、地域経済の活性化が実現できるよう継続的に取り組んでいただきたい。まず、総合計画における地域別の取り組みに盛り込まれた県北振興策の全体像について尋ねます。

企画部長:

九州長崎IRの取り組み等を活かした県北地域の振興策については、関係市町や民間事業者と連携しながら、交流人口の拡大や産業振興、雇用創出等を図り、地域経済の活性化を目指してまいりたいと考えています。具体的には、観光振興ではハウステンボスと地元自治体の連携協定を契機とした広域的な観光周遊に向けた取り組みへの支援や、西海橋公園の再整備などに取り組みます。産業振興では、過去最高の売上高を目指し、防衛関連の新たな需要獲得などにより造船関連産業のサプライチェーンの強靭化を図るほか、アンカー企業の誘致に向けて民間事業者や地元自治体と連携した大型工業団地の整備等を推進してまいります。加えて、来年度の継続開催が決定したツール・ド・九州などのスポーツイベントや、県立宇久高等学校における来年度からの離島留学制度の導入等の地域振興策にも取り組み、佐世保を始めとする県北地域の振興を通じて県全体の発展につなげてまいりたいと考えております。

(2)ツール・ド・九州2025について

山田議員(大会の成果):

県初開催となったツール・ド・九州2025は10月10日、佐世保駅前の佐世保五番街周辺を会場にクリテリウム形式の周回レースが行われました。大会当日は平日にも関わらず多くの観客が訪れ、大変な盛り上がりでした。会場ではレースだけでなく関連イベントや県内各地のPRブースも設置され、本県の地域活性化に資する非常に良い取り組みであったと感じています。大会の集客なども含めた今回の成果について、県としてどのように評価しているのか伺います。

文化国際部長:

ツール・ド・九州2025佐世保クリテリウムの開催は、イベント会場や沿道に多くの方々にご来場いただき、来場者数は目標の12,000人を上回る13,500人に達しました。翌日も継続して開催した関連イベントを含めると、約17,500人の来場者がありました。大会の経済波及効果については、大会実行委員会において年度内を目途に発表される予定ですが、県外からの来場者や選手、関係者による宿泊、飲食、交通など、地域経済に大きな効果があったものと考えております。また、観光物産ブースの設置やSNSでの情報発信などに伴う本県の認知度向上に加え、県民の関心を高める契機にもなったと考えております。

山田議員(今後の取り組み):

先日、来年2026大会の開催が発表され、今年と同様に佐世保においてクリテリウム形式のレースを実施することが発表されたことを大変喜ばしく思っています。今年度の経験を活かして、来年度の佐世保クリテリウムにどのようにつなげていくのか。また、クリテリウムはロードレース大会の本レースだと聞いていますが、再来年度に向けてはどのような展望を持っているのか伺います。単発のイベントに終わらせることなく持続可能な取り組みとして県北地域の活性化につながるように取り組んでいただきたい。

文化観光国際部長:

来年度の佐世保クリテリウム開催に向けましては、2025大会で得られたノウハウや課題等を踏まえ、必要に応じてコース設定の見直しや内容の充実、広報の強化などに取り組み、魅力的で集客力の高い大会を目指してまいります。再来年度の開催に向けては、レース形式を含め九州事務局とも連携を図りながら検討を行ってまいります。

(3)県立宇久高校における離島留学制度の導入について

山田議員:

宇久島は佐世保市合併後約15年で人口が4割以上減少し、高齢化が進行しています。地元住民が一体となって「宇久島未来まちづくりプラン」を策定しており、持続可能な島の街づくりを目指しています。このような状況の中、県立宇久高等学校に新たに離島留学制度が導入されることは大変意義深い。今回の離島留学制度の具体的な取り組み内容や、他の離島にない特徴などについて尋ねます。

教育政策官:

宇久高校では令和8年度から「サイエンスパーク」と銘打ち、自然科学分野に特化した、本県の県立高校では前例のない新しい学びの場を提供したいと考えております。具体的には、地元佐世保の九十九島水族館海きららと連携した海洋生物に関するフィールドワーク、京都の計測機メーカーと連携した海水などの調査分析、さらにシリコンバレーの企業による光通信技術や宇宙に関する授業など、国内外の関係機関と連携した専門的で高度な学びを提供いたします。九州大学工学研究院や長崎大学水産学部の教員による海洋保全等に関する出前事業も実施し、最先端の知見に触れる機会を提供してまいります。生物学、化学、物理学など幅広い分野を学べる学校独自の科目を設定し、自然科学分野で活躍できる人材の育成を目指してまいります。

4.県民の安心安全を守る取り組みについて

(1)発達障害児支援体制について

山田議員(県の発達障害児の現状と課題):

県内の発達障害やその疑いのある児童は、社会的認知の向上や乳幼児健診の充実など複合的な要因により増加傾向にあると認識しています。現在、どれくらいの子供が医療機関を受診しているのか。また、どのような問題・課題があり、その解決のためにどのように取り組んでいるのか伺います。

副県部長:

発達障害に関する受診者数は年々増加しており、3つの中核医療機関(子供医療福祉センター、長崎市障害福祉センター、佐世保子供発達センター)の受診者数の合計は、令和6年度で約33,000人となっており、10年前の約22,000人と比較して約1.5倍に増加しています。この状況から、発達障害診療の初診までの待機期間は、約5ヶ月間と長期化しています。昨年度から新たな医師が確保されており、待機期間は全体として短縮傾向にあります。県では今年度、「発達障害児地域診療体制強化事業」として、約80名の地域の小児科医に対し研修を実施し、発達障害児の診療を地域レベルで担っていただける小児科医の養成に取り組んでいます。今後は、3つの中核機関と研修により養成した小児科医が連携し、早期診療や早期療育がより円滑に行われるよう整備に取り組んでまいります。

山田議員(発達支援に携わる人材の育成確保):

課題を踏まえ、地域の小児科医を対象とした研修を実施し、医師の育成確保に取り組んでいることは評価しますが、療育のためには医師だけでなく、療法士の役割も重要であり、療法士の育成確保にも積極的に取り組んでいただきたい。県内には4つの療法士を養成する学校があることから、これらの学校と連携することが人材の育成確保につながるのではないかと考えますが、県としてどのように取り組むのか尋ねます。

副県部長:

発達障害児の療育には、医師以外にも作業療法士や言語聴覚士などの療法士も重要な役割を担っており、県はその育成確保に努める必要があると考えています。子供医療福祉センターでは、医療機関や障害福祉サービス事業所の療法士を対象に、技術向上を支援するための研修会を開催しています。今後は引き続き、地域の医療機関等における人材の専門性を高めるための支援に取り組むとともに、療法士養成学校と連携し、発達障害児支援の分野で働く魅力を学生へ発信するなど、人材育成確保に努めてまいります。

山田議員(子供医療福祉センターにおける地域の療育支援):

県の子供の医療や療育の拠点施設である県立子供医療福祉センターにおいて、現在、小児科医の欠員が生じていると聞いています。同センターから各地域に小児科医を派遣し、県内各地の療育に取り組んでいただいておりますが、このような状況で、各地に出向いている療育に支障がないのか、影響がないのかお尋ねします。

副県部長:

子供医療福祉センターでは、地域の発達障害児の医療を確保するため、小児科医を地域の医療機関へ派遣しています。今年度は退職などにより小児科医3名が欠員となっていますが、県全体のバランスを踏まえ、派遣内容を調整し、県北や離島など特に医療が限られた地域の機関へ派遣することで地域支援を継続しています。現在、診療体制上の問題は生じていないものと認識しております。引き続き、長崎大学病院と連携し、子供医療福祉センターの小児科医の確保を図り、地域支援に努めるとともに、地域の小児科医の人材育成を進めることで、発達障害児の診療体制を整備してまいります。

山田議員(療育体制の把握分析):

地域で格差なく発達障害児の支援の充実を図るためには、療育に携わる人材や小児リハビリテーションを受け入れる医療機関などの療育資源について、地域別に把握分析し、療育体制の整備を進めることが重要と考えます。どのように把握分析を行い、療育体制を整備していくのかお尋ねします。

副県部長:

発達障害のある児童とそのご家族が、住み慣れた地域で格差なく療育を進められる環境を整備していくことが重要であり、地域ごとの療育体制を把握分析し、それぞれの地域に応じた支援を行うことが必要であると考えております。県では、子供医療福祉センターにおいて、県内の医療機関等を対象に、療法士の配置や小児リハビリテーションの受け入れ状況の調査を行い、地域の療育体制の把握を行っています。療育体制が不足している地域では、子供医療福祉センターと保健所が連携し、医療機関へ働きかけなども行っており、今年度は島原半島の2つの医療機関において小児言語訓練の新規受け入れが開始されました。今後とも、各地域で必要な療育が受けられるよう、長崎県言語聴覚士会などの関係団体と連携し、地域の療育体制の整備に努めてまいります。

(2)介護職員を取り巻く状況について

山田議員(居宅介護支援事業所の状況):

各産業分野で賃上げが進む中、介護職員の処遇改善は喫緊の課題です。特に近年は、利用者の要望を聞きつつサービスを調整するケアマネージャーの人材確保が難しくなっていると聞いています。訪問介護事業所では全国的に閉鎖や休業に追い込まれているニュースも見聞きします。ケアマネージャーが勤務する居宅介護支援事業所の状況について聞かせてください。

副県部長:

本県において介護報酬を請求している居宅介護支援事業所は、令和6年度末時点で440箇所であり、令和2年度から5年間の間に35箇所減少し、減少率は7.4%となっています。要介護者10万人あたりの事業所で比較すると、全国平均とほぼ同水準となっております。

山田議員(ケアマネージャー不足への対策):

ケアマネージャーの役割は介護保険制度の中核的存在だと思いますが、全国的にもケアマネージャーは減少傾向であり、国においても処遇改善について検討が行われているところです。県としてどのように取り組んでいくのか伺います。

副県部長:

一人暮らし高齢者や認知症の方の増加など、地域の課題が多様化している中、ケアマネージャーを確保し、質の高いケアプランを提供していくためには、ケアマネージャーが働きやすい環境作りに取り組む必要があります。このため、県では、ケアマネージャーが紙でやり取りしているケアプランをデータで共有できるシステムの早期導入を支援しており、11月には東彼杵町が国のモデル市町に選ばれました。また、ケアマネージャーは利用者にとって身近な存在として、家事支援や財産管理など本来業務以外の様々な依頼を受けることが多いため、こうしたシャドーワークについて、関係団体と協力しながら地域の受け皿づくりを進めていきたいと考えております。

(3)骨粗しょう症対策について

山田議員(現状と取り組み):

本県の高齢化率は全国平均を上回っており、加齢による疾病・介護の予防が重要です。長期入院や寝たきりの主な要因となっている高齢者の骨折予防は、県民生活に直結する課題です。特に骨粗鬆症については患者数が約140万人と推定され増加傾向にあり、本県においても健康寿命の延伸や医療費抑制の観点から積極的な取り組みが必要です。本県の現状とその取り組みについて伺います。

副県部長:

令和2年度に県が実施した医療費分析において、医療費に占める疾患別医療費の割合を比較したところ、全国では骨折が7番目に多いのに対し、本県では3番目に多いことが分かりました。また、骨粗鬆症検診で要精密検査となる割合が全国の16.3%に対し、本県では26.6%と高く、潜在的な骨粗鬆症患者が多いと想定されたことから、令和3年度から骨粗鬆症対策を開始いたしました。その取り組みとして、医師、歯科医師、理学療法士と多職種で構成された会議体を設置するとともに、ライフステージに応じた啓発資材の作成や、市町が実施する運動指導、栄養指導、要精密検査者への受診勧奨等の支援を関係者で連携して行ってまいりました。これらの取り組みは全国的に見ても比較的早期に開始したものであり、今後はより多くの県民に骨粗鬆症への理解が深まるような取り組みにも注力してまいります。

山田議員(検診受診率向上に向けた取り組み):

骨折予防のためには、検診などを通して県民の皆様に自身の骨の健康状態を知っていただくことが重要と考えております。本県における骨粗鬆症検診の受診率向上に向けた取り組みについてお尋ねします。

副県部長:

骨折の予防にあたっては、検診での骨粗鬆症の早期発見・早期治療が重要であると認識しております。県では、市町職員や医療従事者向けの研修会を開催し、骨粗鬆症検診の意義等について周知を図るとともに、骨密度測定が可能な医療機関リストを作成するなど、市町の検診支援に取り組んでまいりました。現在、県内18の市町が検診を実施しておりますが、未実施の3市町についても実施に向けて前向きに検討いただいているところです。一方で、令和5年度の本県の検診受診率は4.6%とまだ低い状況であり、国が示す目標値15%に向けて取り組んでまいります。受診率向上のためには、検診対象者が受診しやすい環境を整える必要があると考えており、女性のがん検診や特定健診との同時実施、検診会場への託児所の設置など工夫をしている市町もあることから、県としては、このような好事例を市町と共有し、受診率の向上につなげてまいります。

5.こどもの安心安全を守る取り組みについて

(1)これまでのこどもの権利擁護にかかる取り組みについて

山田議員:

社会的養護下で生活する子供たちの権利を尊重し、意見を聞く「意見表明等支援」(子供アドボケート)の取り組みは、子供が安心して声を上げることができる仕組みとして重要です。県は令和5年度から本格的にアドボケートの取り組みを開始し今年で3年目になりますが、現状では年間数所の児童養護施設にしか訪問ができていないと伺っており、子供の意見表明に対する支援が十分行き届いているとは言えないと危惧しています。これまでのアドボケートによる訪問施設の実績について尋ねます。

子供政策局長:

県では、児童養護施設で生活する子供たちが自らの意見や思いを安心して表明し尊重される環境を整備することを目的に、令和5年度からアドボケートによる支援を本格的に実施しております。現在、県で養成し登録しているアドボケートは10名です。支援の内容は、県と計画調整の上、児童養護施設を訪問し、子供からの意見聴取を行うものです。施設訪問の実績については、令和5年度は12月から施設訪問を開始し、3施設を対象に計4回訪問、令和6年度は2施設を対象に計4回訪問いたしました。令和7年度におきましては4施設を対象に計8回の訪問を計画しており、現時点でに2回の訪問を終えているところでございます。

(2)こどもの権利擁護にかかる今後の方針について

山田議員:

県内児童養護施設は11箇所ありますが、年に3〜4箇所への訪問というのは少なすぎます。少なくとも県内11箇所の全ての児童養護施設を年に1回訪問し、子供一人ひとりが意見を表明できる機会を持てるよう活動の充実を図るべきと考えます。今後、県としてアドボケートの活動をどういった方針でどのように充実させていくのか伺います。県内でのアドボケートの養成状況は10人であり、九州各地の中では見劣りがすると言われているようです。子供のために意識を持って取り組もうという方がいる限り、研修機会を与え、しっかり対応いただきたいと思います。

子供政策局長:

これまでのアドボケートによる支援は、子供たちが自らの意見や思いを表明できることを自覚する良い機会になっています。一方で、ご指摘の通り、現在の事業の仕組みでは訪問できる対象施設等が限られており、支援を十分に行き届かせるためには、体制面も含め仕組み自体を見直す必要性を認識しています。また、施設職員の資質向上や子供たちの意識の醸成、意見箱の有効活用など、多様な意見表明の環境整備には多くの課題があると考えております。そのため、アドボケートを含む子供の権利擁護のための支援のあり方について、取り組みの効果検証も行いながら、多角的な視点で再構築する必要があると考えており、今年度中に有識者や関係者から意見を伺い、県にふさわしい支援のあり方を検討する中で、仕組みの見直しにもしっかり取り組んでまいります。

6.松浦鉄道について

(1)効率的で利便性が上がる取り組みについて

山田議員:

県北のバス路線が運転士不足で減っていく中、松浦鉄道は地域の移動手段として維持していくことが重要です。当面、松浦鉄道のあり方について方向性が出されましたが、松浦鉄道を将来に残していくために、効率的で利便性が上がる見直しに一早く着手すべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。

地域進行部長:

松浦鉄道の今後のあり方につきましては、令和3年より沿線市町と共に検討を行ってきました。利用者の少ない伊万里~御厨間のバス転換の実現可能性や、国の制度を活用した新たな支援制度の必要性について検討を進めた結果、本年8月の松浦鉄道自治体連絡協議会総会において、バス運転手が不足していることや運賃改定により松浦鉄道の収益が改善傾向にあることなどを踏まえ、当面の間、現状の路線を維持し、現在の施設整備補助のスキームを継続していくことが承認されました。県としても、通勤や通学等に利用される松浦鉄道の重要性は十分認識しており、引き続き毎年の経営状況を注視・分析しながら、さらなる経営の改善策等については、事業者や沿線市町と協力して検討してまいりたいと考えております。

(2)経営支援について

山田議員:

松浦鉄道は、利用者減少や燃料費・人件費の高騰などにより厳しい経営環境にあり、自治体の支援がないと維持存続ができない状況にあります。9月24日の佐世保市議会の交通体系整備特別委員会において、松浦鉄道の修繕費の自己負担額(約1億8000万円)が経営に影響を与える恐れがあるため、自己負担分を県が負担すべきとの意見がありました。私は、現状の路線維持継続には、長崎・佐賀両県だけでなく沿線自治体にも財政負担をいただきながら支援をすべきと考えます。現在、松浦鉄道の自己負担となっている修繕費について、県で負担する考えがないのか伺います。

地域進行部長:

県は、松浦鉄道に対し、国、佐賀県、沿線自治体と連携し、鉄道施設の更新支援を行っています。この支援の対象とならない修繕については、松浦鉄道が自己負担をしております。仮に修繕費について支援が必要な場合、地域鉄道の維持のためには、地域全体で支えるという地元の姿勢が重要であるため、一義的には沿線市町が支援するものと考えております。松浦鉄道については、松浦鉄道自治体連絡協議会において今後の経営状況を注視・分析した上で、新たな支援の必要性等について検討していくこととされていますので、修繕費にかかる支援についても必要があればその中で検討していくものと考えております。

7.学校施設のLED化について

(1)現在のLED化の状況について

山田議員:

平成29年に水銀に関する水俣条約が発行し、水銀灯は製造が禁止され、一般照明用の蛍光灯についても令和9年までに段階的に製造・輸出入が禁止されることが決定しています。学校施設においてもLED照明への取り替えが必要であると思いますが、県内におけるLED化の進捗状況について尋ねます。

教育長:

県立学校では、水銀灯を使用している体育館や運動場の夜間照明、蛍光灯を使用している校舎に分けてLED化を進めています。今年度末の進捗見込みは、体育館が100%、運動場の夜間照明が8.7%、校舎が26.9%となっております。市町村立の小中学校につきましては、各市町村において老朽化対策や修繕工事の際にLED照明に交換しており、現在の進捗率は校舎が24%、体育館が53.5%となっております。

(2)県立学校の今後の取り組みについて

山田議員:

県立学校の体育館は今年度末に100%になる予定ですが、校舎と運動場の夜間のLED化については計画的な更新が必要だと考えます。更新にかかる費用をどれくらい見込んでいるのか、どのように進めていくのか伺います。

教育長:

今後の工事費用につきましては、校舎が約35億円、運動所の夜間照明が約9億円を見込んでおり、多額の経費を要することとなっております。このため、授業等で使用頻度が高い施設を優先し、国の温暖化対策計画で目標としている令和12年に向けて順次更新を進めております。学校では教育活動に支障が出ないよう、長期休業期間などを活用して工事を実施しており、工期の確保に厳しい面もありますが、できるだけ早期のLED化に取り組んでまいります。

8.ポケモンGOワイルドエリアについて

(1)経済効果について

山田議員:

11月7日から9日までの3日間、長崎市において「ポケモンGOワイルドエリア」が開催され、メイン会場となった水辺の森公園や市内中心部には国内外から多くの方が訪れ賑わっていました。長崎市内のホテルもほぼ満室だったと聞いています。宿泊だけでなく、地域での飲食や買い物などもされており、地域経済の活性化につながっただけでなく、長崎県の魅力をしていただく機会となり、非常に良い取り組みだったと感じています。今回のイベントで県内にどの程度の経済効果があったのかお尋ねします。

秘書広報戦略部長:

経済効果の具体的な数値等の詳細については、主催者である株式会社ナイアンティックから今後発表される予定ですが、発表までには時間がかかると伺っております。今回のイベントでは3日間で国内から約42万人が参加されました。昨年度、横須賀市で開催された同様のイベントでは、2日間で約40万人、経済効果は約42億円でしたので、昨年度を上回る経済効果があったのではないかと期待しているところです。またSNSでは、長崎市内だけでなく、佐世保を始め周辺の市町への宿泊や、「ポケ蓋」を巡るなど、各地域での食や観光を楽しんでいただいた投稿が多く、長崎市だけでなく周辺の市町にも経済効果が波及したものと考えております。

(2)今後の取り組みについて

山田議員:

佐世保においても、国内外から多くの方が訪れるこのようなイベントを開催してほしいと考えます。開催地だけでなく離島なども含め、県内を周遊できる形での開催を検討いただきたい。長崎市で開催されたばかりで、すぐに開催することは難しいことは理解していますが、地域振興策になるだけでなく、佐世保の魅力をPRする機会となり、地域の人たちの誇りの醸成にもつながっていくものと思います。「ポケモンGOワイルドエリア」の佐世保への誘致についての見解をお願いします。

秘書広報戦略部長:

ポケモンGOワイルドエリアの開催につきましては、会場の広さや公共交通機関の状況、宿泊の収容数、通信環境、開催自治体からのサポートなど、様々な要素を考慮して決定されると伺っております。全国の多くの自治体が開催を働きかけている中ではありますが、県としてはぜひ本県で開催したいと考えています。本県は株式会社ポケモンと連携協定を締結しており、随時相談できる体制も整っておりますので、今後とも、ワイルドエリア、さらにはワイルドエリア以外のイベントの開催も含め、佐世保市を始め県内各市町とも連携を図りながら、株式会社ポケモンと協議してまいりたいと考えております。