鉄が地球温暖化を防ぐ
前回(武雄氏市長の本)の凄腕社長に貸して貰った書籍の2冊目。
鉄が地球温暖化を防ぐ
聴きなれないタイトルの本だが、実際書いてある内容は「ほんまでっか?」と目から鱗な内容ばかりだった。
砂漠化する海
近年、「磯やけ」という問題によって海藻類が育たなくなり、昆布やわかめが取れない漁場が増えていると言う。
その問題の原因は、端的に言うと山間部を開発しすぎたことにより、鉄分の供給が不足し、植物プランクトンが育たなくなっていることにあるようだ。
昔小学生のころ、これに似たような内容の記事が国語の教科書に載っていたな、と言うことを思い出しながら(「クロロフィル」という単語だけ覚えている)本を読んでみると、こういうことらしい。
【山間開発前の流れ】
- 落葉広葉樹林の腐葉土から「フルボ酸鉄」が醸成される。
- 雨で山から流れた「フルボ酸鉄」が、沿岸の植物プランクトンに取り込まれる。
- 海草生物達が植物プランクトンを食べて育つ。
【山間開発後の流れ】
- 落葉広葉樹林伐採により「フルボ酸鉄」が醸成されない。
- 雨で山から流れた鉄は酸化鉄となってしまい、植物プランクトンに取り込まれない。
- 植物プランクトン不足により、海草生物達が育たない。
数多くの実証実験
ざっくり説明すると上記の流れなのだが、まだ科学的に「どうすればいいのか?」という部分については答えが得られていないのだと言う。
理論に対しては実証実験が必要。
そのため、実証実験として、海に鉄を溶かしたりすると、その周囲には植物プランクトンが集まり、生態系が蘇るという事例が発見された。
前述の凄腕社長も同じように実証実験として、鉄を海水に溶かして、同様の結果が得られたと仰っていた。
実際に見せてもらった動画には、「魚のお祭りでもあるの?」というくらいに沢山の小魚が海の中に集まっていた。
地球温暖化対策として鉄を利用する
という発想は今まであまり聞いたことがなかったが、これは中々面白そうな取り組みだ。
まだ大きな会社が組織が大々的に実証実験を行い、製品化をしていない状況を考えると、ここに大きなビジネスチャンスが眠っているのかもしれない。
たとえば五島で、鉄利用に関する先進的な活用事例を示すことが出来れば、大きな経済的価値が生まれるだろう。