「本当のこと」を伝えない日本の新聞

  • 2017年5月21日
  • 2017年5月21日
  • 書評

会社員までの時代

大学時代に就職活動をし始めた頃からだろうか、

「新聞くらいは日常的に読まないとね」

というような周り(キャリアセンターだとか先輩だとか)の空気感があった。

家では朝日新聞を取っていたので暇なときは読んでいたのだが、あまりその記事自体に「疑い」のようなものを持つことはなかった。

朝日が左で読売が右

なんてよく言われるような社風の違いも分からないまま、その新聞記事に目を通し、

「そんなことがあったんだなあ」

などと深く考えずに思っていた。

日本経済新聞=バイブル

会社員になってからは、「日経新聞」をバイブルのように読むことを推奨された。

サラリーマンが「日経新聞」を読まないことは、まるでキリスト教徒が聖書を持っていないような感じだった。

なぜか会社では「日経新聞の読み方講座」みたいなイベントさえ開かれていて、何はともあれ経済のニュースを仕入れることが社会人としての基本スタンスであるように教えられた。

会社の寮生活では「日経新聞」が紙媒体で配布され、朝早くから同期の人たちは、熱心にその紙面と睨めっこをしていたものだ。

私も社会人3年目くらいまでは、日経新聞の電子版会員として、その教えを遵守してきたのだが、次第に飽きてきてしまった。

なぜなら、大体どの日付の記事を読んでも、本質的に書いてあることは一緒であったからである。

  • A会社がBに事業拡大しました。
  • C会社の売り上げがD%上がりました。
  • E会社がFという発表をしました。

そうした「企業広報掲示板」が紙面の半分以上を占めていて、社説の文章もどこか皆「他人行儀」な言説がほとんどだ。

変わっているのは会社名と数字の部分のみで、言っていることはいつも一緒。

そのため、3年目以降は電子版会員をやめて、新聞から距離を置く形となった。

聖書を手放し、そこから徐々に会社を辞める流れにシフトしていった感じである。

記者クラブの存在

この本を読んで、改めて日本の新聞と言うものが、いかに可笑しな情報媒体であるかということがわかった気がした。

記者クラブとは要するに、情報を独り占めするために設けられた仲良しクラブのようなものであり、外国人記者はその権益から遠ざけられる構造となっている。

記者クラブという組織は、日本以外の国でジャーナリストとして活動をする人からすると、非常に滑稽に見えるらしい。

そして筆者が言っているのは、日本のジャーナリストと政界・財界との癒着とも言える「距離の近さ」である。

ジャーナリストと政界の距離感

筆者の主張を私なりにまとめると、こういうことだろうと思う。

新卒一括採用で入社した大手新聞の社員は、真相を追究するジャーナリストではなくて、権力に追随するサラリーマンである。

そこには既得権益層に対する踏み込み・批判・検証が圧倒的に足りない、と筆者は指摘している。

要するに、大企業や政府が発表した情報をそのまま「コピーアンドペースト」して発表しているだけに過ぎないのだと。

それではまるで戦時中の大本営発表と何が違うのだろうか?

そういった問題提起を、日本での取材経験に基づき紹介していく。

その端的な事例が東日本大震災の対応をめぐる情報の遅さ、不正確さに如実に現れている、と筆者は指摘している。

既存メディアから距離を置いて

そう言えば、まさしく私が入社した年は、東日本大震災が起きた次の年であった。しかし私は、

「日本の新聞は米国と比べると、圧倒的に真相に迫る気概が欠けている」

という事実については、全く無頓着だった。

「新聞ってこんなものか。なんだかつまらないな。」

それは私が、世の中の動きに関して、日経新聞以外に情報のリソースを求めていなかったせいもあるあだろう。

会社を辞めて自由な立場になってからは、「大本営発表」ではなく、「本質的なツッコミ」をしている情報媒体と付き合っていく必要性があると感じられた。

少なくともテレビに未来はなさそうな気がしている。

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